『寺島町奇譚』は、滝田ゆうの自伝的漫画作品である。
舞台は、太平洋戦争当時の玉の井(東京下町、寺島町にあった私娼街で、永井荷風の濹東綺譚の舞台ともなった。現在の墨田区東向島及び同区墨田付近)。
スタンド・バーの息子の少年キヨシを主人公に、
その家族や友達、スタンド・バーの客、近所の住人たち、キヨシの家の飼い猫のタマ、銘酒屋の女や出入りする男たちが織りなす世界を、ユーモアとペーソスがあふれ、風刺のきいた筆致で描き出している。
漫画は、1945年3月10日の東京大空襲で、
玉の井が焼け野原となるところで終わるが、
わずかなページの中で空襲の凄惨さをよく描き出している。
困ったときには