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毛利蘭誘拐事件

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詳細 2021年2月15日 01:02更新

http://karen.saiin.net/~s-textworks/seihin/conan/main.html

のどかな土曜日の午前中。
都内米花市米花町五丁目にある毛利小五郎探偵事務所。
日差しが優しく差し込む室内に三人の姿があった。
応接用のガラス・テーブルに向かい合っている男女。

女の子の方は毛利蘭、17歳。
この探偵事務所の所長のひとり娘だ。

一方の男の子は、江戸川コナン、7歳。
ご承知の通り、「黒の組織」によってAPTX4869を飲まされた作用で体が
幼児化してしまった工藤新一のなれの果てである。
ふたりは紅茶をすすって他愛もない話をしている。

そして所長デスクに座り込み、行儀悪く脚を机の上に投げ出しているのが蘭の父親
である毛利小五郎だ。
その格好で暇そうに新聞を眺めている不肖の父親を、諦めたような目で見ていた
蘭が言った。

「ホントーに暇そうね、お父さん」
「あーー?」

小五郎が、今にも眠ってしまいそうな目で反応した。

「いいじゃねえか、蘭。オレがヒマってことは……」
「世の中、平和って言いたいんだよね」

コナンがからかうような口調で言ったが、小五郎はまったく気づかないようにうな
ずいた。

「そうよ。世はなべて事もなし、ってな」
「でもさあ」

蘭は父親のデスクに身体を伸ばして、新聞を取り上げる。

「最近、けっこう騒がれてる事件てあったでしょ」
「んーー? そんなもん、あったかあ?」
「これこれ」

蘭がガサガサと音を立てて指差した記事を小五郎が眺める。

「なになに……。あー、これな」

コナンも立ち上がってデスクの新聞を覗き込んだ。
その記事には、派手なゴシックで「連続美女誘拐事件?」の文字が踊っていた。

「これ、ワイドショーなんかでもけっこう毎日取り上げられてんのよ」
「そうそう。おじさんはどう思うの、これ?」

机に両肘をつき、組んだ両手の上に顎を乗せていた小五郎が答える。

「どう、ってなあ……。どうってことねえだろ」
「どうってことないってことないでしょ? 誘拐事件なのよ?」
「だからさ」

蘭の父親は、さも面倒くさそうな顔をして椅子に寄りかかった。

「よく読めよ。証拠なんか何もないんだぞ」
「証拠?」
「だから誘拐だっていう証拠だよ」
「……?」

娘の方はよくわからないらしい。

「簡単に誘拐、誘拐って言うがな、本当にそうなのかどうかってのはわからんのだぞ」
「でも人は実際にいなくなってるんでしょ?」

コナンは無邪気を装って聞いてみる。

「そりゃそうなんだろうよ、捜索願が出てんだから」

タバコを取り出し、火をつけながら小五郎が言う。

「けどな」

太いため息とともに煙を吐き出す。

「実際には、誘拐だか蒸発だかわからないってことだよ。失踪には違いないだろう
けどな」
「……」
「この日本じゃな、年間に2万人以上の人間が失踪してるんだよ」

少し小五郎の目が鋭くなる。

「もちろんその中には本当に誘拐された者や拉致された者もいるだろう。しかしな、
大半は自分の意志で姿を消した連中なんだよ」
「自分の意志って?」

訊いた娘をジロリと見つめて答える。

「この時代だからな、借金抱えてにっちもさっちも行かなくなって夜逃げするやつ
だってゴマンといるだろう。人間関係や仕事に家庭の問題。悩みには事欠かない」
「……」
「そういう中、もう何もかもイヤになって逃げ出す人もいるってことさ。そういう
のも、この2万人の中に入ってるってことだぞ」
「……」
「おまけに家出。これは今むちゃくちゃに増えてるんだよ。去年(平成15年)の
データだが、なんと10万5千人だそうだ。これも届け出があれば行方不明者扱いだ」

蘭が少し曇らせる。

「そういう状況だからさ、警察も本音としちゃあ、とても全部はかまってられないん
だよ。マスコミは面白がって、警察の対応の悪さや不手際だって騒ぐがな」

探偵は面白くもなさそうに、右手の甲で新聞を叩きながら言った。

「それに、なんだこの「美女」誘拐事件ってのは」
「何か問題ある?」
「美女ってなあ、誰が決めたんだよ。新聞記者どもには、女に美形のランク付けが
出来る権利でもあんのか?」
「……」

話題がずれてきている。
小五郎がやる気のない時の習性だ。
蘭とコナンは「やれやれ」といった風情だが、今回に限っては小五郎の言うこと
にも一理あるので反論はしなかった。

「でも、これがもし大事件でも、おじさんのところに依頼がないんだから関係ない
よね」

蘭は思わず「ぷっ」と吹き出し、小五郎は両手の上から顔を落とした。

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