現代はコンピュータからプリンタ出力した履歴事項全部証明書などの証明書が主流で、これは、厳密には登記簿謄本とは異なるのですが、履歴事項全部証明書などの証明書は登記簿謄本に代わる(同じ役割を担う)ものであり、一般的にも登記簿謄本と呼ばれているものであるため、ここでは、登記簿謄本の役割=履歴事項全部証明書などの証明書の役割としてお考えいただいて構いません。 尚、登記簿謄本という用語の解釈 (登記簿謄本と履歴事項全部証明書などの証明書の関係) については以下にて説明します。
さて、登記簿謄本の役割ですが、私は、国家機関が行う最強の 「存在や権利の明確化」 ではないかと考えています。 登記簿謄本により、どのような物件なり、船舶なり、会社なりが存在し、誰がその権利や責任を持っているのか、あるいは持っていた権利を抹消や変更したのか、ということが明確になるわけです。
例えば、会社の登記情報が記載された登記簿謄本は、その会社が確かに国の認める会社として存在し、資本金いくらで、誰が役員や代表者になっていて、どのような事業を目的にしているかなどを証明するもので、新規に取引などを行う際に相手方の信頼を得るための1つの材料として非常に重宝されています。
登記簿謄本という用語の解釈 (登記簿謄本と履歴事項全部証明書などの証明書の関係)
法務局がコンピュータで登記事務を行うようになった今、そのコンピュータを使って出力された書類は、原本の忠実なコピーを意味する謄本ではありません。 そのため、コンピュータからプリンタ出力された登記情報が記述された書類の正式名称は、登記簿謄本ではなく、履歴事項全部証明書など (詳細は下記の登記事項証明書のバリエーション参照) のように、なになに証明書と言うものになっています。 と、いうことで、紙の登記簿からコピーを取ったものは登記簿謄本。 コンピュータからプリンタ出力したものは履歴事項全部証明書などの証明書というのが正しい文書名ということになります。
しかし、履歴事項全部証明書などの証明書は登記簿謄本の使命を受け継ぐ、登記簿謄本に代わる書類であるため、一般の人の間では、実質的には同じものであるという認識が強く、履歴事項全部証明書などの証明書であっても、旧来から使われ馴染みが深い登記簿謄本という名前で呼んでいます。
尚、履歴事項全部証明書などの証明書の中で、従来の登記簿謄本に匹敵するのは履歴事項全部証明書で、これが一番無難ということになります。 ちなみに、現在事項証明書のグループだと従来の登記簿謄本で「×」(バツ)で消されていた抹消事項の大部分が記載されなくなりますので、提出先が抹消事項については記載不要であるという場合でなければ使用できません。