日本のチル・ウェイヴは、Photodiscoから始まる。
シネマティックなエレクトロ・アコースティック。あるいは周辺のスウェディッシュ新世代を思わせる、淡く涼しいシンセポップ。
そしてJ-POPのふくよかな記憶......Photodiscoにはありとあらゆる種類の感傷が、清潔な筆づかいで描きこまれている。
2000年代東京の風景と20代のリアリティを映像的な想像力で描き出す、Photodisco。
彼の音はべたつかない。夢をみながらつめたく醒めている感触がある。
俗世を厭いながら、しかし概ね世界を受け入れている気配がある。それはまさしく、チル・ウェイヴのマナーだ。
USからヨーロッパにまたがって隆盛をきわめたモラトリアム・ポップ・ムーヴメント、「チル・ウェイヴ/グローファイ」に同機するタイミングで生まれてきた日本型チル・ウェイヴと言えるだろう。
エレクトロ寄りではあるが、Photodiscoの真骨頂はさらさらとして切ないギター・ワークにあることも注記したい。
透明で品のあるエレクトロ・アコースティック・サウンドをアイデンティティとしながらも、その裏側にはグランジ、エモ、ジャパニーズ・ロック......90'sミュージックの眩しさを刻み込んだギター・ロックが静かに息づいている。
橋元 優歩(ele-king)
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