今日では,高度な情報処理・伝達技術の発展によって,巨額の資金を国境を越えて瞬時に移動できる。各国の証券市場の情報を絶えず収集分析し,それぞれの証券価格の将来動向を予想して,証券を売買することで巨額の利益を得られる。為替相場は日々刻々,時に大幅に変動しているから,お金を売買する(=移動する)だけでも,瞬時に巨額の利益を得るのも不可能ではない。ドルの対円相場が上昇すると(円安・ドル高を)予想したら,素早く円でドルを買い,ドル相場が上昇したところでそれを売って円に戻す。1ドル=100円で1億ドルを買い,1ドル=105円で売却すれば,5億円の利益となる。手許に円資金がなければ,円を借りてこの操作を行っても,借入金利を差し引いた残額は手許に残る。為替相場の変動をうまく利用し,最新のデリバティブ取引を駆使すれば,少額の元手で,巨額の利益を瞬時にして手にできる。だが,これは予想が的中した場合である。予想が外れれば,瞬時にして巨額の損失をこうむる。これが,最先端の情報技術がもたらした「金融のグローバル化」の世界である。今や,お金さえ投機の対象となり,世界を舞台に投機的なマネーゲームが展開されている。これが21世紀のあるべき国際通貨・金融制度なのか,深刻化する地球環境の問題をも視野に入れ,国際的な「共生の原理」にたった,あるべき国際通貨・金融制度を探ること,これが私の目下の研究テーマである。
メンバーの参加コミュニティ
困ったときには