▼エンカウンター・グループへの誘い
エンカウンター・グループということばを、これまでにどこかで聞いたことがあるでしょうか。日本でエンカウンター・グループが行なわれるようになってもうかれこれ二十年近くになり、このことばを書名にした本もすでに幾冊か出ています。そういうわけで、臨床心理学とか心理療法やカウンセリングなどにかかわっている人たちの間ではある程度は知られているのですが、でも新聞やテレビで取り上げられるということもありませんし、一般には、まだまだ耳慣れないことばだろうと思います。
エンカウンターということばは英語です。大分前のスピルバーグ監督の作品で『未知との遭遇』という映画があったのを覚えているでしょうか。前半世界の各地で多くの人がUFOを目撃するなど、いろいろな事件が起こります。そしてそのUFOが伝えてきたメッセージが解読され、アメリカのある地点で宇宙人と地球人類(アメリカ政府代表など)との最初の直接の接触が実現します。着陸したUFOの巨大な壁が開いて、まばゆい光のなかに宇宙人たちの姿が浮かび上がり、地上に降り立つところがこの映画のクライマックスでした。この映画の原題(Close Encounter of the Third Kind)で実はエンカウンターということばが使われているのです。「偶然の予期しない出会い、遭遇」、たぶん辞書を引くとそんな訳が出ていると思います。地球外生命体との直接的出会いを、この映画の原題は意味するようです。
エンカウンター・グループがまず目指すものも、地球外生命体とではありませんが、人と人とのこの直接的な出会いです。ひとりの人間がひとりの人間と真に出会うということも、考えてみると恒星間あるいは島宇宙間の距離を越えての生命体の出会い同様、きわめて希で困難なことだと言えるでしょう。人と人との間には、魂を凍らせるような距離が広がっているのではないでしょうか。どのようにしてぼくらはその距離を越えて、間違いなく相手のもとへ到達できるのでしょう。ぼくらのことばも、ちょうどあの人類のメッセージを携えて冥王星の外、外惑星空間へと旅立って行ったヴォイジャー?号のように、沈黙する空間のなかに打ち出されていくだけなのでしょうか。孤独の中から誰かに受けとめられることを希って…。
ぼくらは円形に座り、そしてグループは開始されます。ぼくらがそこで経験できるものは何でしょうか。はたしてそこで何かが始まり、何かが経験されると言えるのでしょうか。沈黙そして無、不安、困惑や焦燥、不信と絶望、憎しみと怒り、そして希望と愛と創造の瞬間。ぼくらがそこで経験するのは要するに生の原形です。
▼エンカウンター・グループとは
エンカウンターとは人と人との出会いを意味します。エンカウンター・グループは、普通10人から15人ぐらいの人々とファシリテーター(促進者)と呼ばれる人とで構成されます。職業、地位、年齢、性別などを超え、一人ひとりが対等の人間として、心を開いて率直に語り合います。私たちは自分でも気づかない仮面や防衛的態度を身につけ、真実の自己を見失いがちです。エンカウンター・グループは、私たちが自己にめざめ他者の真実に触れ、他者との新たな関係を創造する安全な場所を提供します。その結果、私たちは日常生活におけるよりも、はるかに深く、自己と他者について知るようになり、人間への信頼を深め、豊かな人間関係をつくり、個人や組織に潜在している大きな力を引き出すことになります。カール・ロジャーズによって今世紀最も急速に拡大している、おそらく最も将来性のある社会的発明と述べられたエンカウンター・グループは、今日、産業、教育、医療、家庭、あるいは地域社会が求めている本当の対話、本当の出会いを実現する一つの方法だと言えます。
※「エンカウンターグループへの誘い」「エンカウンターグループとは」の何れも過去に自分が参加したグループの募集案内から引用しました。
以下はグループを開催している団体のホームページです。
●人間関係研究会
http://
●日本フォーカシング協会
http://
●日本心身医学協会
http://