『汽車に乗って』
私は20歳の頃、夜汽車で函館から上京してきました。
友人が駅まで送ってくれて、缶ビール1本が餞別でした。
夜出発し、朝、上野駅に着きました。
その日は寒い日で、わずかなお金と、待っていてくれた恋人だけが全てでした。
希望でおなかは膨らみ、不安など無かったように思います。
その頃のことをよく思います。
何でもいいからすがりつきたいと思う時、体をよじって笑っているような時に思います。
美しい友人の横顔や、私を呼ぶ穏やかな恋人の声を、いつでも思い出すことができます。
それはぴったりと私に張り付いて離れない、懐かしい思い出です。
さあ、今日もあの日に帰ろう。夢の汽車に乗って。
YUKI
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