完全に統合された開発環境でパワフルなデータベース、4th Dimensionのコミュです。
1984年のMacintoshのデビューから1年ほど経った頃、フランスのゲラン社(「ラ・バタイユ」の日本人ヒロイン「ミツコ」に由来する『Mituko』、星の王子様のサンディグジュペリの「夜間飛行」の出版を祝うために創られた『Vol de Nuit』などの香水に代表される化粧品メーカー)が香水の歴史について調査することを、哲学者にしてファッション史の研究家である才女Marylene Delbourg-Delphisに依頼しました。
しかし、いざ仕事に着手してみると、何百という香水の種類に加え、それらの微妙なブレンドの違いまで調査しなければいけないことが判明したのです。優れたコンピュータとデータベースの必要性を痛感した彼女はすぐにコンピュータの機種探しを始めました。
機種はすぐに決定しました。Macintoshです。その当時の機能一辺倒のコンピュータの世界の中で唯一革新的な機能とデザインを併せ持ったMacintoshを選択したのはファッション業界に精通した彼女にとってある意味必然といえるでしょう。
しかし肝心のデータベースの選定は難航しました。その当時無い物は自分で創るというのは割合普通のことでしたので、仕事仲間のLaurent Ribardiereに相談して一緒にデータベースの開発を始めたのです。1985年も終わりに近づいた冬の日でした。
そして彼らは素晴らしいデータベース「ABC Base」を創造しました。それはテキストとグラフィックを同時に扱える非常にパワフルなデータベースでした。ゲラン社からの依頼を問題なくこなしただけでなく、彼らがこの強力なデータベースの販売を始めたのは当然の成り行きでした。その後、機能の強化が図られ名前も「Silver Surfer」に変わり、講習会が開催され販路も広がり着実にユーザーが拡大していきました。
1987年になり、アメリカのビジネスソフト業界で「Apple社が物凄いリレーショナルデータベースをリリースするらしい」という噂が囁かれるようになりました。コードネームは「Silver Surfer」。そうです、彼らが開発したデータベースは、ビジネス界に確固たる地位を築くために優れたデータベースを探していたApple社の目に止まったのです。
しかし、既に「Silver Surfer」の凄さが伝わっていたサードパーティーは一斉に反発しました。「Silver Surfer」のようなキラーソフトがApple社のブランドでリリースされたのでは、サードパーティー製のデータベースソフトは売れなくなるという危機感があったからです。
Apple社もサードパーティーの重要性には十分に理解しており彼らの反発を受けたままでのリリースは難しいと考えるようになりました。そこで、この件でサードパーティーと折衝を行っていたMacエバンジェリストとして名高いGuy Kawasakiが急遽Apple社を退社し「Silver Surfer」を販売する会社ACI USを立ち上げることで決着をつけたのです。
そして1987年7月、遂に噂のデータベース「4th Dimension」がACI US社から正式リリースとなったのです。
(Nishimura Sanae著「4th DIMENSION Macintosh もっと自由にデータベース」を元に一部加筆、改変)
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