「言葉には魂が宿っている」と云う思想を僕等は持っていた。日本に現存する最古の歌集『万葉集』ではコトダマノサチワラウクニ(言霊の幸ふ国)と詠まれ、この国は「言葉の霊力が幸福を齎す国」とある。千年の時を超え、言葉の波動は信じられていたのだ。
言霊。マジカルでスピリチュアルな魂が宿るとされる言葉があった。
が、濫用する言葉の横行する現在。また一つ使い捨てられた言葉、色褪せて言語からら剥がれた想い。主流は僕等から遠く離れた連中の手に落ちた。それでも ―
僕等は捜していたい。言葉の呪力をペンに込めた差出人を、失われた言葉の荒れ地を耕す農夫を、立ち並ぶ言葉の風車に挑むドンキホーテを、彼方にある言葉の聖地へと発つ巡礼者を。
無言の海原に浮かぶ言の葉を掬うその使いの手、行間の淵に沈みゆく言の葉を救うあの使いの声。
まだ何処かにきっといるよ、言霊使い。