MODAL JAZZ(モード・ジャズ)とは、、、
モードジャズ 1960年頃〜
これまでのジャズでは、“和音は機能を持ったものであり、アドリブ・ソロの旋律はその下に成立する”という考え方を元に演奏されてきました。しかしながら、ビバップからハードバップへと移ると、次第にコード(和音)進行が複雑になり、この考え方の下では、どのプレーヤーの演奏も似てきてしまいます。このような問題からハードバップも次第にマンネリ化し、ジャズの発展の上で大きな壁にぶつかることになります。
そんな中、マイルスデイビスは1958年のアルバム『マイルストーンズ』の中で新たな試みをします。それは、これまでのコード進行に縛られた演奏からプレーヤーを解放するために、“和音が機能を持つ”という考え方を否定し、曲のコード進行をなくして、あるスケール(音階)にしたがってアドリブ(即興演奏)をするという手法でした。これによってアドリブの自由度が高まり、ジャズの新たな可能性が生まれたのです。このスタイルを一般的にモードジャズと言います。
この後のモードジャズの多くのアルバムで、ハードバップの緊張感とは別の雰囲気の中プレーヤーが自由にプレイしているのがわかると思います。ハードバップをエキサイティングで迫力のある演奏と言えるのと逆に、モードジャズは耽美的で繊細な美しさがあると言えます。アルバム『カインド・オブ・ブルー』がその典型で、これまでの50年代のジャズとは一線を画することが、お分かり頂けるでしょう。
ちなみに、モードジャズではフリー・ジャズのように和音そのものを否定するものではないので、和音楽器ももちろん利用されます。例えば、『カインド・オブ・ブルー』に参加しているビル・エバンス(pf)の浮遊感のある和音などは、モードジャズのスタイルに非常に相性が良いです。