フィリピン航空[PR/PAL/Express]コミュの【フィリピン】入国カードの機内配布停止か：年明けから、空港混乱も

NNA 12月7日(火)8時30分配信
　航空会社運営協議会（ＡＯＣ）が先週、国内の各空港の税関に対して、来年１月１日から入国カードと税関申告書の印刷・供給を停止すると通達していたことが分かった。実施されれば、フィリピンに到着する国際線の機内でも入国カードと申告書が配布されなくなるもようで、空港の入国審査場が大混乱する可能性もありそうだ。６日付各紙が伝えた。
　ＡＯＣのマリア・レイエス会長（ＫＬＭオランダ航空の在比代表補佐）は、マニラ首都圏のニノイ・アキノ国際空港（ＮＡＩＡ）の税関職員をまとめるカルロス・ソー氏に「来年１月１日に入国カードと税関申告書の印刷・供給を停止する」との内容を盛り込んだ書簡を送付。ＡＯＣは先週、ＮＡＩＡで行われた会員総会で、この入国カードと申告書の印刷・供給停止を決定したという。
　背景には、ＮＡＩＡやセブ州のマクタン・セブ国際空港（ＭＩＣＡ）の税関職員が、時間外手当て（残業代）未払いを理由に残業を拒否していることがあるもようだ。
　ＮＡＩＡの税関職員らは先週、現在、残業代の支払いを請け負っている航空会社代表者委員会（ＢＡＲ）が16カ月分の未払い残業代をいまだ支払っていないと主張し、平日の午後５時～翌午前８時、および土曜、日曜、祝日の終日について勤務を拒否する方針を表明。これに対して、入国カードと税関申告書の印刷・供給、税関職員の残業代支払いなど、長年にわたり税関に協力してきたＡＯＣは不満を爆発させ、報復措置として入国カードと申告書の印刷・供給を停止するという結論に至ったとしている。
　■過去10年間、無料で供給
　ＡＯＣは、過去10年間にわたり、入国カードと税関申告書の印刷・供給を担当。ＡＯＣに加盟している航空会社30社は、国際線の機内で、ＮＡＩＡ、ＭＩＣＡ、クラーク自由港のディオスダド・マカパガル国際空港（ＤＭＩＡ）を利用する入国者を対象に、１カ月当たり150万枚の入国カードと申告書を無料で配布してきた。航空会社別では、フィリピン航空（ＰＡＬ）に年間500万枚、地場格安航空会社セブ・パシフィック航空に同300万枚を配布してきたという。
　また、ＡＯＣは、過去数十年間にわたり、各空港の税関職員の残業代の支払いを負担してきたが、「税関職員の残業代の支払いは政府の責任」と見解を変え、残業代の支払いを停止。その後、各航空会社の代表で組織するＢＡＲが残業代を負担してきた。
　■今年年初にもトラブル
　入国カードをめぐる騒動は、今年１月にも発生している。
　入国管理局は、１月１日に機械で読み取り可能な新型の入国カードを再導入すると発表。しかし、航空各社が機内で配布した入国カードは旧型だったため、配付された旧入国カードに記入した旅行客は、ＮＡＩＡの入国審査官から改めて新入国カードの記入を強いられた。このため、入国審査場には旅行客による長蛇の列ができ、空港は混乱に陥った。