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食品企業経営史研究会コミュの【新聞記事】神戸新聞ニュース

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即席めん/逆境が生んだ「世界の味」

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2007/01/08



 お湯を注いで、三分間待つ。湯気とともに立ち上る濃厚なにおいを楽しみ、スルスルとすする。しあわせな瞬間だ。

 食の楽しみが、あの一杯に凝縮されている。即席ラーメン。時間のないとき、小腹が減ったとき、非常時。十二年前の阪神・淡路大震災のときも、寒さに震えながらどれだけお世話になったことか。

 その即席めんの生みの親で日清食品の創業者、安藤百福さんが亡くなった。立志伝中の人だが、即席めんを世界に広げ、インスタント食品の先(せん)鞭(べん)をつけた人生は、見事だった。

 即席ラーメンが、事業を転々とする逆境の中から生まれた話は有名だ。

 安藤さんはそのとき、四十半ばを超えていた。池田市の自宅の裏庭に作った小屋で即席めんの試作に着手し、翌年、商品化に成功した。一九五八年、日本が高度成長に向かおうという年だった。

 草分けとなるチキンラーメンの登場だ。めんに味がついており、器に入れて熱湯を注ぐだけ。生卵をのせてよし、いためた野菜を具にしてよし。さまざまな楽しみ方ができる。高度成長と共に歩んだ団塊世代には、特に忘れられない味だろう。

 その後もカップ入りのヌードルなど数々のヒット商品を手がけた。インスタントラーメンの消費量は、いまや世界で年間八百五十億食を超える。

 カップめんは世界に通用する国際食となり、欧米でも人気商品の一つに数えられる。東南アジアでは、それぞれの国の味となった即席めんが出回る。さらにスペースシャトルに積まれ、宇宙食にまでなった。

 めん類に限らず、食のインスタント化は各方面に及ぶ。軽くてコンパクト、日持ちがする、水を多く使わずに食べられる、といった利点が、人間の行動スタイルまで変えてしまった。特に災害時の非常食として優れているのはいうまでもない。

 この分野には、まだ多くの可能性が残されている。そう期待していいだろう。

 時代の先駆けとなる食品が、庭先で生まれた意味をあらためて見直したい。

 小さいときから遊び道具や日常生活に興味を持つことの大切さを説く安藤さんの話が紹介されていた。ご本人の創造力も、そんな中ではぐくまれ、やがて大きく開花したのだろう。七転び八起きの波乱に満ちた生き方には、濃厚なスープのような味わいが詰まっている。

 きょうは成人式。挑戦が大きな実を結んだ人生に、若者たちが自らの将来を重ね合わせてみるのもいいだろう。

HP:http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/0000209770.shtml

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