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原始仏典コミュの第4波逸提 「教えを在家と一緒に朗読することの禁止」

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波逸提(はいつだい)と読みます。パーチッティヤの音写で三人以上の前で懺悔する罪です。

大抵の仏教宗派では「お経を一緒に読む」ことをしています。この律はそれを禁止する律です。僕ははじめ「上座仏教は違反しているのではないか」と思ったのですが、最後の「無罪のケース」のところに「一緒に勉強するために一緒に口に出すならば不犯」というところがあったので、「違反ではない」かも知れないと思いました。解釈が難しいのでご自身で読んで考えてみてください。






(『南伝大蔵経2 律蔵2』大蔵出版 P22−24  に相当)




律蔵>経分別

「   第四 法句の学足

44.そのとき覚った者である先生はサーヴァッティのジェータ林、アナータピンディカの園に住んでいた。
 またそのとき六人組の比丘たちは男性信者たちに法の文句を言わせていた。
 男性信者たちは比丘たちを尊重せず、従順でなく、同じように行動して暮らしていた。

 比丘たちのうち少欲の者たちは不機嫌になり、不満を持ち、悪く言った。
 「どうして六人組の比丘たちは男性信者たちに法の文句を言わせるのか。
 男性信者たちは比丘たちを尊重せず、従順でなく、同じように行動して暮らしている」。
 
 そこでその比丘たちは六人組の比丘たちを様々な方法で叱責し先生にこの義を告げた。
 ときに先生はこれを原因としこれを機会として比丘サンガを集めて六人組の比丘たちに質問した。

 比丘たちよ、あなたたちが男性信者たちに法の文句を言わせ、男性信者たちは比丘たちを尊重せず、従順でなく、同じように行動して暮らしているというのは真実なのか。
 先生、真実です。
 覚った者である先生は叱責した。
 愚か者よ、これは適切ではない。随順行ではない。威儀ではない。沙門行ではない。浄行ではない。為してはならないことである。
 愚か者よ、どうしてあなたたちたちは男性信者たちに法の文句を言わせ、男性信者たちは比丘たちを尊重せず、従順でなく、同じように行動して暮らしているのか。
 愚か者よ、これは信じていない者を信じさせ、信じている者を増大させるものではない。
 愚か者よ、これはむしろ信じていない者をより信じなくさせ、信じている者の一部を他(の教え)に住させることになるものだ。

 そこで先生は六人組の比丘たちを様々な方法によって叱責し、養い難く、育てにくく、大欲で、不満足で、人々と交わって怠けることがいかに称賛されないことかを語り、様々な方法によって養いやすく、育てやすく、少欲で、満足し、削減し、清貧[頭陀 dhuta]であり、浄信であり、少なくし、精進を起こすことがいかに称賛されることかを語り、比丘たちに適切で随順な法の話をして比丘たちに呼びかけた。
 比丘たちよ、私は十の利益を縁として比丘たちに学足を設定する。
 サンガを善くするため、
 サンガの安穏のため、
 悪いことを考える者を抑制するため、
 愛すべき比丘たちが安穏に住するため、
 現世の漏を律儀するため、
 後世の漏を破壊するため、
 信じていない者たちを信じさせるため、
 信じている者たちをさらに多くそうさせるため、
 正法を続かせるため、 
 教えを資助するため。
 比丘たちよ、それではこのように学足を唱えなさい。


45.「いかなる比丘であっても具足していない者に法の文句を言わせればパーチッティヤである」


46.「いかなる」とはいかなる者をも、すなわちいかなる生まれ・名・姓・戒・住宅・行動範囲であっても、あるいは長老、あるいは新参、あるいは中位であってもである。これらが「いかなる」と言われる。
 「比丘」とは乞う比丘、乞食を行じることに従事する比丘、破れた衣を着る比丘、比丘と呼ばれる者、比丘を自称する者、「来たれ比丘よ」と言われた比丘、三帰依によって具足した比丘、善賢なる比丘、精髄である比丘、有学である比丘、無学である比丘、和合しているサンガが白四羯磨(びゃくしこんま)によって反対されずに即座に価値ありとされて具足した比丘。それらのうちで和合しているサンガが白四羯磨によって反対されずに即座に価値ありとされて具足した比丘、これがここにおける比丘が意味する義である。
 「具足していない者」という名は比丘と比丘尼を除いたその残りの者を具足していない者と名付ける。
 「文句」という名は句、随句、随字、随相である。
 「句」という名は一緒に始めて一緒に終わるということである。
 「随句」という名は単独で始めて一緒に終わるということである。
 「随字」という名は「色は無常である」と言う場合は、「し」(ルーパのru)で終えるのである。
 「随相」という名は「色は無常である」と言う場合は、「受は無常である」と一緒に声を出すのである。
 句も随句も随字も随相も、これら一切を文句と名付ける。
 「法」という名はブッダが説いたこと、弟子が説いたこと、仙人が説いたこと、神が説いたことであり、義を伴い法を伴うものである。
 「言わせる」とは句を言わせれば、句ごとにパーチッティヤを犯す。字を言わせれば、字ごとにパーチッティヤを犯す。

47.具足していない者を具足していない者だと想って法の文句を言わせれば、パーチッティヤを犯す。
 具足していない者を疑って法の文句を言わせれば、パーチッティヤを犯す。
 具足していない者を具足している者だと想って法の文句を言わせれば、パーチッティヤを犯す。
 具足している者を具足していない者だと想った場合はドゥッカタである。
 具足している者を疑った場合はドゥッカタである。
 具足している者を具足している者だと想った場合は不犯である。

48.一緒に教えを得させる者、
 一緒に学習を為す者、
 多くに熟達した典籍を説いて開く者、
 復権を開く者、
 発狂者、初犯者は無罪である。


 註 同じように生活せずに asabhāgavuttikā 
     サバーガ(同じような)ヴッティ(行動) 文脈不明
     否定形でなくすと筋が通るのでそのように訳しました。
   法の文句 パダソーダンマ padasodhamma 法句、教えの言葉
   文句 パダソー padaso
   句  パダ pada
   随句 アヌパダ anupada
   随字 アンヴァッカラ anvakkhara アッカラは「字」を意味する
   随相 アヌビャンジャナ anuvyañjana 随味、特徴
   単独 パーテッカ pāṭekka 単独仏陀のパッチェーカの類語
   言わせる ヴァーチェーティ vāceti 「言う vatti」の使役形」

   『南伝大蔵経2 律蔵2』大蔵出版 P22−24  に相当






「声に出すこと」の定義を再確認します。

 1.一緒に始めて一緒に終わる。
 2.単独で始めて一緒に終わる。
 3.「色は無常である」と言う場合は、「し」で終える。
 4.「色は無常である」と言う場合は、「受は無常である」と一緒に声を出す。


これを六人組の比丘たちがやっていて「在家が尊敬しなくなった」ので問題になったということです。どうして尊敬しなくなったのかと考えるとやはり「私は出家と同じことをしてるんだぞ」という気持ちが生まれたということだと思います。だから僕は上の註に書いたように否定の「a」をないものとして訳しました。この学足の目的は「在家と出家が同じことをやっていると出家を尊敬しなくなる」ということだと思います。



問題の箇所は最後の「無罪のケース」なのですが、


 「一緒に教えを得させる者、
  一緒に学習を為す者、
  多くに熟達した典籍を説いて開く者、
  復権を開く者、
  発狂者、初犯者は不犯である。」


とあります。一緒に勉強する場合はいいということですので、今日の上座仏教はいいということにしているのだと思います。もし「比丘は在家と一緒に教えを唱えず説法だけをする」ことにすれば手堅いと思います。

この免責事項の意味不明な点はもし在家が出家と「一緒に教えを得」たり、「一緒に学習を為す」ことをしていれば、より一層出家が尊敬されなくなるのは明らかというところです。ですから、この免責事項自体がこの律の主旨に反している気がしますが、詳細な解説がついていないのでこれ以上はわかりません。教えを学ぶために在家と一緒に教えを口にしなければならないということはありませんから。





この律蔵の記述を読んだときは免責事項を読まなかったので、「上座仏教は違反している!?」とびっくりしたのですが、最後の免責事項がありますからそれをもってよしとしてもいいと思います。上座仏教側は多分そういう認識でしているのだと思います。今回省略部分まで訳したのは、僕が中途半端に情報を出したので誤解が生じたかも知れないと自分の書き込みに責任を感じたというところもあります。

なんとか今回、詳細な部分まで紹介できたので自分としては満足しました。





僕の上座仏教への態度としては、


 「原始仏教と上座仏教が混同され誤解されがちな点の典拠を示す」


という方向性でやっていきたいと思っています。すでに一連の上座仏教批判の総括においても書いたようにいたずらな批判は避けようと思っています。そもそも上座仏教が原始仏教の戒律や修行をしなければいけない義務はありませんから。ただ多くの人々が誤解しやすい点やいまいち判明でない点を明らかにすることは多くの人の利益になると思って続けていこうと思っています。疑問や質問がある方はメッセージでも書き込みでもよいのでお知らせください。
 

最後に読んでおられる方々のなかで僕が何か「明白な誤り」を犯していることに気付かれた方は僕に速やかに典拠を示す情報をくだされば幸いです。僕に悪意はありませんのでいつでも納得の行く根拠が提示されれば訂正する準備があります。何かに気付かれた方は連絡してください。よろしくお願いします。

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