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原始仏典コミュの犍度部 小品 第7  「破僧犍度」2

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(続き 『南伝大蔵経4 律蔵4』大蔵出版 P284から)



「二–一 ときに、世尊は随意の間、アヌピヤに住した後、コーサンビーに向かって遊行した。次第に遊行してコーサンビーに到った。ここで世尊はコーサンビーのゴーシタ園に住した。ときに、デーヴァダッタは静かに独坐していて心に考えが生じた。「私は誰を浄信させれば、その浄信によって私は多くの利得と尊敬を得ることができるだろうか」。ときに、デーヴァダッタに考えが生じた。「ここにアジャータサットゥは若く将来に吉祥がある。私はよろしくアジャータサットゥを浄信させ、その浄信によって私は多くの利得と尊敬を得るだろう」。ときに、デーヴァダッタは坐臥具を収め、衣鉢を持ってラージャガハに向かい、そしてラージャガハに到った。
 ときに、デーヴァダッタは自らの相を滅して、童子の相を化作し、蛇の帯を着けて、アジャータサットゥの膝の下に現れた。ときに、アジャータサットゥは恐怖し、嫌悪し、疑い、驚愕した。ときに、デーヴァダッタはアジャータサットゥに言った。
「王子、私を恐れるのか」。
「私は恐れる。あなたは誰だ」。
「私はデーヴァダッタだ」。
「あなたがもし尊デーヴァダッタならば、どうか自らの相を現しなさい」。
 ときに、デーヴァダッタは童子の相を滅して、大衣と衣鉢を持ってアジャータサットゥの前に立った。ときに、アジャータサットゥはデーヴァダッタのこの神通示導に歓喜して朝と夕に五百の乗車を率いて赴いて奉侍し、五百の釜を煮て供した。ときに、デーヴァダッタは利得と尊敬と名声に覆われ、心が乱れてこのような欲望が生じた。「私は比丘サンガを治めよう」。この心が生じるとともにデーヴァダッタはその神通を失った。
二 そのとき、カクダという名のコーリヤ族がいた。具寿マハーモッガーラナの侍者であり、最近死んで、一つの意より成る身に生まれ、その身体を受けること、たとえばマガダ国の村の田が二つ、三つあるように、その身体を受けてしかも、自をも他をも悩害することがなかった。ときに、カクダ天子は具寿マハーモッガーラナのもとに到った。到って具寿マハーモッガーラナに敬礼して一方に立った。一方に立ってカクダ天子は具寿マハーモッガーラナに言った。
「デーヴァダッタは利得と尊敬と名声に覆われ、心が乱れてこのような欲望が生じた。『私は比丘サンガを治めよう』と。この心が生じるとともにデーヴァダッタはその神通を失った」。
 カクダ天子はこのように言った。このように言って具寿マハーモッガーラナを敬礼し右回りしてそこに没した。
 ときに、具寿マハーモッガーラナは世尊のいるところに詣った。詣って世尊を敬礼して一方に座った。一方に座って具寿マハーモッガーラナは世尊に言った。
「カクダという名のコーリヤ族がいました。私の侍者であり、最近死んで、一つの意より成る身に生まれ、その身体を受けること、たとえばマガダ国の村の田が二つ、三つあるように、その身体を受けてしかも、自をも他をも悩害することがありません。ときに、カクダ天子は私のもとに到りました。到って私を敬礼して一方に立ちました。一方に立ってカクダ天子は私に言いました。『デーヴァダッタは・・・失った』と。カクダ天子はこのように言いました。このように言って私を敬礼して右回りしてそこに没しました」。
「モッガーラナ、あなたは心によってカクダ天子の心を知り尽くして、カクダ天子の言うこと、それはすべてその通りであって、そうでないわけではないと知るか」。
「私は心によってカクダ天子の心を知り尽くして、カクダ天子の言うこと、それはすべてその通りであって、そうでないわけではないと知ります」。
「モッガーラナ、この語を守りなさい(言うなという意)。モッガーラナ、この語を守りなさい。今にあの愚か者は自分自身をみずから現すだろう」。
三 モッガーラナ、世間に五つの師がいて、現在いる。何が五か。
 モッガーラナ、ここに一人の師がいる。不遍浄戒(完全には清浄でない戒)であるのに、自ら「遍浄戒(完全に清浄な戒)である」と言い、「私の戒は遍浄であり、潔白であり、無染である」と言う。弟子たちはこのように知る。「この尊い師は不遍浄戒であるのに、自ら『遍浄戒である』と言い、『私の戒は遍浄であり、潔白であり、無染である』と言う。もし私たちがこれを在家の人々に告げるならば彼の意に適わないだろう。彼の意に適わないことをどうして私たちは言えるだろうか。彼は衣服・飲食・坐臥具・病薬・資具によって帰依されている。彼はその為すところによって知られるだろう」と。モッガーラナ、このような師の戒を弟子たちは守り、このような師の戒は弟子による守護を求める。
四 モッガーラナ、またここに一人の師がいる。不遍浄命(完全には清浄でない生計)であるのに、自ら「遍浄命(完全に清浄な生計)である」と言い、「私の命は遍浄であり、潔白であり、無染である」と言う。弟子たちはこのように知る。「この尊い師は不遍浄命であるのに、自ら『遍浄命である』と言い、『私の命は遍浄であり、潔白であり、無染である』と言う。もし私たちがこれを在家の人々に告げるならば彼の意に適わないだろう。彼の意に適わないことをどうして私たちは言えるだろうか。彼は衣服・飲食・坐臥具・病薬・資具によって帰依されている。彼はその為すところによって知られるだろう」と。モッガーラナ、このような師の命を弟子たちは守り、このような師の命は弟子による守護を求める。
 モッガーラナ、またここに一人の師がいる。不遍浄説法であるのに、自ら「遍浄説法である」と言い・・・このような師の説法は弟子による守護を求める。
 モッガーラナ、またここに一人の師がいる。不遍浄記説であるのに、自ら「遍浄記説である」と言い・・・このような師の記説は弟子による守護を求める。
 モッガーラナ、またここに一人の師がいる。不遍浄智見であるのに、自ら「遍浄智見である」と言い・・・このような師の智見は弟子による守護を求める。
 モッガーラナ、このように世間に五つの師がいて、現在にある。
 モッガーラナ、また私は遍浄戒であり、自ら「遍浄戒である」と言い、「私の戒は遍浄であり、潔白であり、無染である」と言う。私の戒を弟子たちは守護せず、私の戒は弟子たちによる守護を求めない。
 モッガーラナ、また私は遍浄命であり、自ら「遍浄命である」言い、「私の命は遍浄であり、潔白であり、無染である」と言う。私の命を弟子たちは守護せず、私の戒は弟子たちによる守護を求めない。
 モッガーラナ、また私は遍浄説法であり・・・
 モッガーラナ、また私は遍浄記説であり・・・
 モッガーラナ、また私は遍浄智見であり・・・私の智見は弟子たちによる守護を求めない」。
五 ときに、世尊は随意の間、コーサンビーに住した後、ラージャガハに向かって遊行した。次第に遊行してラージャガハに到った。ここにおいて世尊はラージャガハの竹林、栗鼠飼養所に住した。ときに、多くの比丘たちがいた。世尊のいるところに詣った。詣って世尊を敬礼して一方に座った。一方に座ってその比丘たちは世尊に言った。
「デーヴァダッタのためにアジャータサットゥは朝と夕に五百の乗車を率いて奉仕し、五百の釜に飲食を煮て供しています」。
「比丘たちよ、デーヴァダッタの利得・尊敬・名声を羨んではならない。比丘たちよ、デーヴァダッタのためにアジャータサットゥは朝と夕に五百の乗車を率いて奉仕し、五百の釜に飲食を煮て供するだろうが、比丘たちよ、そかもその間にデーヴァダッタに期待できるのは善法の減少であって増大ではない。
 比丘たちよ、たとえば暴悪な犬の鼻の盛り上がりを破るようなものである。比丘たちよ、このようにするとその犬の暴悪さは増大するだろう。比丘たちよ、このようにデーヴァダッタのためにアジャータサットゥは朝と夕に五百の乗車を率いて奉仕し、五百の釜に飲食を煮て供するだろうが、比丘たちよ、そかもその間にデーヴァダッタに期待できるのは善法の減少であって増大ではない。
 比丘たちよ、デーヴァダッタの得た利得・尊敬・名声はよく自身を損ない、デーヴァダッタの得た利得・尊敬・名声はよく自身を破壊する。
 比丘たちよ、たとえば芭蕉が果実を生じて自身を損ない、果実を生じて自身を破壊するように、比丘たちよ、デーヴァダッタの得た利得・尊敬・名声はよく自身を損ない、デーヴァダッタの得た利得・尊敬・名声はよく自身を破壊する。
 比丘たちよ、たとえば竹が果実を生じて自身を損ない、果実を生じて自身を破壊するように、比丘たちよ、デーヴァダッタの得た利得・尊敬・名声はよく自身を損ない、デーヴァダッタの得た利得・尊敬・名声はよく自身を破壊する。
 比丘たちよ、たとえば葦(あし)が果実を生じて自身を損ない、果実を生じて自身を破壊するように、比丘たちよ、デーヴァダッタの得た利得・尊敬・名声はよく自身を損ない、デーヴァダッタの得た利得・尊敬・名声はよく自身を破壊する。
 比丘たちよ、たとえばラバは受胎して自身を損ない、受胎して自身を破壊するように、比丘たちよ、デーヴァダッタの得た利得・尊敬・名声はよく自身を損ない、デーヴァダッタの得た利得・尊敬・名声はよく自身を破壊する。
   芭蕉は実って損なわれ  竹も葦も実ればまたそのように
   ラバは孕んで死ぬように 悪人を損なうのは尊敬である」
                                   初誦品[畢]

三–一 そのとき、世尊は大集会に囲まれ、法を説いて座っていた。集会には王を交えていた。ときに、デーヴァダッタは座から起って上衣をはだいて世尊のいるところに合掌を捧げ、世尊に言った。
「今や世尊は老衰し、老耄し、老邁し、晩年、高齢です。世尊、今や安穏に現法楽住をもっぱらにして暮らし、比丘サンガを私に任せてください。私が比丘サンガを治めましょう」。
「やめなさい、デーヴァダッタ。比丘サンガを治めようと願ってはならない」。
 再びデーヴァダッタは世尊に言った。
「今や世尊は老衰し、老耄し、老邁し、晩年、高齢です。世尊、今や安穏に現法楽住をもっぱらにして暮らし、比丘サンガを私に任せてください。私が比丘サンガを治めましょう」。
「やめなさい、デーヴァダッタ。比丘サンガを治めようと願ってはならない」。
 三たびデーヴァダッタは世尊に言った。
「今や世尊は老衰し、老耄し、老邁し、晩年、高齢です。世尊、今や安穏に現法楽住をもっぱらにして暮らし、比丘サンガを私に任せてください。私は比丘サンガを治めましょう」。
「デーヴァダッタ、私はサーリプッタ・モッガーラナにすら比丘サンガを任せない。いわんや、あなたのような六年よだれを食べる者(kheḷāsakassā、語義不明。南伝に従う)においては言うまでもない」。
 ときにデーヴァダッタは「世尊は王を交えた集会において私のことをよだれを食べる者と謗り、サーリプッタ・モッガーラナを称賛した」と忿り、悦ばずに世尊を敬礼し右回りをして去った。これがデーヴァダッタの世尊への第一の怨恨(嫌恨)である。
二 ときに、世尊は比丘たちに告げて言った。
「比丘たちよ、それならばサンガはデーヴァダッタのためにラージャガハにおいて顕示の羯磨を行ない、『デーヴァダッタはその本性が以前と今とでは異なる。デーヴァダッタの身と語の為すところをもってブッダ・ダンマ・サンガと見るべきではない。ただデーヴァダッタのみであると見るべきである』と言いなさい。比丘たちよ、これを行なうには次のようになしなさい。聡明有能な比丘がサンガに告げて言いなさい。
 サンガよ、私の言葉を聞きなさい。デーヴァダッタはその本性が以前と今とでは異なる。デーヴァダッタの身と語の為すところをもってブッダ・ダンマ・サンガと見るべきではない。ただデーヴァダッタのみであると見るべきであると言うことにする。これは表白である。
 サンガよ、私の言葉を聞きなさい。デーヴァダッタはその本性が以前と今とでは異なる。デーヴァダッタの身と語の為すところをもってブッダ・ダンマ・サンガと見るべきではない。ただデーヴァダッタのみであると見るべきであると言う。デーヴァダッタのためにラージャガハにおいて顕示の羯磨(カンマ、業に同じ、明らかにする儀礼的行為)を行ない、『デーヴァダッタはその本性が以前と今とでは異なる。デーヴァダッタの身と語の為すところをもってブッダ・ダンマ・サンガと見るべきではない。ただデーヴァダッタのみであると見るべきである』と言うことを許す具寿は沈黙しなさい。許さない者は言いなさい。
 サンガはデーヴァダッタのためにラージャガハにおいて顕示の羯磨を行ない、『デーヴァダッタはその本性が以前と今とでは異なる。デーヴァダッタの身と語の為すところをもってブッダ・ダンマ・サンガと見るべきではない。ただデーヴァダッタのみであると見るべきである』と言うことを終えた。サンガは許すがゆえに沈黙する。私はこのように知ると」。
 ときに、世尊は具寿サーリプッタに告げて言った。
「サーリプッタ、それならばあなたはラージャガハにおいてデーヴァダッタを顕示しなさい」。
「以前に私はラージャガハにおいてデーヴァダッタを称賛して、ゴーディプッタは大神通がある、ゴーディプッタは大威力があると言いました。どうして私がラージャガハにおいてデーヴァダッタを顕示できるでしょうか」。
「サーリプッタ、あなたは事実の通りにラージャガハにおいてデーヴァダッタを称賛して、ゴーディプッタは大神通がある、ゴーディプッタは大威力があると言ったのか」。
「そうです」。
「サーリプッタ、そのように事実の通りにラージャガハにおいてデーヴァダッタを顕示しなさい」。
「承知しました」と具寿サーリプッタは世尊に応えた。
三 ときに、世尊は比丘たちに告げて言った。
「比丘たちよ、それならばサンガはサーリプッタを選んでラージャガハにおいてデーヴァダッタを顕示させ、『デーヴァダッタはその本性が以前と今とでは異なる。デーヴァダッタの身と語の為すところをもってブッダ・ダンマ・サンガと見るべきではない。ただデーヴァダッタのみであると見るべきである』と言わせなさい。比丘たちよ、選ぶにはこのようになしなさい。はじめにサーリプッタに要請しなさい。要請して後、聡明有能な微雨がサンガに告げて言いなさい。
 サンガよ、私の言葉を聞きなさい。もしサンガに機が熟すならばサンガは具寿サーリプッタを選んでラージャガハにおいてデーヴァダッタを顕示させ、『デーヴァダッタはその本性が以前と今とでは異なる。デーヴァダッタの身と語の為すところをもってブッダ・ダンマ・サンガと見るべきではない。ただデーヴァダッタのみであると見るべきである』と言わせるべきである。これは表白である。
 サンガよ、私の言葉を聞きなさい。・・・許す具寿は沈黙しなさい。許さない具寿は言いなさい。
 サンガは具寿サーリプッタを選んでラージャガハにおいてデーヴァダッタを顕示させ、『デーヴァダッタはその本性が以前と今とでは異なる。デーヴァダッタの身と語の為すところをもってブッダ・ダンマ・サンガと見るべきではない。ただデーヴァダッタのみであると見るべきである』と言わせることとなし終わった。サンガは許すがゆえに沈黙する。私はこのように知る、と」。
 具寿サーリプッタは選ばれて多くの比丘とともにラージャガハに入ってラージャガハにおいてデーヴァダッタを顕示し、『デーヴァダッタはその本性が以前と今とでは異なる。デーヴァダッタの身と語の為すところをもってブッダ・ダンマ・サンガと見るべきではない。ただデーヴァダッタのみであると見るべきである』と言った。
 信がなく、浄心がなく、劣覚である人々は言った。「この沙門釈子たちは嫉妬心がある。デーヴァダッタの利得と尊敬を嫉妬している」。
 信があり、浄心があり、賢明であり、有覚である人々は言った。「これは些細なことではないに違いない。世尊がラージャガハにおいてデーヴァダッタを顕示させたからである」。
四 ときに、デーヴァダッタはアジャータサットゥのもとに到った。到ってアジャータサットゥに言った。
「王子、昔の人々は長寿であったが今は短命です。あなたが王子のまま死ぬというこの可能性があります。王子、それならばあなたは父を殺して王となりなさい。私は世尊を殺してブッダとなろう」。
 ときに、アジャータサットゥは「尊デーヴァダッタは大神通・大威力がある。尊デーヴァダッタは私の為すところを知るだろう」と思い、腿に利剣を帯びて、朝、恐怖し、嫌煙し、疑惑し、驚愕しながら速やかに後宮に入った。後宮の侍従や大臣たちはアジャータサットゥが朝、恐怖し、嫌煙し、疑惑し、驚愕しながら速やかに後宮に入るのを見た。見て捕えた。彼らは捜して腿に剣を帯びているのを見てアジャータサットゥに言った。
「王子、あなたは何をされようとしているのですか」
「父を殺そうと欲する」
「誰が教唆したのですか」
「尊デーヴァダッタだ」
 一部の大臣たちは会議をして言った。「王子を殺し、デーヴァダッタと一切の比丘たちを殺すべきだ」。
 一部の大臣たちは会議をして言った。「比丘たちを殺してはならない。比丘たちには何の罪もない。王子とデーヴァダッタを殺すべきである」。
 一部の大臣たちは会議をして言った。「王子を殺してはならない。デーヴァダッタと比丘たちも殺してはならない。王に告げるべきである。王の言葉の通りにしよう」。
五 ときに、大臣たちはアジャータサットゥとともにマガダの王であるセーニヤ・ビンビサーラのもとに到った。到ってマガダの王であるセーニヤ・ビンビサーラにこの義を告げた。
「大臣たちは何の会議をしているのか」
「大王、一部の大臣たちは会議して『王子を殺し、デーヴァダッタと一切の比丘たちを殺すべきだ』と言い、一部の大臣たちは会議して『比丘たちを殺してはならない。比丘たちには何の罪もない。王子とデーヴァダッタを殺すべきである』と言い、一部の大臣たちは会議して『王子を殺してはならない。デーヴァダッタと比丘たちも殺してはならない。王に告げるべきである。王の言葉の通りにしよう』と言います」
「ブッダ・ダンマ・サンガはこれをどうしているか。世尊はすでにラージャガハにおいてデーヴァダッタを顕示させ、『デーヴァダッタはその本性が以前と今とでは異なる。デーヴァダッタの身と語の為すところをもってブッダ・ダンマ・サンガと見るべきではない。ただデーヴァダッタのみであると見るべきである』と言わせたのではないのか」
 ここに会議して「王子を殺し、デーヴァダッタと一切の比丘たちを殺すべきだ」と言った大臣たちの官職を免職にし、会議して「比丘たちを殺してはならない。比丘たちには何の罪もない。王子とデーヴァダッタを殺すべきである」と言った大臣たちを下位に置き、会議して「王子を殺してはならない。デーヴァダッタと比丘たちも殺してはならない。王に告げるべきである。王の言葉の通りにしよう」と言った大臣たちを上位に置いた。
 ときに、マガダの王であるセーニヤ・ビンビサーラはアジャータサットゥに言った。
「王子、どうしてあなたは私を殺そうと欲するのか」
「大王、私は王位を得ようと欲します」
「王子、もしあなたが王位を得ようと欲するならば、あなたに王位を譲ろう」
 こうしてアジャータサットゥに王位を譲った。
六 ときに、デーヴァダッタはアジャータサットゥのところに到った。到ってアジャータサットゥに言った。
「大王、人々に命じて沙門ゴータマの命を奪わせなさい」
 ときに、アジャータサットゥは人々に命じて言った。
「尊デーヴァダッタの言葉のようにしなさい」
 ときに、デーヴァダッタは一人に命じて言った。
「友よ、行け。そこに沙門ゴータマが住んでいる。その命を奪い、この道から戻って来なさい」
 その道に二人を立てて「この道に一人で来る者がいれば、その命を奪いこの道から戻って来なさい」と言い、その道に四人を立てて「この道に二人で来る者がいれば、その命を奪いこの道から戻って来なさい」と言い、その道に八人を立てて「この道に四人で来る者がいれば、その命を奪いこの道から戻って来なさい」と言い、その道に十六人を立てて「この道に八人で来る者がいれば、その命を奪いこの道から戻って来なさい」と言った。
七 ときに、その一人は剣と盾を取り、弓と箙を装い、世尊のいるところに詣った。詣って世尊の近くに行くと恐怖し、嫌煙し、疑惑し、驚愕し、身体が硬直して立った。世尊はその人が恐怖し、嫌煙し、疑惑し、驚愕し、身体が硬直して立っているのを見た。見てその人に言った。
「友よ、恐れてはならない」
 ときに、その人は剣と盾を一方に置いて、弓と箙を捨てて世尊のいるところに詣った。詣って頭をもって世尊の足に礼して世尊に言った。
「私は過っていました。あたかも愚者のように、癡者のように、不善者のように。私には悪心があり、害心があってここに来ました。世尊、私の過ちを過ちとして受け入れ、未来を収めてください」
「友よ、あなたは過ちを犯しました。あたかも愚者のように、癡者のように、不善者のように。私には悪心があり、害心があってここに来た。友よ、あなたは過ちを過ちとして見、如法に懺悔するがゆえに私たちはこれを受けよう。友よ、これは聖者の律の増大である。過ちを過ちとして見、如法に懺悔して未来を収めるがゆえである」
 ときに、世尊はその人のために次第に説いた。すなわち、施論、戒論、生天論、欲の過患・邪害・雑染、出離の功徳を説いた・・・苦集滅道である。たとえば清浄で黒い点がない布が正しく色を受けるように、そこにおいてその人に遠塵離垢の法眼が生じた。すなわち、集法を有するものは全てこれ、滅法を有すると。
 ときに、その人はすでに法を見て、法を得て、法を知り、法に悟入し、疑惑を越え、猶予を除き、無畏を得て、師の教えの措いて他によることがなく、世尊に言った。
「素晴らしい、素晴らしい。たとえば倒れたものを起こすように・・・私はここに世尊と法と比丘サンガに帰依します。世尊、私を優婆塞として受け入れてください。今日より生涯帰依します」
 ときに、世尊はその人に告げて「友よ、この道から行ってはならない。この道から行きなさい」と言い、他の道から行かせた。
七 ときに、その二人は「どうしてあの一人は来るのが遅いのか」といい、逆行して、世尊が一樹下に座っているのを見た。見て世尊のいるところに詣った。詣って世尊を敬礼して一方に座った。彼らのために次第して説いた・・・生涯帰依します」
 ときに、世尊はその人たちに告げて「友らよ、この道から行ってはならない。この道から行きなさい」と言い、他の道から行かせた。
 ときに、その四人は「どうしてあの二人は来るのが遅いのか」と言い、・・・他の道から行かせた。
 ときに、その八人は「どうしてあの四人は来るのが遅いのか」と言い、・・・他の道から行かせた。
 ときに、その十六人は「どうしてあの八人は来るのが遅いのか」と言い、・・・生涯帰依します」。
九 ときに、その一人はデーヴァダッタのもとに到った。到ってデーヴァダッタに言った。
「私はあの世尊の命を奪うことができませんでした。あの世尊は大神通大威力があります」
「友よ、やめなさい。あなたは沙門ゴータマの命を奪ってはならない。私が自ら沙門ゴータマの命を奪おう」
 そのとき、世尊はギッジャクータ山の背後に経行していた。ときに、デーヴァダッタはギッジャクータ山に上り、大石を投げて「これによって沙門ゴータマの命を奪おう」と思った。両側の山が相寄ってその石を支えたが、石の欠片が堕ちて世尊の足から血を出した。ときに、世尊は上を仰いでデーヴァダッタに告げた。
「愚か者よ、あなたが非福を積むのは多大である。あなたは悪心、害心があって如来の血を出したからである」
 ときに、世尊は比丘たちに告げて言った。
「比丘たちよ、ここにデーヴァダッタは初めて無間業を得た。悪心害心があって如来の血を出したからである」」(続く)

     『南伝大蔵経4 律蔵4』大蔵出版 P284–297

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