かれこれ15年くらい前になると思いますが。ピアソラの Original Sound Tracks というシリーズが店頭に並んでいました。 当時は、ピアソラの存在も凄くマイナーで情報が限られていましたし、「闘うタンゴ」が出版されるずっと前で、最近では例の安物箱に入っているような音源が、ジャケットだけ変わって内容のクレジットもほとんどされない状態で店頭にならんで、何度も同じ内容のCDを掴まされる事が多かったのです。 そんな中でも一段と手を抜いていそうな、トホホなジャケット。手持ちで載せたジャケ写真のうち、ピアソラの写真が使われているものは、ペラペラの1枚で、ウラは白紙... 内容も、曲の断片のような小品が、しかもあまり違わない内容で繰り返し出てきたり...
と、まあ、ピアソラの作品としてみるとトホホなのですが、
ジャズのマイルス・デイヴィスの名盤、カインド・オブ・ブルーの録音時の編集前のテープ(テイクXX、とかが順番に入っているようなもの)が話題になりましたが(海賊盤です) そういうのと同じようなものと考えて聴きなおしてみると、けっこうイケるのです。 未発表曲のリハーサル集。 A intrusa は、ピアソラの80年代の五重奏団の最初の録音とされていて、クレーメルも取り上げていた Celos はこれが初出で、演奏は当然クレーメル盤を上回ります。 El Infierno Tan Temido のテーマ曲は、フルートとギターのための「タンゴの歴史」のナイトクラブ1960で使われているメロディです。この曲はピアソラ本人もお気に入りだったのか、他にも転用しています(リシャール・ガリアーノが演奏している真夏の夜の夢)。 楽曲の完成度こそイマイチですが、ピアソラのバンドネオンやスアレス・パスのヴァイオリンは、ここでもグッときます。