ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

怖い話スキーコミュの言霊しばり。

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
みなさま、こんばんわ。

久しぶりにお話をさせて頂きたいと思います。


お暇でしたら、どうぞ最後までおつき合いください。







これは、僕の友人から聞いた話です。



彼の後輩にK君という人がいて、今年で大学1回生になるんですが、彼は神社を回るのがとても大好きな人なんだそうです。



なんでも、神様を祭り上げるために人が頭をフル回転させて作り上げた「聖域」を見ていると、自分もなんだかやる気が湧いてくるのだとか。



K君いわく、神社やお寺にはそのような不思議なエネルギーに満ちているんだそうです。



そして、彼はその日も神社へと足を運び、その「ご利益」に賜ろうとしていました。



しかし、その日はどうも神社の本殿も、狛犬も、鳥居も、というか境内全体がなんだかフワフワしている感じがして、やる気どころか不安感をあおられて、逆に不快な気分になってしまったそうです。



「おかしいなぁ、いつもならこんなことはないのに」



彼は首を傾げましたが、右に左に首をかしげたところで気分がよくなるものでもありません。



「しかたない。今日はもう帰ろう」



そう思い渋々、境内をぬけて鳥居をくぐろうとした時、視界の端に何かがチラと写った気がしました。



はてと思ってそちらの方に目をやると、そこには庭木に紛れた小さな祠が一つ。



そして、その前にはまだ新しい花と可愛らしい小さな箱が供えられていたそうです。



こんなところにあっては、ほとんどの人が気付かないだろうに。なんでまたこんなところに建てたんだろう、不思議に思ったK君は、その祠の近くまで行ってみることにしました。



近くまでよってみると、その祠は思ったよりも古く、所々腐ったり、苔が生えたりして手で押せばそのままズブズブと崩れてしまいそうでした。そして、その祠の古さがお供えものの花や箱をより鮮やかに、生ヶしいまでに際立たせています。



「なんとも、おどろおどろしいな…しかしこんな祠にもちゃんとお供えをする人はいるんだ」



そう思って彼は改めてその捧げられた供物に目をやりました。



それは遠くで見て、推測したよりも、もっと緻密でもっと繊細なデザインが施された箱でした。色とりどりの千代紙のもっとも良い部分をちぎり取り、のりで貼付けていったらしいそのデザインは、まさに計算し尽くされた至高の一品といった感じがします。



しかも手に取ってみると、しっくりと収まり、心地よい重さが伝わってきます。さらには、どの面から見ても、貼付けられた色たちは主張しすぎず、互いを殺し合うということもしません。それでいて箱全体はすばらしく均衡がとれており、一目でアマチュアの作品ではないことがわかりました。




「欲しい」




彼の心に業火のごとく欲望が燃え上がりました。








気付くと彼は、自分の下宿先の玄関の前で、荒い息をして立っていたそうです。手にしっかりとあの箱を握りしめて。



「ざまぁ、みやがれ。あんなボロぞうきんみたいな祠よりも、おれの手元にあった方が絶対にいいに決まってやがる」



汗まみれの顔を拭おうともせず、彼は一人ほくそ笑みました。



それからというもの、K君はその箱を肌身離さずに持ち続け、時間があればその箱にうっとりと視線を投げかけ続けました。



大学の授業など、もう目にもつきません。神社好きが高じて入り、熱心に活動していた古美術サークルも無断で休むことが多くなりました。



K君を心配した友人数名が、一度彼の家に行き、事の真相を突き止めようと動き出すのにそれほど日数はかからなかったそうです。



友人数名が彼の下宿先に行き、ドアを開けると、そこには薄暗い部屋で目をぎらつがせながら箱に見入るK君の姿があったそうです。



誰もが、彼が変わってしまった原因を確信しました。



「あの箱だ」



すかさず、友人たちはK君と箱を引きはがします。
K君はそれほど力が強い方ではありませんでしたが、必死の抵抗と鬼のような形相にみんなだいぶと手こずったようです。



「おい!てめえら!何しやがる!それはオレのもんだ!返しやがれ!」



普段らしからぬ口調で暴れるK君に、友人たちは若干の恐怖すら覚えたそうです。



そして、その箱をようやくK君の手の届かないところにおいて、彼が落ち着くのを待ったそうです。



ようやく落ち着いてくると、口調も普段のK君に戻ってきたので、友人たちは彼から話を聞いてまとめることにしたそうです。



すると、次のようなことがわかってきました。



①その箱を持った瞬間にそれが非常に綺麗で貴重なものに思われて、手放したくなくなる。


②次に、自分でも意識しない内から、汚い言葉が後から後から口をついて飛び出してくる。


③最後に、まるで、その箱に陶酔するかのように、その汚い言葉をはいている自分に陶酔してしまう。






これは、いよいよこの箱がただの箱ではないということがわかってきました。
K君たちはこの箱をいますぐ元々あった場所に返しに行こうと、トランクにその箱を放り込んで車をその神社へと飛ばしました。



目的の神社はすぐに見つかりました。
しかし、その祠は境内のどこを探しても見当たりません。



「おかしいなぁ、前に来たときはこのあたりにあったはずなのに…」



彼らは躍起になって境内をくまなく探しましたが、そんな祠は影も形も見当たりません。
気付けばあたりはすっかり暗くなり、不気味な風が鎮守の森から流れてきます。



「今日はもうあきらめて、明日また探そう」



彼らは、その神社が放つ雰囲気に完全に気圧されてしまい、逃げるように車へと戻りました。



しかし、彼らが車に戻り、トランクを確認した時にはすでにその箱はこつ然と姿を消してしまっていたのでした。









「”言霊”ってものがあるじゃないですか。どんな言葉にも、喋った人の気持ちが魂になって乗っかって、他人の心を揺さぶるっていう。

あれは多分、その言霊の中でもうんと純粋に汚いやつ、執念深いやつを凝縮してあの中に閉じ込めて、聖域の中でじっくり時間をかけて鎮めてた途中のものだったんじゃないかって思うんですよね。

それを僕が聖域から現世へとまた解き放ってしまった。



…多分、僕は地獄に堕ちるんじゃないかなって思います」



遠い目で、K君は僕の友人にそう話したんだそうです。



最後まで、長駄文におつき合い頂きまして、ありがとうございました。

コメント(4)

地獄に落ちるって…滅多なことは口にするもんじゃないよ。
本当になってしまうよ。

それが『言霊』です。
不思議な話しですね

 でも言霊ってほんとにあると僕は思いますよ

 人には色んな力がありますが、はき捨てた言葉が

 ほんとに相手に降りかかるって事あるので逆にその人たちは

 自分を自制してますよ。

 でもその方が無事でよかったです(^w^)

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

怖い話スキー 更新情報

怖い話スキーのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。