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ランチ ネット短歌 歌人コミュの念力短歌32 河村壽仁編

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念力で春の宵つむじの風は巻く砂山に地蔵形の童子の墓あり(かわむら)

生まれ変わる呪文を唱えて眠りたまえ 私の朝は窓からローマだ(かわむら)


焼きもろこしの粒降る夕べ UFOから街を見下ろしてゐる藤原定家(かわむら)

先祖霊もみんな集まれカレーの日 彼岸の香草をぐつぐつ大鍋に(かわむら)

図書館の書庫の暗がりに念写して漱石と肩組む文学少年(かわむら)

夕闇の廃線駅の豆腐屋前 小鳥をなくしたる占星術師(かわむら)

アトランティスの夕暮れに聖歌は流れたり生者も死者も胸に手をあわせぬ(かわむら)

鼻すすり啜り眺めたる牧野信一全集の前に阿修羅のごとく主人は座りをり(かわむら)

前世は木だったひともいるはずのこの春の宵 ドストエフスキーを読め(かわむら)

埋蔵金持参の奥さんと結婚した山田さんはヘルメットかぶって今日も坑道へ(かわむら)

死に神と契約を交わしたる公爵はいのちの蝋燭を30センチ削りぬ(かわむら)

黄昏の守護霊団をつれてトモくんはメロンパンを三個いなげやで買ひぬ(かわむら)

城門をくぐりて朝のカモメに会う海市・ムー大陸・我がふるさとの家(かわむら)

前世は平賀源内 エジソンは竹林の風を夜毎に思ひ出す(かわむら)

犬公方綱吉がアイスを食べる憐れさよ ローマの休日 階段前広場に(かわむら)

太陽神の名前をわすれて立ち尽くし太陽みつめて神官死にたり(かわむら)

ミイラに布を巻くひとだったらしい 私の前世を語る退行催眠術師(かわむら)

この辛いカレーを食べる破目になりぬ カレー屋《輪廻転生ハウス》(かわむら)

金田一耕介のフケを払ひつつ鬼首村の陰膳七夜(かわむら)

4歳園児の《キリンさん》の絵も巨大スキャナーで取り込む ナスカの地上絵(かわむら)

点呼する作業監督の声荒くなりぬ 守り神はいつも微笑む現場に(かわむら)

夕闇の道玄坂のラーメン屋 ミイラ男は布まきてをり(かわむら)

地蔵菩薩は彼岸口の番人にパスポートの入国経を読み聞かせゐたり(かわむら)

唐突に駅のホームで片鼻をおさえ《ふんっ》と水晶玉をとり出す少女(かわむら)

文殊菩薩を一体彫るため細木数子は出現させたり六本木の古樟(かわむら)

真夏に雪を降らせる人造人間の住む古城ありぬ 百年むかしに(かわむら)

湖と青猫と仏像の浮かぶ夜 おでんのにおいの漂う既視感(かわむら)

永田町の首相官邸にモアイ像を百体ならべて《星の牧場》忌(かわむら)

金八先生が《人》といふ字を語る夕 アパート二階のシチューは焦げたり(かわむら)

《わたくしは仏陀である》と目が覚めぬ 羊皮紙は春にして《輪廻》と書くひと(かわむら)

かのひとの腋臭(わきが)を愛するあのひとにヴィオラのかたちの香水を捧げぬ(かわむら)

春色のバスに乗せられゾンビゆく《きみに会う前の僕に会うため》(かわむら)

コメント(8)

しんくわさん、まとめて下さってありがとうございます!

こう見ると、もうちょっと、どうにかしたいな。。。と思いますね(笑)即詠のあとにはいつもそう思うのです。

32首速詠にこれから挑戦する方へ。これを反面教師(?)にしていただけたら幸いです(^^)

しんくわさん、みにごんさん、笹さん、昨夜はほんとうにお疲れ様でした。ちっちゃなお祭り、という感じで面白かったです。ありがとうございました。
やはり、河村さんテイストがでてますね。
歴史上の人物と、食に対するこだわりが溢れてます。

先祖霊もみんな集まれカレーの日 彼岸の香草をぐつぐつ大鍋に(かわむら)

この歌の結句、ぐつぐつ煮込む じゃなくて、 ぐつぐつ大鍋にって字余りさせたのは、河村さんの体内のリズムみたいなものなんでしょうか。


湖と青猫と仏像の浮かぶ夜 おでんのにおいの漂う既視感(かわむら)

この歌は、河村さんのすべてが凝縮されている感じですね。
>図書館の書庫の暗がりに念写して漱石と肩組む文学少年

「図書館」「書庫」「暗がり」「漱石」「文学」「少年」…
なんとストイックでメランコリーな名詞が惜しげもなく振りまかれた歌なのでしょうか。
名詞を目で追いかけて繋いでいくだけで静謐なイメージと、少し微笑ましいセピア色を沸き立たせてくれます。

>埋蔵金持参の奥さんと結婚した山田さんはヘルメットかぶって今日も坑道へ

笑いました(笑)
山田さん、きっとふだんからヘルメットかぶって坑道へ行くような人だったんでしょうね。それで、親がやきもきして「この子結婚できるんだろうか」「早く結婚しろ」とせっついた。

そしたら、結婚はしたんだけど、山田さんは「埋蔵金持参」の奥さんをもらってやっぱり毎日坑道へ…両親ガックリ!と言ったところでしょうか。
いえ、もしかしたら、やきもきした親が結婚相手にそっと耳打ちしたのかも知れません。

「お見合い写真のプロフィールに『埋蔵金所持者、未発掘』と書いて」

と。


>真夏に雪を降らせる人造人間の住む古城ありぬ 百年むかしに

キューンとしました。
「真夏に雪を降らせる人造人間」の出典は知らないのですが、どうして人造人間は真夏に雪を降らせるのでしょう。

それは、つまり、寂しかったからではないでしょうか。

冬に雪が降る土地は、その季節には外界から閉ざされ、当然人が出入りする事はありません。
しかし、夏ともなれば「人が出入りする」可能性もある訳です。でも「人造人間の住む古城」なんかに誰も尋ねて行く筈がなく、「人造人間」は季節を忘れたくて雪を降らせた。
それが百年むかしの話である。と言う歌ではないかと。

助動詞「ぬ」は完了の助動詞ですよね。
動作の完了に使う助動詞で、「戸が閉まった」「日が暮れた」のように使われたんじゃないかと思います。
「あり」を動作動詞として使っていないようなので、良く分からないところですが…「ありき」とすると直接過去になってしまうからでしょうか。

>春色のバスに乗せられゾンビゆく《きみに会う前の僕に会うため》

ニッケルバックと言う洋楽バンドの「someday」って歌、ご存知でしょうか。
アメリカ版yahooのIDを取得すると、これのPVを見る事が出来ます。

この一首は一見くすっと笑ってしまうユーモラスな歌に見えますが、本当は胸を突き揺さぶる切ない歌なのではないかと言う思いの答えが「someday」のプロモに詰まっています。
要するに、時間を超越している「ゾンビ」は、死んでいるのです。そして、「きみに会う前の僕に会うため」春色のバスに乗って、時間を遡っていくのです。

切ない歌です。
>助動詞「ぬ」は完了の助動詞ですよね。

すみません、ふつうに「いた」と訳せばよいのですね;
文法がよく分かっていなくてすみませんでした;
>しんくわさん

 コメントをありがとうございます(~~)
 ご指摘の字余りは、わたしの身体内奥のリズム感覚では自然なリズムだったので気付きませんでしたが、たしかにそうですね。あとで推敲のときにもういちど検討したいと思います。

>みにごんさん

 コメントをありがとうございます(^^)
「河村ワールド全開」といえるほどのワールドはまだないのですが、精進いたします(笑)。

>テオさん

 コメントをありがとうございます(^^)

 文法は私もしょっちゅう間違えてますので、お気になさらないでください(笑)

 人造人間の歌は、映画「シザーハンズ」をなんとなくイメージして作りました。

 ここで書かせて頂きますが、テオさんの32首、面白かったです(^^)

 お疲れ様でした。
>夕闇の廃線駅の豆腐屋前 小鳥をなくしたる占星術師

絵が浮かびます 赤く照らされたおじさんがぱーぷーと
笛吹きながら戻ってきそう


>湖と青猫と仏像の浮かぶ夜 おでんのにおいの漂う既視感

匂いの記憶ってすごいですよね。青猫に文学の香りを感じ
湖と仏像に静謐さを感じました でもおでんってところが
ノスタルジックで素敵


>かのひとの腋臭(わきが)を愛するあのひとにヴィオラのかたちの香水を捧げぬ

フェチズムはエロティシズムに繋がると・・。
なんかどきどきします。

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