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ジャズ・LPレコードコミュのアナログで聴きたいアルバム(8)

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ON CAMPUS! / IVY LEAGUE JAZZ CONCERT!
 (Bethlehem BCP 6044  1959)

featuring:
Teddy Charles(vib), Zoot Sims(ts), Jimmy Raney(g)
Sam Most(fl), Dave McKenna(p), Bill Crow(b)
Ed Shaughnessy(ds)

Side 1
1, RIFFTIDE
2, TOO CLOSE FOR COMFORT
3, THESE FOOLISH THINGS
4, STRUTTIN' WITH SOME BARBECUE
5, YESTERDAYS

Side 2
1, YALE BLUE
2, WHIFFENPOOF SONG
3, THAT OLD BLACK MAGIC
4, NIGERIAN WALK


 「ベツレヘム」というレーベルは、とても魅力的に思えていた。もちろん、このレーベルからリリースされているレコードはどれも、内容のみならず、ジャケット・デザインも素敵だったからである。 

 それだけではない。国内盤でリリースされるのは、マル・ウォルドロンの『レフト・アローン』を筆頭に、結局は有名盤ばかりだが、このレーベルには、日本ではあまり紹介されることのないミュージシャンのリーダー・アルバムが結構あるからだ。

 そうしたレコードのジャケットを裏返し、メンバーにお気に入りのミュージシャンを見つけて、家へ連れて帰る……。レーベルの全体像がよく分からなかっただけに、いったい誰のどのようなアルバムのが、どのくらいの枚数あるのか、見当も付かなかった…。それは、逆に言えば、このレーベルにはいつも新鮮な発見が伴っていたということでもあった。

 リスト、カタログ、ディスコグラフィーといった資料は、とても貴重であるし、それを作成する労力たるや想像を絶する大変さである。その対象がいかに極小レーベルであっても、寡作ミュージシャンであっても、周辺情報も含めて対象に関する豊富な知識が必要だし、そもそも人並み以上の思い入れや愛着がなければできない。「資料」である以上、正確さは前提とされているわけだから、神経だって使う…。それが分かっているから、「資料」にはいつも最大限の敬意を払ってきたつもりだ。

 少し前のこと、ベツレヘムの日本国内での取り扱い会社が変更になった。その異動先である東芝のWebサイトでは、ベツレヘムの全リリースデータが公開された。しばらくすると、それをベースにしたと思われる『決定版ベツレヘム・ブック』がジャズ批評から出版された。

 これを見ているのは確かに楽しいし、情報も増えた。しかし、ベツレヘムに抱いていた私的な思い入れは、見事に消滅してしまった。『決定版ベツレヘム・ブック』によって、ベツレヘムというレーベルからリリースされたアルバムのほぼ全貌が明らかになったことで、わたしにとっての神秘性は暴かれてしまったのである。つまり、レコードショップでの「発見」の楽しみ消え失せてしまったのだ。これでベクトルは逆になった。この本で欲しいアルバムの目星をつけて、それを探す…。リストを埋めていく買い方は、未知なるものを求めて探すのに比すれば、魅力は半減だ。時として、苦痛になってしまうことさえある。

 このアルバムを買った頃、まだベツレヘムは神秘性を湛えたレーベルだった。このアルバム自体は、ジャケット写真共々、雑誌・書籍で取り上げられることもあったので、その存在自体は知っていた。それでも、このジャケット、実物を前にしたときは、やはり圧倒された。「底抜け」だったけれど、1万円近くしたか、それ以上だったと思う。それでも、購入は、最初の一瞥で決めた。

 このアルバムは、エール大学でのコンサートを収めたライブ盤であるが、長々と続くジャムセッションが記録されいるわけではない。メンバーからすると、勿体ないような気もするが、ホーン奏者が抜けたMJQ的な編成の演奏さえある。一曲一曲が、ちゃんと、それもどれもがスィンギーに演奏されている。このあたりは、テディ・チャールズのコンセプト性に負うところが大きいのだろうか…

 個人的な嗜好でいえば、チャールズはとても魅力的なミュージシャンだ。演奏スタイルがどうの、アドリブがどうのというレベルではなくて、この人の音楽性が好みに合うといえばいいのだろうか。たとえ演奏をしていなくても、チャールズが制作に何らかのかたちで絡んでいれば、そのアルバムは「面白い」仕上がりになる。凝りすぎて、それが鼻につくと言う人もいるけれども。

 このアルバムには、いわば「隠れ目玉」が二人いる。ベースのビル・クロウがその一人。村上春樹訳で翻訳もある『さよならバードランドの』の著者。この人はオールマイティーな名手というわけではないが、そのシュアな演奏は、多くのミュージシャンに愛されてきた。A-3「ジーズ・フィーリッシュ・シングス」で、大親友だったズートがソロをスィンギーに展開できるよう、バックでもり立てている。

 もう一人は、ドラムのショーネシー。最後の曲「ナイジェリアン・ウォーク」で表現に富んだドラム・ソロを聴かせてくれる。ドラム・ソロには辟易すると書いてきたけれど、こんなソロなら楽しい。ソロの後で、チャールズが奏でる魅力的なテーマに耳を奪われると、聞き手はこの曲を二重に楽しんでいることに気づいているはずだ。(ついでながら、録音はベース奏者でもあるピーター・インドが担当している。)

 このアルバムを買ったショップには、二度と行っていない。旧式のレジスターに表示された額をきっちり支払おうとしたら、店主らしき若い男が「そんな端数のお金はいらん!」と睨みつけながら怒鳴り立て、消費税の一桁を突き返してきたからだ。

 このアルバムは、フレッシュ・サウンドでも復刻されたし、今では国内盤CDだって入手可能のハズ。オリジナル盤でなくても、演奏が内容的に充実しているから、十分に楽しめる。是非、このブルドッグとにらめっこしながら、聴いて下さい。

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