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【新】鈴木そ○子の心霊怪奇話コミュの第73話 幼馴染

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「懸命に手を伸ばしました。でも………あとちょっとが届かなかった……」


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 彼は僕の小学校からの幼馴染みでした。同じ高校に合格したことがわかった時、ハイタッチをして喜び合ったものです。良い事も悪い事も、なにをするにしても二人はいつも一緒でした。でもそんな日々にも突然のように幕はおろされたのです。


 高校入学を目前に控えていたある日の事です。その前日に降った季節外れの大雨のため、僕の家の裏を流れる川は、かなり増水していました。山のほうでは土砂崩れによる被害が出ていたと記憶しています。

 彼から「いまからそっちへ遊びに行く」と電話がありました。家の裏の川は増水したあと、おそらく上流の生簀(いけす)で飼われていたものが流れ出るのでしょう、鮒や鯉、時には大きな錦鯉などが堤防に打ち上げられていることがしばしばありました。
 そんな話を僕がしたものだから、彼もその気になって電話してきたというわけです。

 彼がやって来るとすぐ、僕たちは川へ行ってみました。水は少しだけ引きかけていたようです。
 というのは当時、その川はまだ今のようにコンクリートで護岸されておらず草の生い茂る自然なままだったので、水が引いたあとはその草が倒れていて、川のどのあたりまで増水したのかがよくわかったのです。

「なんだか怖いな」彼はそう言うと、打ち上げられた魚がいないか堤防の道をゆっくり歩いて行きました。
 僕は土手のどの辺りが危ないかだいたいわかっていたので、「僕のあとについてくれば大丈夫だよ」とちょっと優越感を感じながら彼を誘導していきました。

「よくこのへんに上がってるんだけど……」
 いました。鮒と白い大きな鯉でした。わあっと声を上げて二人とも魚をつかもうとしたその時です。いつもなら大丈夫なはずの足場がぐずぐすと崩れたのです。

 どうも二人で同じ場所に立ったのがいけなかったようです。いつもは僕だけだったから、土手はなんとか持ちこたえていたのでしょう。二人はあっという間に川の中に落ちていきました。

 外からは緩く見えた川の流れは実際にはかなり急で、しかも普段なら胸のあたりまでしかない水面が、その時は僕たちの背よりもずっと上にありました。
 濁流ですから水中はなにも見えません。一緒に落ちた彼がどうなっているかもわかりません。と言いますか、彼がどうなったかと考える余裕もありませんでした。

 なんとか水面まで上がれたかと思うとすぐさま押し流されては沈み、そんなことを繰り返しているうちにだんだん体力は消耗していきました。
 最後の力を振り絞って上にあがると、彼の姿が見えました。彼はなんとか岸に泳ぎついたようで、僕に向かってなにかを叫びながら棒きれを差し出していました。

 必死で手を伸ばしましたが、あとちょっとのところで届きません。僕はだんだん気持ちが良くなっていき、やがて川底へ沈んでいきました。


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 次の日の夕方、僕の体はその川の下流で発見されました。

コメント(2)

>>[001]
ブッ、ナイスコメントに思わず吹き出しました

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