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幻想的・神秘的なものが好きコミュのfantasia

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ブブは今日もよく眠っている。
お日様が早くおはようを言いたがっているよ。
キャロルは一生懸命、魔法使いの杖を作っているんだ。
昨日、湖の近くで拾った綺麗な星の形をした石を先につけて。
ブブは弟で、キャロルはお姉ちゃん。
ファンタジアって国に住んでいるんだ。
「これで完璧だわ。」
キャロルは星の杖を自慢げに振りかざした。
まだまだ勉強中なんだ。
魔法使いの学校の一年生。
ブブはまだ学校には行っていないよ。
よく道ばたに座り込んで虫とか見てたり落書きしたりしてる。
「ブブったら、まだ寝てるのね。」
キャロルはおひつじ座。
だからって訳じゃないけど、ひつじが大好きなんだ。
「ブブ、もう朝よ。」
ブブはムニャムニャ何か言っている。
象の郵便屋さんが来るとか来ないとか、そんな事言ってる。
まだ寝ぼけているんだ。
「ブブったら、もう!」
寝ぼけまなこをこすりながら、お姉ちゃんを見つめたよ。
「キャロルお姉ちゃん、おはよう。」
そう言って、ニッコリとした。
空にはモコモコした雲がぷかぷか浮かんでいるんだ。
とても気持ち良さそう。
「ほら、ブブ。」
そう言ってキャロルは星の杖をブブに見せた。
ブブは目をまんまるくした。
「すごい、お姉ちゃん。
 魔法使いになったみたいだよ。」
「そうでしょ。」
キャロルは胸をツンとはってそう言った。
「今日はこれを持って学校に行かなくちゃ。」
「うん。」
星の杖でいつか、夜空にたくさんの星座を描くんだ。
「ブブは今日、何をするの?」
ブブは、うーんと考えた。
まだパジャマを着たまんま。
「秘密だよ。」
そう言って笑った。
「私はもう学校に行ってくるからね。」
キャロルはそう言ってブブの部屋を出て行った。
行ってらっしゃい。がんばってね、キャロルお姉ちゃん。
ブブは窓の外の空を見上げた。
輝くお日様。
「おはよう…。」
みんなおはよう。
今日という日は、みんながみんな初めて出会う日なんだよ。
ブブは早速着がえて家の外に出た。
家の前の道は、じゃり道なんだ。
雪が降ったのは、もういつの日の事だろう。
今日は陽気な春の日さ。
ブブは半そで。
クマの絵が真ん中に描かれている。
少しまだ肌寒いけどね。
でも、お昼になれば調度イイよ。
ブブは走って行った。
近くのコンビナートへ。
これはブブだけの秘密。
実は一ヶ月くらい前にブブはコンビナートの廃墟で秘密基地を作ったんだ。
サビたネジや車輪のわく。
そんなのいっぱい集めて、ロボットなんかを作ろうとしてる。
夕日の光を浴びて、そんな遊びをするのは、ブブにとってとても楽しいんだ。
場所は、ブブにしかわからないよ。
いろんな細い路地を抜けて辿り着くんだ。
今日は少し大きな鉄の板を探しに行かなくちゃ。
そんな感じでブブはコンビナートをうろうろしていた。
とてもいい天気。
ブブは調子良くって口笛を吹いている。
それは風に溶けるね。
温かいよ。
どこまでも広がっていく。
いつか光のプリズムと共鳴し合って美しい風景を作り出す。
そんな世界さ。
みんないつか気付く事だよ。
キャロルはどうしているんだろう。
キャロルは昨日の夜から、ほんとにがんばって星の杖を作っていたから。
一番窓側の席なんだけど。
眠ってしまっているんだ。
今日はいい天気だから、春の陽気に誘われて夢の中。
場面は夜の森の中。
静まり返った湖のほとりでユニコーンを見かけた。
キャロルにとっては憧れの存在…。
だって夜空を駆ける天馬だから。
ユニコーンは水を飲んでいる。
キャロルは固まってしまって、ただそれを眺めていた。
星空は輝いている。
とても甘い夢の雫が今にもこぼれ落ちそう。
キャロルの目には薄く水の膜が張っている。
それがたくさんのものを反射するもんだから。
ユニコーンはキャロルの存在に気付いたよ。
キャロルの右手には、大事な大事な星の杖。
でもキャロルはその事は忘れてしまってる。
一瞬、目と目が合ったんだ。
ドキってした。
そしてユニコーンは周りを見回して、大きな翼を広げた。
「あっ。」
キャロルがそう言った瞬間に、ユニコーンは宙に浮いた。
夜空の彼方に飛んで行ったんだ。
星がいっぱい輝く、その向こう側。
キャロルはポツリと一人で立っている。
そして肩に雨粒が一滴落ちてくる。
夢の雫。
キャロルは夜空をずっと見つめている。
またいつか逢いたいね。
そうだね。
またいつか逢いたい。
「いつでも戻ってきていいんだよ。」
お月様はそう言った。
いつまでも綺麗な夜の森…。
ブブはその頃、大はしゃぎだ。
とてもピッタリの大きな鉄の板を見つけたんだ。
誰もいない古びた倉庫の奥。
たぶんベッドのスプリングの積み重なった、その下じきになってた。
それを持って秘密基地まで運んだ。
すごく重たいんだ。
だってブブの身長の3倍はあるからね。
それにたくさんのものをくっつける。
鼻は木の枝にしたんだ。
いつしか夕暮れになって、ブブはロボットの足の部分を作っていた。
ひらひらと白いモンシロチョウが鼻の木に止まってブブを眺めていた。
「こっちへおいで。」
どこからか声がした。
「だれ?」
ブブは辺りを見回してそう言った。
「みんなと隠れんぼしよう。」
ブブは見つめた。
白いモンシロチョウ。
モンシロチョウがブブに話しかけているんだ。
「君か。」
ブブはモンシロチョウに言った。
「こっちだよ。」
そう言ってモンシロチョウはひらひらと舞いだした。
ブブはそれにつられてついて行く。
空はもう、どんどん暗くなっている。
コンビナートの奥にある暗いくらい雑木林の中。
その向こう側に何があるかは、ファンタジアのみんなも知らない。
ただ、そこに行ったら二度と帰ってこれないって言われているんだ。
ブブはひらひらと泳ぐ蝶の後をついて行く。
どこからか、ヒソヒソ声が聴こえる。
ブブの足元を緑の帽子を被った小人が走り抜けた。
「わぁ。」
ブブは驚いた。
「さぁ、こっちだよ。」
モンシロチョウは無機質な声でそう言った。
ブブは立ち止まる。
「何だか怖いよ。」
ヒヒヒ…フフフ…。
辺りからたくさんの奇妙な笑い声が聴こえる。
「もう隠れんぼは始まっているんだよ。」
そう聴こえて、ブブは見渡すと、もうモンシロチョウはいなくなっていた。
自分が来た道も覚えていない。
ブブは不安になって仕方なくなった。
そして空を見上げると星空の中をユニコーンが駆けている。
安心しなよ。みんなが君のコトを見てる。
そう言った気がした。
キャロルは家でスープを飲みながらブブの帰りを待っていた。
空にはおひつじ座が光っている。
ブブはそれに向かって走り出した。
遠くにいつも見えていたもの。
でも、それはね、手の届くところにいるんだよ。
「お姉ちゃん。」
ブブは目に涙をためて走る。
キャロルも帰りの遅いブブが心配になって家の外に出る。
誰も傷つけたりなんかしない。
抱き締めたいな…。
苦しんでいるすべての命を。
温度で安心してもらいたいな。
きっとどこかで誰かがそう思っているね。
ブブは走ったよ。
そしておひつじ座の下にキャロルが立っていたんだ。
「お姉ちゃん。」
ブブは強く抱きついた。
「ブブ!どこに行っていたのよ。」
キャロルは涙をがまんしている。
キャロルだって泣きたいのにね。
ブブが帰ってこなくて心配だったから。
でもがまんしているんだ。
この世界は不思議だね。
出会いがあって別れがある。
でもその中に、失わないものがあって。
なんかそれに気付くと、とても幸せな気分だよ。
ユニコーンはそれを見つめて飛んで行く。
ブブとキャロル。
ブブはわんぱくな弟で、キャロルは魔法使いの勉強している。
「今日はね、いっぱい寝たからね。
 たくさん夢を見たよ。」
キャロルは、そんなブブを強く強く抱き締めたんだ。
心の中にあるやさしさは、なくならないよ。
絶対に。
すべてが偶然で運命で奇跡なんだね。
そんな事を思った。
ファンタジア…。
みんながいつか見たことのある夢の国のお話だよ。






夢を見ていたいです。
http://mixi.jp/view_community.pl?id=1273427

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