「K」の項目は
K はギリシャ語に由来する子音だが、そこからさらにたどってゆくと、スメロ半島に住んでいた商業民族、セラスィア人にまでさかのぼることができる。彼らの言語では、この文字は Klatch といい、これは「破壊された」という意味だった。文字の形も、もともとは我々の H とまったく同じだったのだが、博学なスネデカー博士の説によると、紀元前730年より前に、エルテ神殿が地震によって倒壊したことを記念して、現在の形に変化したらしい。この建物は前廊(ポーチ)にある2本の巨大な円柱で有名だったが、震災のおり、片一方は直立したまま残ったが、他方は半分に折れてしまった。H はこの2本の柱を見たてたものであったことから、かの偉大な考古学者は、この大災害の記憶が民族の記憶に留まるよう形を変えたとは、感動的とまでは言わないものの、自然で質朴なことではないか、と考えたわけだ。この文字の名前が本当にこじつけ的記憶術として変更されたのか、あるいは、元々 Klatch という名前で、かの破壊は大自然の駄洒落であったのか、真相の程は分かっていない。どちらにしてもありえそうなことだから、私としては両方を信じることに異論はない??スネデカー博士は前者の意見に組したが。