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作家の卵達『落ガキ』コミュの夜のスーパーマーケット

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 夜のスーパーマーケットには魔物がすんでいる、
と言ったら月晴くんは笑っていた。
なあに、それ?
月晴くんは笑うと目じりがきゅうっとなる。茶色いふちのめがねから見え隠れする月晴くんのめじりは最高に色っぽい。

 月晴くんの名前をはじめて聞いたとき、その不思議な響きに私はぽっとなってしまった。つきはる。月晴くんの生まれた日はさぞかしきれいな夜空だったのだろう。そのせいか、月晴くんは紫色の長袖のTシャツがよく似合う。静かで、深いむらさきで、あたたかな、月晴くんが生まれた日のようなTシャツ。
 ああこの人は春生まれなんだとわかるような雰囲気を身にまとっていた。あのとき、つまり私が始めて月晴くんに会い名前を聞いた日もやっぱり今日と同じ深い紫の服をきていた。
 どの瞬間かは知らないが、その日のうちに私の心は月晴くんにがっしりとつかまってしまっていた。でもカマキリみたいに不躾な捕らえ方じゃない。シロツメクサを編むように私の心を結わえたのだ。やわらかく湿り気のある、シロツメクサで。
 一目ぼれなんて初めてだったけど、すんなりと受け止めることができた。ああ、私は月晴くんが好きだ。それは別に戸惑うことでも、恥ずべきことでもない。私が月晴くんを好きになったのは至極当然のことのようで、だから月晴くんの部屋に住むようになるまでに時間はいらなかった。迷いもなかった。

「どこのスーパーマーケットにもね、ひとりくらい魔物はすんでいるの。」
月晴くんはヤカンをコンロにかけながら私の話を聞いている。紅茶をいれるのだ。月晴くんの紅茶は、紅茶とミルクと砂糖の配分がきっちり決まっている。いつも変わらず必ずおいしい。
大きなマグカップにたっぷりと月晴くんのミルクティを入れて、夜のベランダで話をするのがふたりとも大好きなのだ。ベランダに出たって、星はたいして見えないのだけど。
 シュンシュン言うヤカンを尻目に私は話し続ける。

「従業員しかはいっちゃいけない扉の向こうとか、2階の屋上駐車場に行く階段とか、だれが利用しているのかわからない自動販売機のとなりとか、そういうところに魔物はいるの。でも魔物っていっても悪いことなんてなにもしないわ。なんていったらいいの…テレビの裏のおおきなホコリみたいなものなの。」
「興味深いね。会ってみたいな、その魔物に」
月晴くんは、紅茶の缶からきっちり3杯の葉っぱをヤカンに移す。私の分と月晴くんの分と、ヤカンのためのもう一杯。
「私はね、幼稚園のころに一度だけあったことがあるの。すごく大きな魔物だったけど年は私と同じくらいだった。ポンキッキに出てくるムックみたいだけど色は赤じゃなくて、ピンクとか緑とかいろんな色が混ざってて、角が生えてた。お肉売り場の前に、魔物はいたの。どうしてか私はひとりだった。近くにお母さんもおばあちゃんもおじいちゃんもいなかった。」
月晴くんのマグカップは青くて、雲と蜂の絵が描いてある。私のマグカップはやさしい黄色で茶色と黒の猫の絵がじゃれあっている。もわんもわんの紅茶の湯気が月晴くんの眼鏡を曇らす。

「まものは私に話しかけてきた。僕、迷子なのって。僕のうちはどこですかって。私は驚いて、あっちって言った。そしたら魔物はありがとうって言ってあっちに行っちゃった。私と魔物の思い出はこれでおしまい。」
「そっか、それでいつも君は恐れるんだね。」
「恐れる?恐れるって何を?」
「夜のスーパーマーケット」
「…そう。怖かったの、夜のスーパーが。」
でも、今はもう平気。月晴くんがいっしょに来てくれるから。
月晴くんの手は大きくて、骨ばっていて、あたたかい。ベランダから海のような夜が見えた。

コメント(5)

いつも読むばっかりでしたが、書いてみました。

無駄が多いし、意味わからないかと思いますが
一応、恋愛小説のはしくれ、になるでしょうか?
感想・駄目出し等のコメントいただけたら幸いです。
読んでくれるだけでも嬉しいです。
『綺麗』が第一印象でした。
月晴くんは、綺麗な子、なのだろうと思いました。
シロツメクサのあたりの比喩がとっても綺麗で好きでしたw
この作品は、何処かにあるようで実はない日常
そんなイメージでした

ミックさんの情景描写、結構好きかも
でも何か最後がしっくりこなかった
コメントありがとうございます!!
励みになります。

>たらこさん
ぶりっこですか(笑 きっとミック本人もぶりっこなんです!
意味わかんないですよね、私もよくわかんないです(苦笑
もっとストーリーの構成とか考えて書きます

>yuuさん
比喩をほめられるのは、なんだかすごく嬉しくて照れてしまいます。
月晴くんは美少年でしょうね、きっと。
ヤカンでお湯を沸かしてきっちり紅茶を入れてめがねをかけてるような人。
実は、モデルにした人がいます。
そこまで美少年って感じじゃないけどとっても素敵で大好きな人です。

>hanasiさん
情景描写も、比喩同様ほめられると照れてしまいます。
ありがとうございます。
構成とか、起承転結を考えずに思いつきでばーっと書く性格なので
いつも私の書くものは尻すぼみになりがちです。
そこんとこもっと考えて書いて見ます。


さて、来週でテストも終わり晴れて夏休み。
時間もあるのでまたお話書きます!!ぉ暇があったらまた読んでくださいね。
今度はもっとうまく書きます。精進します。

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