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こんばんは、始めまして。
もうすぐ雪祭りの北海道からです。
今年は大雪ですが、去年は暖冬でした。
昨年の冬つくった詩ですが、皆さんの
ご意見、ご感想よろしくお願いします。


************************
この星のみらい




車まで30m。
そう思って厚い綿入りの上着をひっかけて建物をでた。
いきなり横殴りの吹雪にたたかれ、
雪つぶてが襟元に入った。
体を縮めて車についたら、雪は吹き飛ばされていた。

暗い牧草地の中を走っても、
吹雪でどこが道やら視界がきかない。
まるで私の人生のように一寸先は見えないけれど
目指す方向だけはわかっている、
そんな孤独を楽しんでいた。

対向車に気をつけながら仕事のことを考えていた。
また今日も眠れないかな。
ふいにポケットの携帯電話が震えた。
妹からのメールだ。
私の携帯画面には、
12月に生まれたばかりの姪っ子が笑っている。
私は好き勝手生きてきたが、
妹は何かとひきかえにこの子を選んだと想う。
いつも無茶な私の身を案じて便りをくれるのだ。
画面の小さな碧来に目を落とし、この悪天候を思った。



16年前北海道へ来たとき、雪は白く、美しく、
そして軽かった。
京都の重い雪しか知らなかった私は、
こんなにゆっくり雪が落ちるものかと思った。
何ものの上にも優しくふんわり積もった。
チェーンをまきつけたトラックが走ると雪が煙って
シャン、シャン、シャン。。。
と音をたてて通り過ぎた。
しんしん冷える夜には静かに結晶が舞い降りて、
冷えた黒髪を飾った。

けれど今年の冬、そんな雪を見ただろうか?
もうこの冬が最後かもしれないのに、
優しくおだやかな雪を見ていない。
霙。雹。そんな重い、固い雪ばかりだった。
昼には気温が上がり、道は霙と泥にまみれた。
夜には泥が凍って、
トラックは氷とアスファルトを削っていく。

街が近くなり、赤信号で再び携帯の碧来をみる。
碧に輝く人になって未来を生きて欲しいという
願いなのだという。
この子が大人になったら、
この星はどうなっているのだろう。
この土地に今生まれた子は、
優しい雪を知らずに大人になるのだろうか。

けれど妹がもっと案じているだろう。
あぁ、この荒れた小さな手で何ができる?
あぁ、なんだってできる。
重い雪だって、ハネられる。



気がついたら、外は紫にけぶっていた。
急いで車に飛び乗ると、
まだ丸まった雪がフロントガラスをたたいていた。
地吹雪の牧草地をぬけて夜明けにむかった。

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