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連動〜いくつもの視点からコミュのホームにて

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『ホームにて』 written by WASABI (09/10/18)


ぼくは駅のホームであと6分、電車が来るのを待たなければならなかった。

「(あと6分かぁ・・・。音楽聴いてればすぐだな)」

そう考えてぼくは、鞄から携帯デジタルミュージックプレイヤーをとりだし、再生ボタンをクリックした。そして、それをパーカーの右のポケットに入れ、ぼくはぼんやりと空を眺めてみた。雲一つない、秋晴れだった。

「(そういえば、あいつはどうしてるかな。最後に会ったのは・・・そうだ、ちょうど1年前だ。あれからもう1年経つのか・・・。元気にしてるかなぁ。今でも相変わらず、あの調子なのかな。そうだといいけどな)」

空を見るのをやめ、穏やかに時間が流れている街を見下ろしながら、ぼくは電車を待っていた。


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『ホームにて』 written by Marge (09/10/20)


「ママ、まだぁー?」

夏のはじめに3歳をむかえた息子が、2週間ぶりにパパに会える喜びを滲ませながら
玄関で声を張り上げている。

こんな時、わたしの胸の奥はチクリと痛む。

幾度となくこの痛みを感じているのに、どうしてわたしは夫との別居を解消してあげられないのだろう・・・
・・・意地っ張りな性格は母親譲りだから仕方ないわ、と呟きながら
ガスの元栓を確認し、つとめて明るい声で
「今いくわ」と返事を返し、キッチンの照明を消して玄関に向かって歩き出した。

「優くん、ごめんね。お待たせ。」
パンダのリュックの背中にそう謝りながら赤いキャップを優の頭に乗せた。

月に2度息子に会わせる約束の朝はいつだってわたしが優を待たせてしまう。
少しでも早くパパに会いたい優と心が重いわたし。
些細な裏切りが許せなくて半年の別居生活を無理矢理押し通したけれど期限は残り2ヶ月。
一番信頼していた相手の裏切り行為は今でもわたしの中で小さなシコリを作っている。
でも決して離れられないことも同時に分かってはいるのだ。

駅までの道のりを優の小さな暖かな手を握りしりとりをしながら8分。
改札を抜けホームに立つと秋風がわたしの頬をかすめた。

秋がこんなにも深まっていたのかと風に気付かされ
思わず空を見上げるとホームの屋根の向こうには雲ひとつない秋晴れの空が広がっていた。

わたしは心のシコリを空に放ち
「冬が来る前にパパと一緒に暮らそっか」と優に告げた。

そして喜びが優の顔に広がるのを見つめながらわたしの心が溶けてゆくのを感じていた。

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『ホームにて』 written by Maru☆+゚ (09/10/20)


朝、定刻どおりに家を出て、駅のホームで電車を待っている。
列車を待つ列の先頭は20年間働いてきた僕の指定席になっていた。
あと3分すれば、いつもの列車が到着する。

そう、、あと3分後、列車がホームに入ってきたら
何も考えずに、この足を一歩前へ踏み出すだけ。
それだけで僕は無になれる。
もうこの世で僕が出来ることは何もない。

いつものように見送ってくれた妻や子供の顔が目の前に浮かび
申し訳ない思いと共に、涙で目の前が滲んでいった。

3ヶ月前に会社をリストラされたが、家族にも言えず
毎朝、会社へ行くふりをして家を出て
なんとか今まで貯蓄を切り崩しながらやってきたが
この不況では新しい職も見つからず、もう何もかも限界だった。

列車の到着を告げるアナウンスが鳴り
駅の近くの踏み切りが鐘の音を響かせる。
右手から列車が走ってくるのが見えた。
足をあげ、列車が入ってくる線路へ踏み出そうとした。

その瞬間、線路わきのフェンスの向こうに妻と子供の顔が見えた。
咄嗟に足を引き上げ、目の前に列車が停車した。
僕は列車に乗る人の列を掻き分け、フェンスが見える所へ移動した。

そこには妻と子供が手を振って待っていた。
妻は僕の顔を見て「もう無理しなくていいのよ」とつぶやいた。
妻はすべて知っていたんだ。
すべて知っていて、僕を見守ってくれていたんだ。

僕は1人じゃないんだよな。。。
家族なんだよな。。

見上げた空は爽やかな秋空で、雲ひとつなく
これからの僕の道筋を指し示してくれているようだった。

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『ホームにて』 written by うな子


いつ来ても、ここの眺めは素晴らしい。
男はそう呟くと、辺りの景色を眺めながら、いつものベンチに腰をかけた。
そして背筋を伸ばし、目を閉じて深呼吸を数回すると、ゆっくりと目を開けた。
それはまるで、暗闇の世界から初めてこの世に姿を現したかのように、とても清々しく喜びに満ちた表情であった。
まるで禊をした神官のように、身も心も清廉であるかのように見えた。

男の名を誰も知らない。
いつもの時間にいつもの駅のホームの端の、決まったベンチに座っている。
どこから来てどこへ帰るのか、見たものはいない。
ただそこに座っている。

ホームには、数人の乗客が電車を待っていた。
若い男は何かに思いを馳せているかのように空を見つめ、あたたかい日差しにキラキラと輝いた頬を照らしている。
子どもの紅葉のような紅く柔らかな手を握った母親は、我が子の微笑みにそれまで凍りついていた何かか溶けたように、ただただ慈悲深く優しい表情を見せた。

しかしホームの端にいるスーツ姿の男の様子は違っていた。
顔は死人のように青ざめ何かを思い詰めている様子であり、その形相は誰の目からみても一抹の不安を抱かせるものであった。
男はスーツの男をジッと見ていた。
背筋を伸ばし、体を向け、ただひたすらに見つめ続けた。
やがてスーツの男はその視線に気付いたのか、男に目を向ける。
しかし次の瞬間、スーツの男は何かを見つけたのか、視線をベンチの先に移した。
みるみるうちにスーツの男の目には涙が溢れた。
周囲の者に悟られるのを恥じるように、それが零れ落ちる前に顔を空に向けた。
そこには雲ひとつない秋晴れの空が広がり、どこまでもどこまでも続いていた。

いつ来ても、ここの眺めは素晴らしい。

男はそう呟き、空を見上げた。
高く澄んだ空に金色に輝くトビがくるくると不規則な円を描いて飛んでいるのが見えた。
お前もいたのか。と独り言をすると、両手を腹の上に組み、次の電車が来るまで暫し眠ることにした。

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コメント(6)

>>Maruさん
日記にも書いてください。
一応、連動「日記」なのでw
自分の日記で公開する、という事が重要だと、ぼくは思っていますw

ちなみに、タイトルは固定じゃないので、
好きにつけてかまいませんよw(もう遅いですがw)
ぼく、マージリン、Maruさん、うな子の連動日記をUPしました。
わさびくん、ありがとう!
ちと忙しいので助かる〜。
>>まりえさん
いえいえ。
もし更新したら、
↑みたいに、誰々の日記載せたよ〜って書いてちょ☆
そうした方が、多分、見やすい・・・よね?(笑)

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