香港映画脇役悪役列伝コミュの【女優列伝】シベール･フー(胡慧中)

1958年5月4日､台湾生まれ。中国･江蘇省に本籍を置く外省人の二世。台北市立の女学校夜間部を卒業後70年代後半芸能界入り。79年から文芸映画を中心に台湾で25本前後の映画に出演。主演を演じた作品も多く､一躍人気女優となった。81年にはやはり夜間部ながら国立台湾大学歴史学部を卒業した。1984年､香港映画界に進出しショウ･ブラザースのコメディー作品に出演。サモ･ハン(洪金寶)のヒットシリーズ第２作『大福星』(85年)のヒロインに抜擢され､サモの下でアクションの訓練と広東語の習得に励んだ。真冬の日本ロケとボディビル出身の日本の女優･西脇美智子とのハードな立回りを乗り越えた彼女はアクション女優として開眼する。そしてジャッキー･チェン(成龍)がプロデュースした｢レディ･スクワッド｣２部作(88～89年)に主演。ミシェル･ヨー(楊紫瓊)や米国の空手チャンピオンだったシンシア･ラスロック(羅芙落)､ムーン･リー(李賽鳳)､そして日本から参入した大島ゆかり(シンシア･ラスター)や前述の西脇美智子と共に”アクション女優ブーム”の立役者となった。しかし『群狼大戦』(89年､ビデオのみ)の撮影中､共演を果たしたムーン･リーと３階からの爆発＋飛降りシーンにて､スタッフの手違いで大量の爆炎が揚がり､衣裳に引火したまま階下に落下。大やけどを負ったが療養の末復帰し､アクション映画へ出演を続行した。91年にはブレイク前の若手だったドニー･イェン(甄子丹)の主演作2本に出演。その後も千葉真一が製作と出演を掛けた日本のオリジナルビデオ用作品(香港では劇場公開)に参加したり､ジェット･リー(李連杰)との共演など､順調にキャリアを重ねていった。しかし90年代後半､過去の結婚スキャンダルの釈明や中国への返還による香港映画界の変容にともない､表舞台での活動を減らしつつあった矢先の98年､著名な眼科医で香港内政局で書記も務めた一般男性と結婚。ショービジネスの世界から退く形となり､１児を儲けた後2003年には本籍地である中国･江蘇省の政協委員となり､現在もその職を続けている。

＜主な出演作品＞
大福星、七福星(85)、セブンス･カース、新Mr.BOO! 香港チョココップ(86)、レディ･スクワッド(88)、レディ･スクワッドⅡ、群狼大戦(89)、リーサル･パンサー２、美女･美女スパイにご用心(90)、ドラゴン･バーニング、リーサル･パンサー(91)、ＨＡＫＥＮ覇拳、五福星撞鬼(92)、格闘飛龍方世玉(93)、マスター･オブ･リアル･カンフー/大地無限２(96)