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ZOIDS ゾイドコミュの[小説] 新型ゾイド開発研SS

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「新型ゾイド開発研」であげたゾイドたちにまつわるエピソードをもとにしたSSをあげる専用トピックです。

ひとつのお話につき最初にあげた時に「新型ゾイド開発研」のどこにあるのか(コメントした番号)を頭につけてから始めてください。これは一目見てわかるならどんな書き方でもいいです。

バトルストーリー、開発秘話など「新型ゾイド開発研」で出したゾイドに関わる話であれば基本的になんでもOKです。

自分の考えたゾイドたちを思う存分活躍させてあげて下さいね指でOK

みんなが楽しめる公共の場になることを願います。それではよろしくお願いしまーすわーい(嬉しい顔)

関連トピ:新型ゾイド開発研 http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=45411342&comm_id=7877

コメント(648)

【銀の玉座と蠍の王女:95】

「んー…翻訳に時間がかかりそうね…」
翻訳、と言う言葉に…それがまるでパスワードになったかのように1つの案が頭に浮かんだ
「…私でも出来るか…ー
ー…オススメはしないわ」
ー…危険です」
二人とも、私が言い切る前に返答する
そして二人とも【出来ない】とは言わなかった
「多少の無茶しても、成功させるだけのメリットあるんでしょ?」
「脳みそパンクするかもって言ったわよ?…アンタを失う可能性があるからなるべく避けたいの…安全装置をあれだけ組み込んだ私とカインドでこのザマよ?」
予想通りの解答
やはり…と言うか、姉とカインドの精神同調システムはこれの派生なのだろう
受信機になる金属外皮を持たない姉にそれを可能とさせる…形見の翻訳機の凄まじさか
「スティングは?」
「…同調システムの後遺症や副作用のケアはずっと考えていました。100年戦争から暫くの間はグレイスに金属外皮が発生していましたので、その時のデータから幾つかは…しかし、危険に変わりはありません、ケアも脳内を操作するものので非常に危険ですし…」
言葉を濁すのはそれの有用性を認識しているからだろう
ただ、相棒に【死ぬかもしれないけどやってくれ】…とは、まぁ…言えないだろう
私も言えない、言いたくない
「3秒とか5秒とかそれくらいの短い時間だけやってみようと思う。同調時間に比例して負荷が倍々になるんなら…そうね、1秒を3回とかでも」
「スティング…私は止めないわよ。リスク分かっててやるってんなら、私は止めない」
「………………」
ゾイドであるスティングにしては、長い長い沈黙だった
「…1秒1回…それが現状の限界です。バイタルはこちらで見ます…もしもの時は強制終了します」
【銀の玉座と蠍の王女:96】

そう、方法としては難しくはない
レイチェルの胸にある金属外皮を受信機にして、テレトパスの発信するデータをシームーンを中継して受けとる…それだけだ
しかし、そのデータ量が問題なのだ
「…うわ、シームーンって見た目的にずっと冷たいと思ってたんだけど…生ぬるい…」
「そりゃそうでしょ…」
グレイスから受け取ったバイタルチェック用の端末を受け取る
よくよく考えれば、ダイビングシステムに容量を取られていたのでテレトパスから受け取ったデータを変換するのにも手間取る
乱雑なデータと言っても万全ならそう苦労は無かっただろう
それを考えれば、レイチェルは適任と言える
受信機である金属外皮を持ち、ゾイドの言葉が分かる人間なのだから
「シームーンがテレトパスのデータを受信したら、そのまま金属外皮に流れ込んでくるから」
「…ん、分かった」
金属外皮は人間がゾイドだった頃の名残だと言われている
個人差があるものの、一般的には身体が成長仕切ったあたりで発現する事が多いので成人の証とされている
因みにゾイド人ではないグレイスにそれは無く、古代ゾイド人化したハリーは全身を金属外皮に変化させる事が出来るようだ
「…スティング?」
「こちらも準備出来ています、いつでもどうぞ」
「ん、頼んだ」
【銀の玉座と蠍の王女:97】

同調システムのリスクは分かる
姉を見れば、どれだけ酷い事になるかは分かる
「……」
不安や恐怖が無い、等とは言えない…正直怖い
心臓の手術痕を覆うように発現している割りと長めの縦線…藍色の金属外皮を指でなぞった
シームーンを胸に押し当てると…
「…うわ」
その温度に思わず呻く
「シームーンって見た目的にずっと冷たいと思ってたんだけど…生ぬるい…」
「そりゃそうでしょ…」
青い透明なスライム状のボディなのだ、冷たいと思うのは普通だと思う

ー……。

ー…………。

ー………………。

*****

「……?」
ふと、【目が覚めた】
身体が重い…流れる汗が兎に角不快だった
…まるで、熱帯夜の真っ只中で暑さに撫で起こされたような…
「目が覚めたようで何よりです。そのまま起き上がらずに、何か飲みますか?」
スティングの声が近くで聞こえた
眼は閉じたまま、首を縦に降る
「…ん」
唇に当たるガラスの感触は…水差し?いや、吸い飲みか
「ゆっくり飲んでください」
人肌のそれが喉を通るたび、如何に私の喉が枯れていたかが分かる
「レイチェル…何が起きたか、覚えていますか?」
【銀の玉座と蠍の王女:98】

「テレトパスからのデータを受信した直後、気絶しました。無闇に動かすのは危険と考えたので、所員の半数がグレイスと共にここに待機しています。残り半数は研究所に帰還させました」
もう既に夜になっており、グレイス達も簡易テントで休んでいる
「テレトパスと装甲車に動きはありません。コントロールボイスの効果は切れていますが…何か意図があるのでしょう」
何かあれば即動けるよう、勿論監視はしているが…今は不気味な程に大人しい
『…夢…みたいにぼんやりはしてるんだけど…何となく、分かった…と、思う』
情報量の多さに脳が一時停止を起こし…本能的に、全ての活動をキャンセルして情報の整理に専念したのかもしれない
『ごめん、予定が台無しだ』
「いいえ。誤差の範囲内です、取り返せます」
何より、ここで幾つかの情報が聞き出せたなら…調査の日程が大きく短縮出来る
『ねぇ…テレトパスをさ、連れて行けないかな…?』
「内海の探査にですか?」
やはり、そうか…と思った
テレトパスからのデータには直接的にそれを訴えるものは無かったのだが…何となく、そんな気がしたのだ
またそれ故にテレトパスは大人しいのだと言える
我々の装備が、海中へ潜る為に必要だからだ
『…うん。テレトパスは…シームーンは…内海から生まれたゾイドだから…』
帰巣本能に近いなにかがあるのだろうか?
それとも仲間がいるのだろうか?
【銀の玉座と蠍の王女:99】

Dr.Nが考案し、Dr.Rによって開発されたのが医療用ゾイド【シームーン】であるのは誰もが知る事実だ
百年戦争の最中を生きた人間でシームーンによる治療を受けなかった者など極々小数、あらゆる物資が不足していたあの当時に半永久的に使用可能な医療品が生まれたのだから重宝しない訳が無い
しかし…シームーンがどのような野生体であるか、また何故あのようなスライム状のフレーム(?)を持てたのかは不明なのである
古い記録に【Dr.Nが偶然入手したコアの化石がシームーンのそれだった】と記載されてはいたが…オカルト誌に片足突っ込んでたような古い情報誌だったので信憑性はいまいち
「…シームーンは」
頭が覚醒するにつれて情報がこぼれ落ちる
あれはただの夢だったのかもしれない…そんな気さえした
【気絶した状態で脳に送り込まれた情報です、確度の高いものではありません】と、言われてしまえばそれまでなのだから
「…帰りたい、と?」
スティングが続きを促す
「…うん。それか会いたいとか…そんな感じ。何にせよ内海の底に行きたがってる…ように思える」
「もし、そうだとすれば…内海の海底に何かがある、と言う事になります」
そうだ、何もない筈の場所に何かがあるのだ
「…はは、教科書に載るレベルじゃん…」
先日の姉との会話を思い出す
何とも荷が勝ち過ぎる案件だった
【銀の玉座と蠍の王女:100】

レイチェルとの短いやりとりの後、テントから出る
彼女が着替えをするのなら、速やかに退出するべきだからだ…と言うのが半分
もう半分は…
「…グレイス、すみませんが緊急の案件です」
明日では間に合わない
寝ていたのなら、起こしてでも対応してもらう必要がある
『…どした?レイチェルに何かあった?』
通信からの返答は無かったが、グレイスの使っているテントから彼女が顔だけを出して応じた
「いえ、レイチェルでしたら問題は無さそうです。テレトパスの件です。…ナイトスティンガーを使いたいので許可を頂きたく」
僅かに険しかった顔が、かなり険しくなる
『…こっちに持ってくるってだけでも1週間はかかるわよ?』
「いえ、通信と情報処理が出来れば十分です」
『……分かった。それなら通信履歴と一緒に事後報告したので大丈夫ね』
俺の本体は常時休眠モードが義務付けられており、災害救助等を含む緊急時以外は使用できない
ただの維持費ですら膨大で、コンバットシステムなど起動しようものなら(そうなる状況も踏まえると)国が傾いてしまうのだ
「…ありがとうございます。ナイトスティンガー…起動します」
システムを休眠モードから通常モードへ移行
サソリンガルへの負荷が格段に軽減される
ナイトスティンガーとサソリンガルで自身が2つに分裂したような違和感に襲われた
これはナイトスティンガーのコアとフレームが同期仕切る前の時差ボケのようなもので、直に無くなる
【銀の玉座と蠍の王女:101】

湯船につかりたい…無理ならシャワーでも良い
とにかくこの殺人的な汗臭さをどうにかしたい
ウエットスーツの中が笑えないレベルを振り切って逆に笑えてきた
「……」
泣き笑いだ
「…辛い」
とりあえずスーツは脱ぐ
裏返して消臭スプレーを1缶使いきる勢いで吹き付ける
明日もこれを着るとか拷問以外なにものでもない
「……」
念の為と持って来ていた洗顔ペーパーで全身を拭くが…
「……」
無いよりはマシだ、きっとマシなのだ
「……やっぱコレ苦手だ…」
冷感刺激の匂いが鼻に刺さって痛い
着替えたらさっさと寝てしまおう…
ダーリンのフェティシズムに新しいページを刻みかねないな…とか、姉さんみたいに義足なら足臭から開放されるのか…とか、そう言う無駄な事を常時考えていないとストレスがマッハで胃に穴が空きそうだ
「…汗の臭いが花とか果物の匂いになる薬とか無いのかなぁ…」
胃薬は飲んだが…効果は無かった
「…ん?」
と、そこにヘッドセットから警告音が鳴る
「…ナイトスティンガーの…起動っ!?」
テントから飛び出す
大丈夫だ水着は下着じゃない!
着替える前で良かった!!
胃が痛いっ!!!
【銀の玉座と蠍の王女:102】

テレトパスの停止している場所へ向かう途中
『スティング!何事っ!?』
「とりあえず、その非常識な格好はどうかと思います」
警告音を聞いたのであろう、走って来たレイチェルにそう返す
容量不足から開放され、頭が軽い
『水着だし!』
そこじゃなくて、布面積が小さいから胸部の衝撃吸収装甲が縦横無尽な点がだ…と思いつつ、もう考えない事にした
誰も見ていないのだ、本人が良いのなら何も言うまい
「ナイトスティンガーを通常モードへ移行しました。テレトパスの所に行きます」
『…?』
当たり前のようにサソリンガルの上に乗り…
『あっつ!滅茶苦茶熱いんだけど!お尻が焼けるっ!』
慌てて立ち上がるレイチェル
お互い慣れたもので、サソリンガルが走りながらのやりとりである
「燃焼させたら小尻になるのでは?」
『真っ赤になるだけよ!』
頭で考えるよりも先に口が動く、コアとフレームの同期も終わり調子が良い
『で、あっちの体起こしてテレトパスに何するのよ?』
漸く会話が振り出しに戻る
「テレトパスと繋がっているキラービー擬きに“オールのおしゃべり”をインストールさせます」
それは過去にオールがアカデミーの学生と取引をする際に使用していた簡易コミュニケーションツールで、今回使用するのはそれの最新版だ
【銀の玉座と蠍の王女:103】

「…テレトパスと会話?今更?」
「データを一方的に押し付ける事を会話と言いませんからね。今更と言うよりも漸く、です」
「…ああ、そっか…毎回毎回全データを送り付けられても、か」
確かに、伝えたい事を伝え易く受け取り易い方法でアウトプットする…その点において、“オールのおしゃべり”はある意味で優秀だ
ゾイドが人間の言葉を理解していなくても会話が出来るのだから
「テレトパス側としても俺達の助力が必要と認識しているようですし」
「でもなんであっち使…あー…」
そうだ、そうだった
「こちらではスペックが絶望的に足りませんからね。あちらなら片手間で出来ますから」
特に今はダイビングプログラムもあるから尚更だろう
「…って、うを…」
そうこうしている内に、キラービー擬きが待機している場所に着いてしまった
灯りの無い所でこの顔を見るのはかなり怖い
「レイチェル、すみませんがキラービー擬きの通信機を起動させてもらえませんか?今気付いたのですが、遠隔操作を受け付けないのと…俺だと届かなくてですね」
「ん、了解ー」
怖いが、だからどう…と言う事は無い
ナイトスティンガーの顔とかも割とアレだし
【銀の玉座と蠍の王女:104】

『分かる規格のだといいんだけど…ん?…ああ、これなら分かるわ』
ひょいひょいとキラービー擬きによじ登りハッチを開くレイチェル
中身を一瞥しして一言
中に居るテレトパスを直視するのが怖くて直ぐに目線を離した…ようにも見えるが…何にせよ、問題は無いだろう
「ありがとうございます、起動させたら離れて下さい。あとはあっちの体でやります」
無いとは思うが、急に動き出した時に巻き込まれるのは避けたい
『…ん』
レイチェルがこっちの体…サソリンガルに乗り移る
…さぁ、これで準備は出来た…あとは実行するだけだ

ー……。

ー…………。

ー………………。

キラービー擬きの通信端末を使い、そこからテレトパスへとオールのお喋りを渡す…と言うか、押し付ける
ついでに…と言うか、片手間で出来る事なので平行して幾つかの作業も行った
キラービー擬きのスキャンもその1つだ
いつまでもキラービー擬き、キラービー擬きと呼ぶのも疲れる
それに…名前は大事だ
「……」
キラービーにスピアウイングのコアを移植したものが、目の前にあるキラービー擬き…正式名称は無し…ならばキラーウイングと呼称しよう
コアとフレーム等に起こる結合現象を応用した人工的な変異体らしい
「……」
人工的…と言うか表現は妙か
何せ、オールの管理する工場を使ってゾイドが独力で作り上げたのだから
【銀の玉座の蠍の王女:105】

目の前のサソリンガルからではなく、ナイトスティンガーからデータが矢継ぎ早に送られてくる
「……」
キラービー擬きのデータもその1つだ
キラービーの変異種、キラーウイング
オールの工場で白昼堂々作成されたゾイド
「…何で誰も気付かなかったんだろ…」
どうやってあの厳重なセキュリティを無効化したのか
「……」
そしてテレトパスの事も少し分かった
姉の予想したように、共同墓地に埋葬したテレトパスのようだ
そこに充満していた悲しみを伝達するON粒子を使って、今日まで生き延びたらしい
ただ、キラーウイングのようにデータがあるわけでは無いので詳しい事は分からないようだ
…知りたいなら本人に聞くしかない、と言う事らしい

そうして、そろそろインストールが完了間際に姉からの通信が入った
『レイチェル、悪いんだけど今すぐこっち来てっ!?』
嫌な予感がする…いや、違う…これは…
「薬はっ!?」
通信の向こうで、ダーリンの荒い息が聞こえた
予感ではない、確信だ
『駄目!効きが弱い!』
もう足は二人のいるテントへと走り出していた
「姉さん!2錠飲ませたんならあと半分飲ませて!あと脇の下とか内腿冷やして!」
ダーリンの体重なら2個半がギリギリ
『ああ…ロウ…ロウっ…』
それでも金属外皮に変化無かったら…どうする?
…どうしよう…どうしたら良い?
「スティング!ダーリンの数値はっ!?」
【銀の玉座と蠍の王女:106】

「体温8度5分。解熱剤も飲ませるべきだったのでは?」
これ以上の抑制剤は危険だ
『抑制剤の効果が無かったら飲ませないとかなぁ…でも原因が明らかだし、正直悩む』
成人にならなければ殆ど発現しない金属外皮だが、何事も例外はある
そもそも、超古代ゾイド人化したハリーとグレイスとの子供なのだ…単純に考えても古代ゾイド人相当の体を持つと言っても良い
この急な発熱はハリーのように金属外皮が過剰に発現するアレルギー反応とは違う…どちらかと言えばオーバーヒートに近いのだろう
ここまで酷いのは初めてだが、微熱程度のはごく稀にあった
金属外皮が受信した情報量が子供には大き過ぎて処理仕切れていないのだ
「…何故?」
原因はタイミングから考えて眼前のテレトパスで間違い無いだろう
しかし、何故テレトパスからロウに?と言う疑問が出てくる
テレトパスがたまたま信号を周囲に全送信して、ロウが偶然それを受信しやすい状態だった可能性はある…あるにはあるが…
両者に接点は無いのだ、子供故の感受性の強さがあったとしても…そこまで無節操に、そこまで無尽蔵に信号を受信出来るものなのだろうか?
『姉さん、氷の追加!』
『ありがと。薬も効いたみたい、ちょっと落ち着いた』
どうやらレイチェルが二人のテントに到着したようだ
「熱はまだ下がっていません」
【銀の玉座と蠍の王女:107】

「姉さん、気持ちは分かるけど落ち着いて」
そんな顔をしていたらダーリンが不安になる
「…ん…でも…んん…」
私と入れ替わるようにテントから出た姉は…まるで檻に押し込まれてストレスでどうにかなった猛獣のように忙しない
「私もだけど、出来ることなんて殆ど無いわ。原因は分かるけど経緯が分からないんじゃ対処しようがないし」
ここに来て、あのテレトパスを破壊するのは下策中の下策だ
そこで下手に信号を受信してしまえば…たぶん、詰む
死に際の信号となれば、データ量も相当な筈だし…そうなってしまえば耐えられる訳がない
「……そろそろ追加の分も効果が出るかな…」
体内の金属イオンを分解する抑制剤も、古代ゾイド人…つまり、構造がゾイド寄りのダーリンには毒にもなってしまうので飲ませ過ぎは非常にマズい
古代ゾイド人よりも更にゾイド寄りのハリーさんが言うには、【抑制剤の過剰投与で細胞の壊死や機能不全があっさり起きる。回復にはかなり時間がかかる】らしい
金属イオンの過剰摂取でポックリ逝く姉とはつくづく正反対だ
「抑制剤で落ち着いたのなら、金属外皮のオーバーヒート?」
テントに顔だけ突っ込んで姉が言う
顔と筋肉達磨な首から下とのバランスが最悪に酷い…そう思える程に憔悴仕切った顔だった
「たぶんね。いつもよりデータ量が多いだけなんだろうけど…このくらいの子供だと体力的にキツいんだろうね」
この歳で金属外皮が発現している為、ダーリンは度々オーバーヒートで熱を出す
でもそれは微熱程度のもので、ここまでの高熱は今回がはじめてだった
【銀の玉座と蠍の王女:108】

ロウのオーバーヒートは(あんなのでも一応医療系の資格を持っている)レイチェルに任せて、キラーウイングを此方が対応する
対応すると言っても…インストールを見守り、トラブルが発生したらグレイスに報告してあっちの体から休眠コードを送り込むくらのものだ
「……」
しかしながら、このオーバーヒートは我々が待ち望んでいたものでもある
「……」
あの二人には…いや、これは俺とロウの…二人だけの秘密だから伝えていない
グレイスにもレイチェルにも伝えるべきではない、私がそう思った
バレたらかなり怒られるだろうから、黙っている…のかもしれない
ハリーとカインドには伝えるべきだとは思ったが…うっかり経由して彼女等に伝わるのが怖かった
「……」
ロウのバイタルもまだ限界値には達していない、まだ大丈夫だ
子供の生命力は大人の予想を軽く上回る
「…悪いが、利用させてもらう」
インストールが終わりに近付いている
「…約束なのでね」
さて、スキャンも終わった
礼や侘びも兼ねて、出来る範囲でメンテナンスをさせてもらおう
【銀の玉座と蠍の王女:109】

追加の抑制剤が効いたようで、寝息が大人しくなったように思える
「…ん?」
ダーリンの金属外皮…こんなに大きかっただろうか?
「…どした?」
「ううん、寝息が落ち着いたからさ…もう大丈夫だと思う」
ハリーさん譲りの額の逆三角形
「よかったぁぁぁあ…」
それこそオーバーヒートの時くらいしか出てこないからそう感じるのかもしれない
もしかしたら体の成長と共に変化するのかもしれない
割りとその辺の研究は進んでいないので確証はないが…
これがハリーさんみたいな過剰発現に繋がる可能性もあるのだろうか?
「さて、と…んじゃあ私は戻るね。明日も忙しくなるしさ」
キラーウイングの方はスティングに任せておけば良い
ゾイドの治療とかはあっちの領分だ、それにスティングは報連相を怠るゾイドではないし…まぁ、大丈夫だろう
「…あー、でもあっちの体使ってるのか…」
こちらから言わせれば尚更大丈夫ではあるが、国に申請して使うゾイドを起動させたのだ…パイロット不在は後々面倒になるかもしれない
【銀の玉座と蠍の王女:110】

『スティング、状況は?』
「インストールは完了、現在休眠コードで眠っています」
『…ん』
ロウがデータを消化したら休眠コードを解除して再起動させる
今動かして、不意にロウがデータを受信するのだけは避けたい
あのデータ量は…(スキャンして分かったのだが)割りとギリギリだった
「明日が本番です、少し眠っては?」
あっちの体のなら、コックピットで眠れるだろうが…こっちの体には生憎シートすら付いていない
『…そうね…ぇっ…くしゅっ』
「いくら気温が暖かいとは言え、そんな薄着では風邪をひきますよ?」
ウエットスーツの下に着るからと、割りと布面積の小さい水着を選んでいたようだ
夜間、上着も着ずにうろうろしては痴女に間違われてしまう
「…ん?痴女は逮捕されるんでしたっけ?」
『こらまて、それは私の事か』
レイチェルが苦い顔で胸部衝撃吸収装甲を両手で隠すが…まぁ、サイズ的に隠れるはずもなく
わざわざ、視覚センサーを上下させて【見てます】を強調する
「…え?小さな子供を半裸で追いかけ回したりとかしてません?」
容量に余裕が出たからか、口が軽い
『んー…そりゃ私の事だわな。もう寝るわ』
「ええ、何かあれば叩き起こしますので今はゆっくり休んでください」
『りょーかいー、おやすみー』
そうして、欠伸を噛み殺しながらレイチェルが自分のテントに戻っていく
【銀の玉座と蠍の王女:111】

「…っを…っ」
テントに入った瞬間、膝が折れた
消臭剤を吹き付けまくったウエットスーツに頭から突っ込む
「……」
よくよく考えたら、こっちの体調も良くはなかったのだ
生乾きのスーツを退ける体力すらなく、そこに暴力的な臭さと眠気が襲ってくる
「…もぅ…む…り…」
明日の事を考える余裕も無かった
そんな事よりも…とりあえず、ウエットスーツを…これをどうにかして欲しかった

**********

「…れーちゃん、おきてー…」
軟らかなものが頬を撫でる
どうやらダーリンが起こしに来てくれたようだ
「…(良いんじゃよ、良いんじゃよ、鎖骨の下とかお腹とか撫でてくれても良いんじゃよ…でゅふふふふ…)」
鼻の下が伸びそうになるのを必死で我慢して…して…何か致命的な事を忘れていた事に気付く
私は何に頭を突っ込んでいたか
しかも良い感じに涎までブレンドされている
最悪だ、どうにも最悪だ
鼻が馬鹿になっていて気付くのが遅れた
「…(起きたくない…これは…この状況で起きるのは不味い)」
…超気まずい
【銀の玉座と蠍の王女:112】

テントから悲鳴が響き、座っていた所員数名が一瞬腰を浮かしかけて…苦笑しながら椅子に座り直す
『やらかしたレベル高めって感じだな、何やってんだが』
全員がうんうんと頷く、思った以上の【いつも通りの朝】だった
『しかしまぁ…キラーウイング?…これオールがみたらショックだろうね。さっき確認したら作業履歴にはなかったけど作業してるのを見たのが何人かいたみたい』
苦い顔で苦いコーヒーを啜るグレイス
セキュリティは仕方無いとしても、全員が全員が『ああ、どっちかがまた何か変なの作ってるわ』程度にしか考えてなかったのだから
『そりゃ仕方無いんじゃないっすか?オールもスティングも遠隔で工場使ってるんじゃ、今さら無人で工場が動いてても…ねぇ?』
『…まぁ、ねぇ…。で、とりあえず今日内海潜るけど…テレトパスはどう連れてくのさ?』
「水圧には強いようなのでそのままロープか何かで牽引します」
『…おはようございまーす』
『おはよござましゅ!』
…と、そこにやたら体臭を気にしているレイチェルと、機嫌の良いロウが現れる
昨日のバタバタが夢か何かだったのだろうかと思えてしまう
【銀の玉座と蠍の王女:113】

昨日研究所に戻ったメンバーが整備用の機材や部品を持って合流する
キラーウイングを連れていく事に関しても特に問題は無いようで…ありがたい反面、身構えていた事もあり少し拍子抜けした
「……」
揺れる車内では今日の事よりも【おっさんと体臭について】でもちきり
ケロフレームのコックピットでそれを聞きながら、溜め息を1つ
戦争世代…しかも実際に前線で戦っていた人間の価値観…なのだろうか
物資が乏しかったのもあり、敵軍の武器弾薬…さらにはゾイドですら奪っていたとか
友人を殺した銃を奪って返り討ちにした…だとか、基地に侵入して格納庫のゾイドを使って大暴れしてそのままお持ち帰りとか…お酒の席で色々と話を聞く
『…ゾイドは良くも悪くも指示されたようにしか動きません、だから彼等にとってはゾイドに罪を問うはナンセンスである、と…あるいは、野良ゾイドを拾ったくらいの感覚なのかもしれませんね』
「まぁ…確かに、野良ゾイドに良いも悪いも無いか」
『あと我々の恩人かもしれませんし…』
私に至っては、オムツを替えてくれた人達の誰かである可能性すらある
開きっぱなしのチャンネルから【1日3回靴の中敷きを交換してる】とか【午後はちょっと香水使ってる】とか色々と試してるんだなぁ…と思いつつ【スタイル抜群のねーちゃんと良い感じにベッドまで行ったが、ねーちゃんの腋臭で萎えた】の話で死にたくなった
「…く…ぐぐ…いっそ殺せ…」
【銀の玉座と蠍の王女:114】

「生きている以上、体臭臭は避けられないように思えますが…」
死にたくなるほどの問題なのだろうか?
テレトパスの会話の練習に付き合いつつ、顔色の悪いレイチェルに話し掛ける
ナイトスティンガーは既に休止モードになっているが、容量を使わないものであればマルチタスクは容易い
『うう…程度の問題よ』
嗅覚センサーの性能は比較的高めなのだが…どうもその【程度】と言うのが分からない
「毒性のある刺激臭であれば分かりますが…」
『んー…?姉さんが体臭殆ど無いの分かる?』
遺伝的なものによる体質、食生活、年齢等で体臭が変化するのは知識として分かるが…実感は無い
「いいえ。レイチェルも含め、刺激臭は感知出来ませんので。しかし体臭にはフェロモンも含まれているはずです、殆ど無いのはデメリットでは?」
『あー…特定の汗にあるやつね。臭いが無いからフェロモンが無いってのにはならないわよ』
「ふむ…今度カインドに聞いてみます」
彼の嗅覚センサーは桁違いに性能が良いので何か面白い話が聞けるかもしれない
【銀の玉座と蠍の王女:115】

「あの筋肉量で殆ど体臭が無いとかチートよぅ…」
「グレイスの場合は脚部のホッパーズから鉄とかオイルの臭いがしますし…プラスマイナス0な気もしますが…」
「んー…でも羨ましい…機械の体が欲しい」
そしてスティングが少し考える素振りを見せ…
「そう思ったからこそ、最初のゾイド人が生まれたのかもしれませんね」
と、つぶやいた
「老いからも飢えからも解放され、劣化したパーツさえ交換出来れば死ぬこともない…」
「でも老いないなら成長出来ないよね?」
「完成された形で生まれるなら成長は不要です。それに必要であれば我々はアップデートするでしょう?…それは成長と言えるのではないでしょうか」
説明出来ない焦りのようなものを感じて、どうにかそれを否定出来る言葉を探す
「で、でも機械の体になったら子供産めなくなるよね」
「…産む必要があるのですか?実質不老不死なら子孫は必要無いのでしょうか」
…ですよねー
「もっと言えば妊娠、出産のリスクが無くなります。必要なら作れば良いのですから」
「んー…でも…」
でもそれは…
「ですが古代ゾイド人は滅びました」
そう、それだ
【銀の玉座と蠍の王女:116】

「何故滅んだのか、諸説色々ありますが実際の所よく分かっていません」
そう、ゾイド化が正しい選択であったのなら滅ぶ訳が無い
滅んだのなら、逆説的にではあるがそれが誤った選択だったと言う事になる
『戦争説、退化説…有名なのはこの2つよね』
ハリーのようにデータ化した人格等をゾイドに移植して生まれたのが最初のゾイド人…つまり超古代ゾイド人
それの子孫が古代ゾイド人と呼ばれる
よって、超古代ゾイド人と非ゾイド人のハーフであるロウは古代ゾイド人に分類される
「超古代ゾイド人であれば子孫を残す必要も無かった筈なのですが、何故か古代ゾイド人が生まれました…それの理由が解明されていないのでどの説もいまいち決め手に欠けます」
『個人的には戦争説派…かな?人口爆発で不老不死を維持するエネルギーが不足して戦争が起きて人口激減。その減ったエネルギーでも生命維持出来きた一部の個体が古代ゾイド人になって…んで、もう一回か何回かは分からないけど同じような事を繰り返して私らゾイド人になったってやつ』
「でも何故人口爆発が起きたのでしょう?」
『戦争が避けられなくて増やしたとかじゃない?増やす必要はないけど容易く増やせたってんなら尚更』
「ではそうせざるを得なかった理由は?」
『エネルギー問題?』
と、結局この話は似たような所で行き詰まる
【銀の玉座と蠍の王女:117】

装甲車がゆっくりと減速する
「…着きました。コンテナの全ロックを解除します…レイチェル、先日の戦闘で装甲車のクレーンが使用不能になっていますのでキラーウイングで運びます」
コンテナが真っぷたつに展開して中身が剥き出しになった
地上を移動する為のキャタピラを失ったケロフレームは自走出来ない
どうやって着水させようか悩んだが…なるほど
蟻型や蜂型のゾイド特有の自重の数倍にもなる貨物を運搬出来る能力はこのキラーウイングにも備わっているようだ
「了解。ケロフレームの固定…解除、いつでもOKよ」
「アイアイマム。ゲル、お願いします」
上空で待機していたキラーウイングがゆっくりと降下してくる
「ゲル?」
「名前が無いのも不便ですからそう呼ぶことにしました。たった数時間でしょうが…俺達はチームですから」
「…そか。そうだね」
私も…この怖い顔をした淋しがり屋の働き者をゲルと呼ぶ事にしよう
「ゲル、バイタル値の上昇を確認…喜んでいるのなら嬉しいですね」
「…うん」
そうして見た目からは想像出来ない力でケロフレームが持ち上げられる
眼下で姉達が次々と機材を運び組み立てていくのが見えた
「…あれ?姉さんのホッパーズ…形が違う?」
昨日まで、如何にも「重いです」「パワーあります」感のあるやつだったが…一回り…いや、二回り細いしトゲのようなパーツが増えている
あのフォーマル用の義足と比べたらまだまだ厳ついが…
「ああ、昨日予定の1000時間運用テストが終わったので次のプランのものに移行したそうですよ」
【銀の玉座と蠍の王女:118】

軽量のキラーウイングにも関わらず危なげ無くケロフレームを持ち上げて運ぶ
グレイス達が起動させた諸々の機材が徐々に俺と同期を始めた
『スティング、何か異常は?』
「システムとの同期を確認しました、問題ありません」
返答と同時に着水…こちらも問題無し
『おーけぃ。…じゃあ、ロウ、行くわよ』
『ぁいっ!』
頑丈さだけが取り柄のゴムボートが2人を乗せて近付いてくる
「レイチェル、胃薬は?」
『…もう飲んだ。食後に3錠って書いてたけど全然効いてない』
「コックピット内で吐いたら怒りますので」
『…りょーかい』
どんよりした顔が鼻を神経質そうにひつくかせていた
「新調したコックピットですから、臭かったらレイチェルの体臭です」
『…え?臭う?…って違うわ、失礼ね。真新しいコックピットの匂いって落ち着かないなぁ…って思っただけよ』
「だからと言って吐瀉物で上書きはご遠慮ください」
『…だからなんで私が吐くって前提なのよ』
レスポンスは良いが言葉に力が籠っていない…どうやら相当緊張しているようだ
ライフジャケットに海パン姿のロウを見てもバイタル値に変化が無い
【銀の玉座と蠍の王女:119】

「ままー、これぬぐ?」
「そのままそのまま。そんな顔しないの、スーツはサイズが無いから今度ね」
「あいー」
「あああ可愛いんじゃぁぁぁ…(膝の上は危ないから、今日はシートの後ろに座ってもらうけど大丈夫?)」
「…うわ…無いわー」
『レイチェル、本音と建前が逆です』
「スティングこれ絶対録画してるよなぁー後で見ようぅぅぅ…うひっ(私もライフジャケット着とくかなぁ…)」
「ままぁ…」
「…ん、嫌だったら止めて良いわよ。…これはちょっと…アウトかなぁ…」
『首から下はしっかり仕事をしていますが…そうですね、ちょっとアブノーマルが過ぎますね』
と言いつつ、二人とも淀みなく準備を進めている
「いやぁ…やる気スイッチ押さなくてもビーストモードにチェンジ出来そう」
申し訳無いけど、ガチ泣き手前までいじらせてほしい
もうちょっと余裕あるお姉ちゃん感出せると思ったけど、ストレスでモチベーション共々迷子になってる
「あー…あー…あー…」
ケロフレームの上で待機状態になっているキラーウイングの複眼がこちらを不思議そうに見下ろしていた
【銀の玉座と蠍の王女:120】

「そろそろ落ち着いて下さい、前に進みません」
馬鹿な事を言いながらも手は動いていたので特に止めるつもりは無かったが…そろそろ頃合いである
『…ん』
そう言うや否や、気持ち悪いくらいに落ち着きを取り戻すレイチェル
“表情がコロコロ変わる”類いの切り替えの早さと言うよりはスイッチのONOFFに近い
仕事が出来ていたのだから、中身は既に落ち着いていて馬鹿を装っていただけなのかもしれない
『ロウ?』
ダーリンだとかロウきゅんだとかの何時もの呼び方ではないそれに、ロウがびくりと反応する
『ロウ、いってらっしゃい。レイチェルも気を付けて。スティングは二人をお願いね』
ロウがコックピット後部に取り付けたチャイルドシートに座り、グレイスがベルトを取り付けた
「アイアイマム。ゲルも準備をお願いします」
キラーウイングのコックピットから大型のテレトパス…ゲルが溢れるようにしてケロフレームの後部にまとわりつく
最初は何かしらで固定しようかと考えていたが、十分な吸着力があったので不要と判断
ゾイドをバイオ化出来る強制的なユニゾンが可能な事を考えれば、それは結合現象の応用なのかもしれない
『とは言え、ちょっとでも危険を感じたら直ぐに浮上しなさいよ』
そう、ここで大事なのは【海底にある何かを見つける】のではなく【人類が海底に至る手段を手に入れた事の証明】なのだ
見も蓋も無いが、俺がこのまま無人で潜っても特に問題はないのだから
【銀の玉座と蠍の王女:121】

胃がキリキリする
頭もガンガンする
咽もさっきからカラカラだ
目の奥なんてクラクラだかズキズキだかで訳が分からない…
「……」
しかし…まぁ、胸がドキドキしているのもまた事実で…勢い余って心臓が口から出そうだった
漬物みたいに年期の入ったストレスの中に興奮とかも少しは含まれているんだと…思いたい
『ロウ、いってらっしゃい。レイチェルも気を付けて。スティングは二人をお願いね』
姉さんがダーリンの(金属外皮の無い)頬にキスをし、私の頭をポンと叩いてボートに戻る
無人のキラーウイングが遠隔操作で動き出した
中に入っていたゲルはこのケロフレームに被膜のようにしてくっついている
こうやってゾイドをバイオ化したのか…と好奇心がくすぐられた
『ゲルのお陰で多少の無茶なら出来そうです』
スティングが言うには防水、耐圧、耐衝撃等の性能が増しているとの事
「流動する鎧って感じね」
バイオ装甲みたいなチート装備とは言わないが、十二分に優秀な機能である
『ではそろそろ行きましょう。…記録を開始します』
私はケロフレームを操作し、大戦以降誰も足を踏み入れていない領域に進む
【銀の玉座と蠍の王女:122】

ひとまず水深5m地点…生身なら影響が出る深度だが…ケロフレーム内であれば問題は無い
ロウには耳抜きのやり方を教えてはいるが、何か異常があれば直ぐ俺かレイチェルに言うように伝えてあるし…暫くは大丈夫だろう
『目に見える範囲には何も無し…か、まぁ…この深さで見えるんならとっくの昔に何かが見つかってるだろうね』
カメラが捕らえる映像は闇一色
手前数m程度ならライトでどうにかなるがその先は何も分からない
そもそも、我々はこの内海がどれ程の深さなのかも分からないのだ
『まだ…10m…か』
この深さは研究所のテストに使ったプールと同じなので特に問題は無い
「グレイスの指示通り、ゆっくり潜水していますからね」
ケロフレームは大きく螺旋を描きながらゆっくりと深度を下げている
まだ初回なのだ、慎重過ぎるくらいが丁度良い
『…んっ!』
と、ロウが耳抜きをした
問題なく出来たようで、すっきりした顔でモニターを凝視する
『…15m』
さぁ、ここからが未知の領域だ
【銀の玉座と蠍の王女:123】

「きれーねー」
チャイルドシートから限界まで身を乗り出したダーリンが上を向いて呟く
水中から見上げる水面
ほぼ垂直から降り注ぐ陽光に波が煌めいていた
「そうね、綺麗ね」
昔…どこかでこれを見たような気がする
この前の潜水テスト?…いや、違う…あの時はそんな余裕が無かった
「…もっと昔…?」
もっと昔…?コックピットから水面を見上げる機会など多くはない…
私がまだ子供でカインドが消滅したりハリーさんがハヌマーンになってたりした時にナイトスティンガーの中で見た…?
『どうかしましたか?』
「いや、こう言うの昔見たような気がするなぁ…って」
そうか…姉さんが私くらいの時か…もうそんなになってたのか…
あの人はこの歳にはもう世界を2、3回救ってたのか…
つくづく化け物だな…と思う
『コックピットから水面を見上げる…消毒液の匂いと針の不快さが無けりゃ感動してたね…とグレイスから聞いた事があります。当時の記録も記憶も破損していて俺は分からないのですが、ナイトスティンガーの中から見た…と』
ああ、やっぱりあの時か…
「いっぱいいっぱいで、あの時は綺麗って思う余裕は無かったけど…頭の片隅にあったんだねぇ…」
『まだ子供でした、でもレイチェル…貴方はあの大戦の最前線を確かに走り抜けた数少ない人間です』
グレイス=ホワイトファングのトップ独走で何馬身…いや何十馬身も何百馬身も離されてたが…
「あの時の装備があれば、姉さんとカインドだけで世界征服出来るよね」
『オーバーテクノロジーのバーゲンセールでしたからね』
【銀の玉座と蠍の王女:124】

「…直に20mです」
何も見付からない事からの退屈からか、ロウも明らかに飽きてきたようで雑談が増えてきた
それ自体は俺も嫌いではないのだが…この流れは大変よろしくないので、指摘こそしないが流れは強引に切る
『…っと』
気付いたレイチェルがシートの上で姿勢を正した
『…?』
急に会話を切り上げたレイチェルを不思議に思ったロウが首を傾げる
『徐々に徐々に暗くなってるから気付くの遅れたけど、ここまで来ると割りと暗いのね』
水面から届く光量は随分と減っている
まだ何も見えない程ではないしケロフレームに搭載されているライトは強力なので支障はない
「ゲルのお陰もありますが、現在水圧による影響はありません。まだ余裕があります」
注意しなければならないのは酸素だけ、と言えた
『帰る時の分考えても残量は充分ありそうね』
作戦や調査でサソリンガルに掴まり生身で地中に潜る事も多いレイチェルだからか、そこはマメにチェックしているようだ
『…?』
『んー…スティングがね、大きい声だしたり暴れたらぐえってなるから気を付けてねって』
『…(口をチャックするジェスチャーをしながら頷く)』
海水を分解して酸素を作り出してはいるが、精製できる量にも限度があるしエネルギーを食うので緊急時以外は控えたいのもある
「…30m」
もう生身で浮上するにはほぼ不可能な深さだろう
【銀の玉座と蠍の王女:125】

「…砂浜から30m地点の海底なんだけど、気持ち悪いくらい綺麗な斜面になってるのね」
内海の北側が全て断崖絶壁の岩肌だからなんとなく想像は出来ていたが…まるで舗装されているみたいだった
『ですね。そこから最深部は北側になるだろうと考えて、直接上空から探査機を沈めるプランもありましたからね』
地形の問題と予算の兼ね合いで没になった案だ
高い山脈が雲を塞き止めてしまうので海側は天候が非常に不安定…だと聞いている
探査機からのデータを受け取るチームがその海上か上空に何時間も留まるには膨大な装備と予算が要る
なら絶壁側…山の中になら?ともなるが真夏でも雪が残っているような山脈に囲まれている為、そちらの方がリスクもコストも高い
結局、南側の砂浜から縦に横断するような(距離的な面では)効率の悪い方法を選ぶ事になった、と
『大戦の頃、共和国軍が帝国軍の北部重要拠点攻撃時に海から絶壁を登る作戦を行い突然の嵐で全滅した…と言う記録がありますしね』
あれが無ければ俺達が駆り出される事は無かったんだ、とフラッグさんは酔った時に愚痴り
あれが無ければ帝国軍の敗北でもっと早くに戦争は終わっていただろう、とブラッドさんも言う
だからか、北側からの調査を嫌がるスタッフが多かった
元共和国軍、元帝国軍が殆どのシルバーバレット職員からすれば近付きたくない場所なのだろう
『ゴツゴツした岩場もあって海流も複雑な上に激しいですからね』
ある程度の深さになれば大丈夫らしいが…なら潜って南側からと満場一致だった
【銀の玉座と蠍の王女:126】

この海底の角度、そして北側の絶壁までの距離…単純計算でも相当の深さである
そこまでは事前に分かってはいたので、『やはりか』と言ったところか
そもそもケロフレームはその深さにまで耐えれるように設計したのだから当然と言えば当然である
『最初は隕石でも落ちたのかと思った、でもそれにしては色々と綺麗過ぎる…バカみたいにデカイドリルで穴を開けたって方がまだリアルね。少なくとも自然に出来るようなもんじゃないわ』…とグレイスは言う
しかし、そうなると…そのバカみたいにデカイドリルはどこに行ったのかが謎だ
残骸のような目に見えるものも、子供に聞かせる古い寝物語の中にも痕跡らしきものは無いのだから
「50m地点です。…そうですね、ここからは海底の斜面にそって北側へ進路をとりましょう」
『了解』
『あいっ!』
ゲルと言う追加装甲により、ケロフレームの耐久性はかなり強化されている
様子見はもう十分だ、時間が惜しいので多少の無茶はするべきだと判断した
『ゲルのバイタル値安定、酸素残量もまだ半分以上あるから…80まで?』
「そうですね、そこまで行ってから酸素作りながら進むか引き返すか考えましょう」
何も無ければ100m地点で往復出来るだけの酸素とエネルギーはある、50m地点からは海流も穏やかになっているので水圧にだけ気を付けていれば問題は無さそうだ
【銀の玉座と蠍の王女:127】

50m地点から海流が穏やかになり、スティングが予定を繰り上げようと提案があった
リスクは高くなるが、スティングが大丈夫と判断したのなら酸素やエネルギーの無駄遣いはするべきではないだろう
ケロフレームを操作して、海底を這うような進路をとる
「ひとまずサンプル取る?」
『そうですね、お願いします』
「了解、背中開くからゲルに伝えて」
『アイアイマム。…いつでもどうぞ』
サブディスプレイを操作し、ケロフレームの背中に格納している小型の有線無人探査機を起動させた
海底の砂を回収、探査機を再度格納…完了
「スティング、無人探査機が操作受け付けなくなったのって何m地点だっけ?」
そろそろの筈だが、やはり何も無いし水質等にも変化はない
『50〜60m付近で映像等が途切れたのでそろそろです』
あるべきものが無い…こちらが知覚出来ない何かがある…そう考えた方が良いのかもしれない
この調査も最初は無人機で行う計画だったが…この通信が遮断されるエリアがあって中止になった…らしい
私は有人探索の班にいたので詳細は知らないのだが…色々とあったらしい
んで、無線が駄目なら有線でってなったらしいけど…調査出来る範囲が限定されてしまうので、こうして有人機に装備される形になった…と
【銀の玉座と蠍の王女:128】

そうして、時折海底の砂を回収しながら我々は北に進路をとりながら下へ下へと進んで行った
しかし、ここまで来ても何もないのと言うのは不思議だ
いや、あるはずがないので不思議も何も無いのだが…
通信不良は単純に有効範囲を越えたからなのではないかとも思えてきた
本来なら金属イオン濃度が低い場合電波等はより遠くまで届くのだが…そう、例えば無さ過ぎても駄目である程度の濃度が必要だとか
計器が知覚出来なくても、我々ゾイドなら知覚出来るだろう…と思っていた
「ケロフレームを装備した俺なこの身体はゾイドではないので、知覚出来ない何かの有無は分かりませんが…ゲルが何の反応も示さないのなら…本当に何も無い可能性も出てきますね」
『んー…でも、それならなんでゲルはここに来たがったのよ?』
ゲルはもっと下まで行きたいと言う
「今…80m地点です。酸素の残量から考えてもまだ暫くは進めますが…」
酸素の精製をしたとして…エネルギーと酸素のギリギリの折り返し地点はあと20〜30mと言った所か
流石に非常用の酸素ボンベは使うべきではない
『…キリの良い100まで行きましょ、ゲルはまだ下って言ってんのよね?100でもまだ下って言うなら装備整えて次にするべきだし』
ロウがいなければもっと下まで行けただろうが…しかし、ロウを連れていく事に意味があるのだ
『…スティング、90地点で一回止める。探査機を使うわ』
【銀の玉座と蠍の王女:129】

「潜りながら酸素作ったら100mくらいで折り返しなんでしょ?」
ならそのマルチタスクをしなければいい
「止まって酸素作る。その間探査機で少し先を調べる、進む。を繰り返す」
探査機のエネルギーはケロフレームと共有している訳ではない、別々だ
『…アイアイマム。ちょうど90m地点です、停止します』
スティングが言うには、(要約すると)水から酸素を精製する際に多少のエネルギーも精製出来るらしい
ケロフレームに積めるサイズなので効率は良くないとの事
Dr.Rがいれば可能だったかもしれないが…いくらアーカイブがあっても現代の科学力では作れない
もっと言えば、当時のDr.Rですらナイトスティンガー…つまり要塞級のサイズが必要だった
それを小型の…しかも非ゾイドに組み込むとなると、組み込めただけでも十分偉業だと思う…が
でもそれなら、その装置外して酸素とエネルギーを多く積めば?と思うのは素人考えなのだろうか…
「……」
探査機を操作して、何も無い海中で目を凝らす
「…?」
探査機のカメラが不調なのか、画像がぼやけていた
「あ…あぁ?あー…スティング、もしかしてゲルが探査機に引っ付いてる?」
『はい。…ああ、カメラを塞がないように伝えておきます』
【銀の玉座と蠍の王女:130】

『んあ?あぁ…やっぱ見てるか』
有線式の無人探査機を操作しながらレイチェルが呟く
「どうかしましたか?」
『いや、前のテストん時にさ、水面見上げて綺麗って思ったなってのを思い出した』
「…?」
『なんだろ…綺麗なものって認識はしたけど、そけを綺麗って感じるだけの余裕が無かった?でもそれなら、前見た時もそうだった筈だし…?あれかな?小さい頃の記憶を美化しまくったから同じもの見たって感覚にならなかった?』
『…んんん?』
首を傾げるレイチェル、ロウもそれを真似て首を傾げた
「自身の1番古い記憶は、その人の最も美しい記憶である…と言うやつですかね?」
『いやいや、あれは2歳くらいの記憶の事でしょ?しかもあれって後になって人から聞いた情報から作った偽の記憶だって話もあるじゃん』
人間は脳の構造上、0〜2歳の記憶を残せないと言う
「どうでしょう。人間は覚えた事は忘れない、思い出せないだけだ…と言う話もありますし。脳の発達によりその過程で古い記憶が分断され、紐付いていない為思い出せないだけの可能性もあります」
そうして、奇跡的に紐付けされていた記憶の断片を繰返し思い出しながら美化し続ければ不可能ではないように思える
『ロウくんね、パパとおふろはいってね、パパがロウくんをママにはい、ってしたのおぼえてるの』
そしてこの満面のどや顔である
『えー、レイちゃんとの方がいっぱい入ってるのにー?』
つまり、美しい記憶ではない…と言う事だ
「ああ、確か…2歳になったかならなかったかの頃ですね」
【銀の玉座と蠍の王女:131】

もしかしたら…破損しているスティングの記憶を私が無意識に拾い上げて、自分の記憶と錯覚している可能性も0ではない
金属外皮はゾイドと繋がる回線のような働きをするからだ
あの時私はナイトスティンガーから水面を見上げたのか?
スティングの内部カメラの映像では?
もっと言えば、スティングと姉さんは1度同調をした事があるので…そこでパスが出来上がっていたから姉さんからスティングに、そしてスティングから私へその水面を見上げた記憶が来たのかもしれない
何にせよ、当時の事を覚えている人間がいないので確認は出来ないのだが…
「ねぇ、レイちゃんは?レイちゃんもパパからママにはい、された?」
「んー…どうだろ。思い出せる1番古い記憶かぁ…」
心臓が悪く、ずっと病院で生活していた…と言う事しか覚えてない
「あれかなぁ…姉さんがベッドで寝ててさ、初めて見る黒い髪だっから…あん時は知らない国のお姫さまかと思ったなぁ…」
まぁ、異星人だった訳だが
今は筋肉ウーマンですがね、当時は美少女だったんですよ
『そうですね、目も髪も黒いとなるとかなり珍しいですからね』
ガイロス帝国の高山地帯に住む民族で肌も陶器のように白く美人が多い…ってか彼女達が美人と言う基準そのものだったので美人なのは当たり前なのだが…
「遺伝子的にも弱いっぽくて、混血のツインブラックはいないみたいだしね」
随分昔にその民族も途絶えてしまっている
今後ファッションモデルにツインブラックは表れないだろう
もう遺伝子のイタズラに期待するしかない
『化粧、髪を染める、カラーコンタクト…どうにか出来そうな気はしますが…』
「顔の造りが違うから私がやっても似合わないのよね…憧れはするんだけどさー」
ダーリンのおばあちゃんがツインブラックだったらしいので、ダーリンの遺伝子が持っていればワンチャンある
【銀の玉座と蠍の王女:132】

『ママおひめさま?』
まぁ、ガイロス帝国が滅んでいなければそうなっていたかもしれない
『絵本のお姫さまみたいに綺麗だったの』
『…ガチガチ?』
今のグレイスでファッション誌は無理だろう、それくらいは分かる
ああ、業務用の作業着カタログなら引く手あまただ…それも分かる
『んー…ひょろひょろのひょろひょろかなぁ…』
『ぅえぇ…』
筋肉量が美しさと比例しているロウには想像出来ないようだ
『…んんん?』
『どうかした?』
何があったのか、ロウが不思議そうな顔をしている
『あのね、あのね…ロウくんひょろひょろやーじゃないの?』
どういう事だろうか
『ママとレイちゃんどっちが好き?』
『まま』
即答、安定の即答
「…レイチェル?」
質問の意図が分からない
『スティング…私のバイタル値は正常?』
彼女が自身の脈拍を測りながらそう言う
意図は分からないが、数値に問題がない事を伝える
『…妙ね』
それはゴッキローチをを噛み潰したような顔だった
「計器類に反応はありません、周囲には何もありません」
何かしらの影響を受けている、と言うのか?
時間の感覚が狂いそうな闇、長時間の閉鎖空間…それらによるストレスではないのか?
【銀の玉座と蠍の王女:133】

ダーリンが私と姉さんを比較して、姉さんを選ぶ時…私は毎回胃に穴が開くんじゃないかってくらいへこむ
…どんな些細な事でも、だ
それだけ愛している、愛せているとその痛みに安堵したりもする
しかしどうだろう…今のは、吐きそうな衝撃しかなかった
衝撃が小さい事にショックを受けるくらいには…いつものに比べたら微々たるダメージ
「…」
自分の精神が何かしらの影響を受けているんじゃないかと疑う
分かるか?ダーリンが姉さんの事を嬉しそうに話すたび、私は嫉妬でハンカチを噛みながら奇声をあげたくなるんだ…【さっき、ならなかった】ぞ?

…何かが、私から愛の証明を奪ったのだ

「どこの誰か分かんないけど、返してもらうわよ」
『レイチェル、落ち着いて下さい』
ああ、そうだ、落ち着け
ぶん殴る手は火傷しそうに熱くても、考える頭は氷点下で冷静に…だ
この温度差が生み出すエネルギーは乗算のようなもので差があればあるほど良いらしい
「今、最高に、クールって、やつ、よ」
ぶん殴る為には到達しなくてはならない、到達する為には冷静な分析が必要だ
なら、冷静になるしかないだろう
【銀の玉座と蠍の王女:134】

『ここは感情に影響を及ぼすくらいON粒子が濃いんじゃない?』
普通なら考えられない事である
人が多い場所でなら兎も角、何もない場所で何がどうすればそうなるのだろう
「特殊な粒子なのか、私達の知らない性質があるのか…何にせよ、精神に影響を及ぼして機械が感知出来ないエネルギーが複数あるってのは考えにくいし」
確かに可能性は0ではないかもしれないが、高いとは言えないだろう
『ロウ、さっきのひょろひょろのママが嫌って時のムズムズするのが何処に行ったか分かる?』
『…んー…やーのムズムズ…は…あっち?…もうとおくだからわかんない』
少し迷うが、思うところがあったようで正面を指差すロウ
ロウ自身は自信無さげだが…この確度は高いと俺は思う
我々はこの可能性を考えてロウを連れてきたし、グレイスも同行させる事を止めなかったのだから
『金属外皮の位置が位置だから、少なくとも可能性はあるって考えたんでしょ?』
その通りである
金属外皮が脳や(皮膚を除く)目などの感覚器に近い場合、個人差はあるがON粒子を知覚出来るようになる…らしい
グレイスが言うには、両目の近くに金属外皮が出ていた頃は(後になって気付いたが)特定の伝達状態で高濃度、且つ極々近距離なら粒子の動きが見えていたそうだ

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