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朱色コミュのタイポグラフィ

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「タイポグラフィに関する書籍を並べてみると、Warm Redとよばれる赤と黄色の混合色、すなわち朱色を、その表紙や本文に効果的に使っているものが多いことに気が付きます。豊富な色彩のなかからなぜこの色を選んだのでしょう。本格的なタイポグラフィの書籍を探すときに、Warm Redをある種の購入の目安にするという友人もいます。また文字や活字を扱う会社の広報物や商品パッケージにも効果的に使用されたケースをみます。
 タイポグラフィや色彩の専門書を調べると、Warm Redは金属活字の搖鑑機、すなわちインキュナブラの時代から延々と使用されていることがわかりました。ここではなぜこの色彩が書籍の中で使われ続けたのかを考えます。
 そもそも一五世紀にヨーロッパで興った金属活字による印刷術は中国からの木版印刷による影響が大きかったと考えられています。とくにアルダス・マヌティウスが活躍したベネチアには、一三世紀のマルコポーロの東方遠征以降、多くの東洋の書写された書類や木版印刷物が流入していたと想像されます。そこには印章が象徴的な朱でしるされたり捺印されていたのではないでしょうか。この時代までの欧州の写本は、朱色をはじめさまざまな色彩が用いられていました。しかし印刷に移行する段階の技術的制約によって特別な書物をのぞいて色数を減らさなければなりませんでした。その時に当時の先端技術による東洋の木版印刷物が、ある種の手本とされていったことが考えられます。その結果インキュナブラにも朱色が象徴的な色彩として残されていったのではないでしょうか。木版印刷術は印章と拓本術の発達によって、中国の宋の時代におおきな進化をみせました。この時点でWarm Redつまり朱色は印章の風習から受け継いでいたことは容易に想像されます。
 このようにWarm Redは印刷技術の発生とともに使われはじめたようです。そして印刷の第二の色として、スミの文字の色を過不足なく捕ったり支えてきたのです。いいかえれば読書行為を支え続けてきた色ともいえます。それゆえに多くの見識のある読者やタイポグラファや印刷人によって支持されて、いまなお書籍における象徴的な色彩として使われているのではないでしょうか。」
リョービ書体ポスター百花展1999より

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