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地球交響曲 @ O-EAST&WESTコミュのスピリット(霊性)、マインド(知性)、ボディー(肉体)の調和こそ人間本来の姿である

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もうひとつ、別の次元の現実が存在する
 80年8月20日、エベレストに登ったときのことです。頂上へアタックを開始してす ぐ、深いクレバスに落ち、脱出するのに体力を使い切ってしまいました。濃い霧で方角もまったく判らなかった。極限の疲労感の中で雪の上に横たわっていたそのとき、 突然、一人の少女が私の横に座っているのに気がつきました。話しかけると、少女は はっきりした声で答える。幻覚でも自分自身と話しるのでもなかったのです。私はな んでも少女に相談しました。もし彼女がいなかったら、あの遠征は失敗に終わってい たでしょう。  目にみえている世界だけがこの世のすべてではないということを、ヨーロッパでは なかなか理解しようとしません。しかし私は、理性や五感だけでは捉えることができ ない、別の次元の現実が存在していると確信しています。死の地帯に体が踏み入った とき、初めてそれが見えてくるのです。
 もうひとつの別の次元の現実が存在すると私が確信するようになったのは、1970年 のナンガ・パルバートの体験からでした。下山の途中、私はおよそ800メートルの崖 を墜落したのです。そのとき、私は落ちてゆく自分を、上から静かに見つめているも う一人の自分がいることに気付いたのです。
 人間は、じつは2つの次元の中に生きている。その、一方はふだんは見えない。こ のことが私の人生のもっとも重要な体験になったのです。

 私は山を征服したいのではありません。登れるということを証明したいのでもない。 ただひたすら、私は自分を知りたかったのです。この有限の肉体を持った裸の私が、 生命の存在を許さぬ死の地帯で、どこまで命の可能性を広げることができるかを知り たかったのです。だから、大きな組織や科学技術の助けを借りて山に登ることは、私 にとって意味がなかったのです。

生命力は、自分の周囲に無限に存在し、
渦まいている
 私は自分が自然の一部分であるということを強く感じています。私と水や木や草と の間にはなんの区別もない。同じひとつの流れの中にあるんです。科学や医学の進歩 によって、私たちは昔の人よりずっと多くのものが見えるようになった。しかし、そ の代償としてなにかいちばん大切なものが見えなくなっていているように思うんです。
 私は他人より超人的な体力や耐久力を持っているわけではありません。ただ私は生 命力を発揮する方法を他人よりよく知っていたと思います。生命力は自分が所有して いるというようなものではなく、私たちの周囲に無限に存在し、渦巻いているものな んです。その生命力をスムーズに外に出してゆく。それが調和的にうまくいったとき、 遠征は成功するのです。するとまた、大きな喜びとともにエネルギーが体の中に戻っ てくる。人間はいわば、生命力の通り道のようなものなんです。

 人間は、英語で言うところの、スピリット、マインド、ボディーの3つの要素から 成っていると私は思います。スピリットとは霊的な魂のこと、ボディーは肉体、マイ ンドは理知的な心です。この3つの要素の調和がとれているのが人間の理想的な姿だ と私は思います。しかし、もし肉体を疎かにすると、スピリットやマインドがいかに 高くても、人間はその肉体の弱さにとらわれてしまう。人間は自分が持っているいち ばん弱い要素を基準に生きざるを得ないのです。

 いつも死を意識しているわけではないんですが、私は死こそ生を充実させるもっと も重要な要素だと思います。誕生と死は、私たちの人生の中でけっして切り離される ことなく、まるで弓の両端のように互いに強く引き合って存在しているのです。生の 一瞬一瞬の内に、死がじつはリアルに存在している。そのことを知れば知るほど、逆 に私たちは自分の人生を充実したものにできるのです。

大切なのは一人一人の心の革命
 科学技術の進歩を後戻りさせることはできないと私は思っています。しかし、人間 が自然とのコンタクトを失わず、自然が伝えてくれるメッセージに素直に耳を傾ける なら、人間はたぶん大きな過ちを犯さないだろうと思っています。
 今いちばん大切なことは、国や企業を糾弾するキャンペーンよりも、一人一人の人 間の心の中の革命です。それも、普通の人々の、普通の生活の中での心の変革が、じ つはいちばん大切だと思います。
 広い意味で、地球はまだまだ大丈夫だと私は思っています。

★ラインホルト・メスナー(イタリア)
 1944年イタリア北部の村フィルネス生まれ。70年ナンガ・パルバート登頂に成功す るが、弟ギュンターを亡くし、自らも足の指6本を失う。その後72年マナスル、75年 ヒドン・ピーク、78年エベレスト、79年K2、81年シシャ・パンマ、82年カンチェンジ ュンガ、ガッシャーブルム・、ブロード・ピーク、83年チョー・オユー、85年アンナ プルナ、ダウラギリ、86年マカルー、ローツェと次々と登頂に成功。世界で唯一人、 単独で世界の8000メートル峰全山14座を制した。現在は一線を退き、山の環境美化運 動などを行っている。90年には南極点に歩いて到達した。
 30冊近い著作の持ち主でもあり、代表作に『ナンガ・パルバート単独行』(山と渓 谷社)、『生きた、還った』(東京新聞出版社)など。

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