初代Ｗヤングコミュのお笑いインターネットワーク

横山エンタツ（花紀京の父）の名作『頓珍漢結婚記』をWヤングが焼き直して演じてます。あなたの記憶にある平川、中田、両氏のフィーリングで読んでみてください。

中田　いらっしゃいませ。　
　
平川　君今日いつもと違ってほがらかやけど何かあったっんか？

中田　ちょっと嬉しい事があってね。

平川　お父さん死んだんか？

中田　お父さん死んで何でニコニコしてるねん。違うがな。もろたんや。

平川　もろたん？　そらよかったがな。

中田　おおきに。

平川　何もろたん？

中田　知らんと言うてるのんか。男がもろた言うたら決まってるやろ。

平川　病気か？

中田　病気もろて何が嬉しいねん。違うがな。嫁はんもろたんや。

平川　そらよかったがなぁ。おめでとうおめでとう。

中田　いやぁ僕もとうとう結婚してなぁ。

平川　おまえ結婚もしたの？二重の喜びやなぁ。

中田　何？

平川　いや、結婚するわ、嫁はんもらうわ。

中田　お前さっきから何を聞いとるねん。

平川　おまえさっきから何聞かされとるねん。

中田　同じように言うな。

平川　同じように言わされるな。

中田　合わすな。

平川　合わされるな。

中田　ハラ立つ奴やなぁ。

平川　ハラ立たされる奴やなぁ。

中田　いっぺんどついたろか。

平川　いっぺんどつかれたろか・・・あかんあかんがなぁ！

中田　つまり嫁はんもらう事を結婚と言うのや。

平川　ほな婿はんもらうことは？

中田　離婚や。

平川　言うかぁ？　そやけど可愛いやろ。

中田　何が？

平川　子供。

中田　おまえアホか。結婚ホヤホヤで子供ができるか？

平川　僕なんか結婚する前から子供おったがなぁ。

中田　そら君は恋愛結婚やからや。僕の場合はお見合いやったからね。

平川　ほう〜見合い結婚は、子供でけへんの？

中田　でけへんことは無いけどね。

平川　えらい損やなぁ。

中田　損な事はあらへんけどね。二人は見合い結婚や。つまり僕と結婚するまでうちのの嫁はんはムスメやったんや。結婚して初めて女になったんや。　　

平川　へぇ〜すると君とこの嫁はん結婚する前まで男やったん？

中田　アホな事言うな。つまり結婚する前まではお互いキムスメやったんや。

平川　お互いに？

中田　いや違う違う。嫁はんだけがキムスメやったんや。

平川　そらそうや、おまえがキムスメやったら気持ち悪いわ。

中田　偉そうに言うけどなぁ、君は見合いの経験が無いからそんな事を言うのや。

平川　僕は見合いの経験あるがなぁ。大阪駅の近くに大きなホテルあるやろ。

中田　一流ホテルあるがなぁ。　

平川　そこが高いから大阪駅の待合所でやったんや。

中田　ややこしいわ！！

平川　待合所で僕が先に行って待ってたわけや。すると彼女がちょっと遅れてやって来たね。

中田　なるほど！！

平川　僕の前にパッと座ったんや。彼女顔をポ〜と赤くして・・・・・。

中田　ええとこあるなぁ〜。恥ずかしいから顔をポ〜と赤くして・・・。

平川　いや、焼酎一杯呑んできましてん。

中田　飲ますなぁ！！僕の場合は違うな。ホテルのロビーでやったんや。

平川　今流行やがなぁ〜。

中田　僕が行ったらお母さんと二人で来てはったんや。

平川　お母さんと二人で？おまえどっちもらうねん？

中田　おまえアホか！お母さんもろて何がおもろいんねん娘さんもらうねんがなぁ。

平川　そらその方が得や得や。

中田　それで二言三言話したんや。すると娘さんの顔が真っ赤になっとんねん。

平川　焼酎呑んできよってんなぁ。

中田　焼酎なんか呑ますか〜。

平川　何や？

中田　ドブロクや。アホな事いわすな！！

平川　すると今の嫁はんというのは、その見合いの相手やな？

中田　いやそれが違うねん。

平川　ほな君はひやかしで見合いしたん？

中田　違うがなぁ、これは縁が無かったんや。

平川　僕なんかすぐに縁あるで〜。

中田　君の場合は誰でもええからや。選り好みせんからなぁ。

平川　放っとけ！！

中田　僕の場合だいたい女の顔に惚れんねん。

平川　背中に惚れるの？

中田　何で背中に惚れるんや。

平川　ヤイトのあとが美しいとか。

中田　妙なもんに感心すんな。妻は顔なんかどうでもええねや。

平川　顔なんかどうでもええねや。

中田　どうでもえねや。

平川　無かってもええねや。

中田　無かったら困るがなぁ。

平川　そらあった方が得や得や。

中田　それはもうええねん。女は顔より心やね。女と言うのは結婚したら家庭に入るやろ。するとどうしても女は汚れる。　家庭に入ってまだ着飾ったり化粧したりしてる女、こう言う女は臭い。

平川　うん、臭い臭い。

中田　臭いでぇ〜。

平川　臭い、臭いなぁ〜。

中田　ほんまに臭いなぁ〜。

平川　今僕オナラしてん。

中田　ややこしい時にすな！！今の嫁はんがいる条件にピッタリや。

平川　ほな今の嫁はんというのは生まれはどこや？

中田　北の方や。

平川　北極かい？

中田　もっと南や。

平川　ほな南極か？

中田　えらい飛んだなぁ。

平川　ああ富田林かい？

中田　違うがなぁ、北、つまり北陸の方や。

平川　今の心境はどや？

中田　仕事が手につかんなぁ。

平川　早よ帰ってしたいやろ。

中田　したいて何や？

平川　新婚さんしたい言うたらあれに決まってるがなぁ。隠すな，早よ家帰ってしてこい。

中田　・・あれ、て何や？

平川　お話やないか。

中田　新婚で早よ帰ってお話して何や。しょうもない。

平川　しょうもない？君は何やと思たんや。

中田　僕はあれやと思たがなぁ。

平川　すけべ！！

中田　君はどない思たんや。

平川　僕もそう思た。

中田　・・思うなぁ！！今でも嫁はんの事いとし〜考えてんねんで。今頃家で嫁はん何してるやろか？

平川　今頃家で嫁はん何してるやろか？

中田　掃除してるやろか？

平川　そこへガスの集金人のおっさんが来てへんやろか。

中田　それともお風呂へ入ってるんやろか。

平川　集金人のおっさんと一緒に風呂入ってへんやろか。

中田　もう寝てるやろか。

平川　集金人のおっさんと一緒に寝てへんやろか。

中田　嫁はん満足してるやろか。

平川　そら婿はんよりましやろ。

中田　何をゴチャゴチャ言うとるねん。

平川　心配したってんねん。

中田　そんなん言うたら余計に心配になるがな。とにかく嫁はんのこと考えると、電車の中でもイライラしっぱなしや。それで電車が駅に着くやろ、駆け足で家まで帰るねん。それで玄関の戸をあけるやろ。『おいヨシ子ヨシ子』

平川　おいそのヨシ子て何や？

中田　嫁はんの名前やがなぁ。

平川　もう名前付けたんか？

中田　アホなぁ！犬と違うんやからねぇ。君とこも家帰ったら嫁はんの名前呼ぶやろ。

平川　いいや呼ばへんで。

中田　呼ぶやろ。マタエマタエおいっマタエよ。

平川　人の嫁はん股ずれみたいに言うな。

中田　ここの嫁はん名前をマサエ言いますねん。ところが子供は舌が回らんから、『マタエ！マタエ！』こいつも同じ様に『マタエ！マタエ！』すると嫁はんが股広げて『私マタエ！』

平川　アホな事言うな！僕とこ名前なんか呼ばへんで。

中田　どないすんねん？

平川　余分な言葉は言わへん。帰ると呼び鈴を押すね。ピンポ〜ン。ウァオ〜ワンワンワン。

中田　用心ええがなぁ。犬飼うてんのか？

平川　隣の犬が吠えやがんねん。

中田　ややこしいこと言うな！

平川　それで玄関の戸をガラッと開けて『おい！』これ一言や。するとうちの嫁はんもできた奴でね。僕のこの『おい！』と言う声を覚えてくれてる訳や。

中田　当たり前や。嫁はん君の声を忘れてどないすんねん。僕の場合はそうはいかんなぁ。おいヨシ子！

平川　ヨシ子！

中田　おいヨシ子！

平川　コラっヨシ子！

中田　おまえが偉そうに言うな。すると奥から嫁はんが嬉しそうに走って来よるねん。

平川　シッポ振って？

中田　振るかァッ！で嫁はんが言いよる。『あなたおかえりあそばせ』

平川　ちょっと待て！君時々解らん事言うなぁ。あなたて誰や？

中田　あなたて僕やがなぁ。

平川　君は［なかた］やろ？

中田　そら表では中田やけど家ではあなたやがなぁ。

平川　名前ふたつあるのんか？

中田　ふたつある訳やない。外では中田、家ではあなたやがな。

平川　ああ偽名かい。

中田　偽名と違うがなぁ。君も家ではあなたと呼ばれるやろ。

平川　いやウチは違うね。僕が帰って来るやろ。嫁はん出て来て『おまえしゃん今けえったのかい。わらじのひもを解いてくんな』

中田　銭形平次と違うんやからな。ウチはちがうね。家帰ったら大将やからな。僕は玄関にドーンと腰を下ろすわけや。嫁はんが靴脱がしてくれよるねん。

平川　両足か？　　

中田　片足だけ脱がしてどないすんねん。それで座敷へ上がってな、僕が服を脱ぎかける。嫁はんそ〜っと後ろへ回りよる。

平川　首を締める。

中田　何で首締めんといかんねん。

平川　生命保険かけてるから。

中田　物騒な事言うな。服を脱がしてくれるんやそしてパッと見たら座敷の真ん中にお膳がド〜ンと置いてある。

平川　その横に下駄箱が置いてある。

中田　何でそんなもんひっついて置いてあるねん。

平川　ひっついてへんか？　　　

中田　離れてるわ。

平川　ほな今度の家広いねんなぁ。

中田　ちょっと待て！ほな今までマッチ箱みたいなちっちゃい家か？

平川　前の家えらい狭いやないか。こいつとこ前の家、床の間にお便所おますねん。おいお便所どこや？て聞いたら床の間や。

中田　アホな事いうな！だいたいウチはオカズがええなぁ。お膳パッと見たらオカズがいろいろのってある。

平川　大根の千切りに、大根のおろし、大根の漬けもんやろ。

中田　大根ばっかりやがなぁ。もっとええのがあるやろ。

平川　何や？

中田　おからや。

平川　あんまりえーもん置いてないなぁ。

中田　食べながら晩酌するねん。

平川　君は酒どれぐらいいけるのん？

中田　あんまり呑まんなぁ。銚子にニ本つけるやろ。ちょっと余る位やなぁ。

平川　ええ酒やがなぁ。

中田　残りを嫁はんに呑ましたんねん。

平川　ほう〜嫁はん酒呑めるの？

中田　いやそれがぜんぜん呑まんねや。君とこはどや嫁はんは？

平川　ウチはちょっとは呑むけどね。まぁここに一升瓶があるわなぁ。さかずきに２〜３杯ね。

中田　ほ〜うっ、ええ酒やがなぁ。

平川　残してみんな呑むね。

中田　飲み過ぎや！ウチなんか酒一杯呑ますのにえらい苦労やで。おいおまえちょっと呑みたまえ。アラ私女ですもの呑めないわ。いいじゃないか主人が言うてるんや呑めよ。私駄目よ呑めないわ「呑んで」駄目なの「呑んで」私全然呑めないの。よう呑むんやがなぁ。もう一杯いこ。もうすっかり酔っちゃった。私酔うと興奮するのよ。いいよ僕が懐抱してあげるよ。眠くなったわ。今寝ちゃいけないよ。そのままキスして。こうか？もう一度。ア〜〜私興奮するわ。ねぇもう一度！もう一発！ねぇ寝ましょうよ。ではちょっと早いけど布団ひこか。僕達幸せに暮らそうね。エエ〜。

平川　お前漫才ひとりでやれ！

中田　あっ居てはったん？

平川　僕暇でしょうがないがなぁ。

中田　そんな事言わんとのろけ聞いて〜な。

平川　でそのウチの嫁はんベッピンか？

中田　自分の口から言われへんがなぁ。

平川　かまへんがなぁ。

中田　いややぁ。

平川　ええがなぁ。

中田　いややぁ。

平川　ベッピンか？

中田　不細工やがなぁ。

平川　そやろ。

中田　どついたろか！！僕はケンソンして不細工や言うとんねんで。コンビやったら僕がケンソンしてるなぁ思て、「そんなことございますまい」と言わないかんがなぁ。もういっぺんや。

平川　お前の嫁はん不細工やろ。

中田　アホ、ベッピンやがなぁ。

平川　そんなことございますまい。

中田　いや、それはちょっと違うねん。

平川　おまえの嫁はん浮気しとるやろ。

中田　そんなもんしてるか。

平川　そんなことございますまい。

中田　そ、そうこられると困るねん。

平川　お前とこの嫁はん男やろ。

中田　アホ女やがなぁ。

平川　そんなことございますまい。

中田　もうええわっ！！


以上Wヤングの漫才人生より抜粋させて頂きました。