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感動の映画ランキングコミュのまた、いい映画を観てしまった〜 『蝶の舌』(スペイン映画)

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また、いい映画を観てしまった〜 『蝶の舌』(スペイン映画)

 『蝶の舌』を観た。

スペイン映画で、スペイン北西部のガリシア地方での、迫り来るフランコの侵攻の中で、この地区特有の山や川を背景に、繰り広げられる、思春期の子供たちと共和派の老いた先生との交情を魅せる映画である。その光景はとても美しく、思春期の子供たちの夢、好奇心を見事にあらわしている。
この1936年は、スペインにとって、世界にとってとても重要な時期である。

【1936年の主な出来事】

2月16日 - スペイン総選挙で人民戦線派が圧勝。
3月 7日 - ドイツがラインラントに進駐
2月26日 - 二・二六事件勃発
2月27日 - 東京市に戒厳令布告(〜7月16日)
7月16日 - 東京市の戒厳令解除
7月17日 - スペイン内戦勃発
9月26日 - ソ連でニコライ・エジョフが秘密警察長官にあたる内務人民委員に任命され、スターリの大粛清が本格的にはじまる。
11月 3日 - アメリカ合衆国大統領選挙でフランクリン・ルーズベルトが再選
11月18日 - 独伊がフランコ政権を承認
11月25日 - 日独防共協定締結
12月 5日 - ソビエト連邦でスターリン憲法が制定される。

*ねえ、凄い一年でしょう。こうして、世界大戦に至るのである。
 
 私は、映画の感想において、ストーリーをあまり追わない。
 追ったのは、『ヒトラーの贋札』と『ゆれる』位である。それは、その全編にわたって、私の興味や緊張があったがためである。私は、映画情論家ではないし、単に私の命題をその映画に投影して、いわばエッセイを書いている身なれば。

 8歳の少年モンチョと、老先生グレゴリオとの交流。そして、誰も描くであろう性への不思議、兄の中国女性に対する憧れ。これをとても自然に映し出している。
私も、おのれのその頃を思い出してしまって、懐かしかった。あれ、おいらもそういえば昆虫採取をよくしたなあ、ブリキ職人の親父が蝶を入れる三角の虫入れをつくってくれたなあ、とか、あれ、グレゴリオ先生、「たも」はそういうふうに扱うものじゃないよ、なんて。

 グレゴリオ先生が言う。「蝶の舌な、今は隠れていて見えないけど、蜜を吸う時に巻いていたゼンマイのような舌を伸ばすんだ〜」。そして老先生は引退するときに言う。「きみたちは自由に飛び立ちなさい!」。
そして、ついにフランコの侵攻が迫る。「北アフリカで戦争が起きた・・・」と。この街にも王党派と共和派が混沌としている。そういう時代なのだ。

 いよいよ共和派狩りが行われる。この少年の父は仕立て屋で、先生へのお礼に先生のスーツをつくって贈っている。妻は、その党員証を燃やし、子供達にも口封じを命ずる。そうして、政治的に無垢であることに擬態しようとする。それは何もずるさではなく生きるためである。

 捉えられて、群衆の中を歩くグレオリオ先生。

 しょうがなく叫ぶ群衆。「このアカ、このアカ!」と、石をもって放る。 

「お前も叫ぶのよ」とモンチョに母が必死に囁く。
先生を見つめるモンチョ。先生もモンチョから目を離さない。
「アテオ! アカ!」モンチョが口を開いた。
 車が走り出すと同時に、モンチョは母の手を振り切って駆け出す。曲がり角で石を拾いあげ、遠ざかって行く先生を必死で追いかける。石を投げながらモンチョが叫ぶ。

そしてついに言う。『ティロノリンコ! 蝶の舌!』と。

うわあ〜。

 ストーリーの見所の光景は以下にある。

?グリゴリオ先生の存在と生き方。 ?渦巻き状の蝶の舌。 ?兄の属するブルー・オーケストラ。?その兄が夢見る中国人女性。?「宝島」と虫採り網。 ?大好きなアウローラとの水浴び。先生は「ティロノリンコのようにしなさい」と言う。川での幼いキッス。そして、?夏の日のさよなら、である。

 モンチョ少年の表情がとてもいい。兄の存在もいい。いい作品だ。

 
 私がスペイン映画を観るのは、ある約束の地、幻想のアンダルシアがあり、スペイン内戦(戦争)をよく調べたからである。何か分からないこの内戦。世界から集まる知識人たち。

 いくつかのスペイン映画を観たが、必ず背景にこのスペイン内戦の影がある。そうか、その内戦はスペインの民衆にとってはとても思いものなのだろう。

 『誰がために鳴る』は実にこの内戦末期の映画であり、『サルバドールの朝』もフランコ独裁の末期での抵抗を観せたものであるし、カルロス・サウラ監督の活躍もこの頃からである。『フラメンコ』他は実にいい。
『アナとオットー』、『ボルベール(帰郷)』もいい。そして、『海を飛ぶ夢』で私の胸ははち切れそうになった。
 
 もう、スペイン映画に夢中であるが、レンタル屋で借りたのは、僅かに先にあげたのみ。全く置いてないのだ。幸い、カルロス・サウラは教室の隣席のフラメンコ・ダンサーが貸してくれた7編。
私は150のスペイン映画を抽出している。

 できれば、『ロルカ・暗殺の丘』(廃盤)、『炎のアンダルシア』、『アンダルシアの犬』、確か『ボルバ』(廃盤か?)を観たい。さらに、『戦争は終わった』、『日曜日には鼠を殺せ』、『ミツバチのささやき』カルロス・サウラの『歌姫カルメーラ』、『大地と自由』が観たい。

 その内、『ミツバチのささやき』は発見してある。

コメント(8)

蝶の舌いいですよね!思わず初コメントしました!

僕も高校か中学時代に観て、すごく感動した覚えがあります。
特に最後のシーンでのモンチョの演技には心打たれますね。

あー久しぶりに観てみたいな…
わあ〜、ありがとうございます。

観てくれた人のコメントって、共有感があって実にいいもんです。

私は今、懸命にスペイン映画を観ています。

たーぼさん、今後も宜しくご指導下さい。

『ティロノリンコ!』

〜キム〜
おもわずコメントしてしまいました。もう10年ほど前ですが、わたしも銀座で『蝶の舌』を見ました!いい映画なのに意外と知られてないですよね〜映画の時代背景とか全然知らなかったので勉強になりましたわーい(嬉しい顔)
3年ほど前、地上波で放送していたのを見ました。

ラストシーンがなんかせつないんですよね…。
『蝶の舌』、多分1年以内にDVDで観ました。
持ってますし。
お兄ちゃんの切ない恋の話しと、先生の最初の授業での優しさ、最後の一言、のシーン等が特に好きです。

私もスペイン映画好きです。
『ボルベール』はまだ観てないので、是非観たいです。

『ミツバチのささやき』は小学生頃に母に連れられて映画館で観ました。
わかりにくかったですが、何か衝撃を感じた覚えがあり、以降観ていませんがよく覚えている様な気がします。
久々に観たくなったのでDVD探して観ます!ぴかぴか(新しい)
やはりラストシーンが切なかったです涙
先生…

〜みなさん、どうもありがとうございます〜 『蝶の舌』感想に対しての共感に!

『蝶の舌』に、思わぬいいコメントを沢山いただいた。
これまでにも、私の映画の感想文に対して多くの賛同と、実はそれ以上の「中傷」をいただいて来ました。
『蝶の舌』において、私はそのストーリーを追って感想をするのはやめました。その替わりに、1936年がどのような一年であったかを、抽出しました。

映画は観ればいいのです。

この『蝶の舌』を観た人は沢山いるはずです。
そうして、それらの人から共感のコメントが沢山寄せられました。
まず、「たーぼ」さん、「ユカ」さん、「あたがし」さん、「よう」さん、「のはら」ちゃん・・・。誠にまじめな共感のコメントをありがとうございます。この場をかりて御礼申し上げます。
そして、「のはら」ちゃん、今度、銀座テアトルシネマで公開される『ペーパーバード・幸せな翼にのって』のご案内情報ありがとうございます。

『蝶の舌』はとてもいい映画です。

こんないい映画、あるいはいいスペイン映画は、あのアメリカ映画にはとても無いものです。私はもう、友から薦められた黒沢清監督作品はどうでもいいものになってしまいました。それほどの優れた作品群です。
後述する私のスペイン映画の抽出を見て下さい。ほとんど手に入れるのが困難です。それでも必死に探しています。

実は、アンダルシアを中心に、私は今、幻視のスペイン紀行とでも言うべきエッセイを書き留めています。でも、こちらの資料もとても少ないのです。
それで、思いあまってスペイン大使館にコンタクトまでしている愚挙があります。でもその文化部はちょうど夏休みに入っていました。ああ、何としたことでしょう。

間もなく、私の訓練校の隣席の女性(フラメンコ・ダンサーでありパリージョ奏者)が、このmixiに登場します。この女性からは、カルロス・サウラの作品を中心に7本のスペイン映画を贈られました。そして、私にカンタオーレ、バイラオーレになって、と言うのです。私は、パリージョも購入しました。今度、その教室に同席する予定になっています。

私をスペイン、特にアンダルシアに興味を持たされたのは、いろんな理由があります。

特に、一度蔵書を処分した後、同じ本をブックオフにて105円で購入した『スペイン戦争』(文庫本)の著者の真摯な姿勢にこころ打たれたのです。あの、スペイン内乱は時代的に必須のものであります。しかし、そこに世界の知識人があつまります。そして、それは思わぬ混乱をみせ、ついに民衆の抵抗は、そのものではなく、知の遊び?の場に変えられてしまいます。私はそう思いましたし、著者も、ていねいにそのことを書けば書くほど、おかしいなあ、って感じになって行くのが分かります。
しかし、その内乱はスペイン各民族のこころに深く残っていて、スペイン映画のほとんどどれもが、その内乱の内にあります。私たち島国人も同様の経験をしたはずです。しかし、現況はいかがでしょう。

もうむちゃくちゃであり、「ファシズムって何ですか?」なんて大学院生が聞いてきたのには驚きました。
風化しているんです。愚衆化しているんです。

そんな中で、スペイン映画は執拗に過去をそっとみせます。いいもんです。

〜みなさん、どうもありがとうございます〜

【日記に私の抽出したスペイン映画一覧】を載せました。
どうぞご参照下さい・

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