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夏目漱石コミュの手紙

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 今日からつくつく法師が鳴き出しました。もう秋が近づいて来たのでしょう。
 私はこんな長い手紙をただ書くのです永い日が何時までもつづいてどうしても日が暮れないという証拠に書くのです。
 そういう心持の中に入っている自分を君らに紹介するために書くのです。それからそういう心持でいる事を自分で味わって
 みるために書くのです。日は長いのです。四方は蝉の声で埋まっています。以上。
 八月二十一日
                                   夏目金之助
 久米正雄様
 芥川龍之介様
           夏目漱石(1990)『漱石書簡集』岩波文庫、pp309-310

時間を誰かに捧げるということ。
それが思い遣りというものなのかもしれない。

手紙は不思議だ。
言葉は現在形で語りかける。
読む度にそれは「今」で在り続ける。
永遠に再演される呼びかけ。
その意味で手紙は、詩に似ている。

コメント(4)

そら さま

私もこの手紙が大好きです。

読むたびに、私自身に力が湧くようです。
そして泣いてしまいます。

>勉強をしますか。何か書きますか。君方は新時代の作家になるつもりでしょう。僕もそのつもりであなた方の将来を見ています。どうぞ偉くなって下さい。しかしむやみにあせっては不可ません。ただ牛のように図々しく進んでいくのが大事です。

私は特に創作活動などをしているわけでもなく
極めて平凡な兼業主婦ですが、
いつも勇気100倍になります!

はなさま

 お返事有難うございます。それから「直前」の引用も。私もここ、すごくすきです。芥川さん、久米さん宛ての「優しさ」が時と場所を超え、「ここ」にまで届くなんて。言葉の不思議を思わずにはいられません。


yuki☆さま

 書き込み有難うございます。
 「見えないこと」がどれほど人の想像力をかきたてることか。
 「壁」があるからこそ生まれるものもあるんですね。


シネフィル淀川さま

 「思い」に「形」を与えるものが「言葉」だとすれば、「手紙」という「肉体」を得て言葉は書き手の「感情」さえ伝えてしまう。揺れ、ためらい、意気込み、喜び。ネット全盛の今、かえって「エクリチュール」の存在感が際立ちますね。


>私はこんな長い手紙をただ書くのです。永い日が何時までもつづいてどうしても日が暮れないという証拠に書くのです。
>日は長いのです。四方は蝉の声で埋まっています。

私はここに、時間の不思議を感じます。

「永遠」は時間の「長さ」ではなく、「質」の問題なのかもしれません。
真夏の昼の太陽を見上げる時、私は「永遠」を感じます。「ただ待つしかない時」にも。

         ▲  ▼  ▲  ▼  ▲  ▼

>今常公が泣いているよ。あいつは泣て仕方がない。山川あいかわらずで困る。僕もあいかわらずで困る。
>右早速御答まで。実は少々気取って夏目は字が上手くなったといわれたかったが、そんな山気もなくなったから天真爛漫たる処で御免蒙る。さようなら。
  六月十四日
 虎雄様
    座下
>君がいなくなって、悪口を闘わす相手がいなくなって甚だ無聊を感ずるよ。

         ▲  ▼  ▲  ▼  ▲  ▼

最後に「君がいなくなって」と付け足さずにはいられなかった漱石。
時は1904年。漱石37歳。







 

 






 

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