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兵庫県立大学合田研究室コミュのゼミ発表資料

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2006.7.20 大学院博士ゼミ 担当:和崎

人と人の「つながり」に投資する企業〜ソーシャル・キャピタルが信頼を育む
In Good Company – How Social Capital Makes Organizations Work
ドン・コーエン+ローレンス・プルサック 沢崎冬日訳
ダイヤモンド社 2003年11月7日 ISBN4-478-37386-8

第3章 社交ネットワークとコミュニティ
「テクノロジーは既存のリレーションシップをより効率化するかも知れないが、それを変革するわけではない」(マーク・ウォルシュ/パーティカルネットCEO)
「埋め込まれた絆を通じて取引パートナーとつながっていれば、企業は特別なチャンスを利用できる」(ブライアン・ウジィ/ノースウエスタン大)
既存の絆の信頼性や快適さ(そのつながりがもたらす経験に基づいた自信)が、知人や友人と接する際の本質的喜び(忠誠心や互恵性、愛情の喜び)と併せて、その判断に影響を与える。

社会集団の役割とは何か
ソーシャル・キャピタルを取り上げている理論家のほとんど全員が、社交ネットワーク(そしてその緊密な関係やコミュニティ、実践)を分析の核心に据えている。
「ソーシャル・キャピタルとは、他人とのつながりから得られる将来的な便益すべてから成る実態」(ヘンドリック・フラップ/イギリスの社会学者)
ソーシャル・キャピタル=「つながり」に関する関係性
社交ネットワークとコミュニティの共通点=共通の利害や経験、目標、任務を中心に集められた人間の集団。定期的なコミュニケーションと、ある程度の信頼・利他主義を特徴とする絆
コミュニティとは「重心」があり規範を強制する、全員がある程度知り合いの閉じたネットワークである。
社交ネットワークは、一般に「開かれて」いる相互に絡み合った「つながり」

社交ネットワークとコミュニティの基礎
社交ネットワークは、積極的に加入した人がある程度の時間やエネルギー、感情を注ぎあう互恵主義を伴う集団
社交ネットワークでは、自分の時間や資金、エネルギーや感情を他者とのつながりに投資することによって、個別のネットワークを構成する。投資は有形無形の見返りという形で、大きな価値を持つ可能性がある。

「つながり」から生み出される価値
社交ネットワークは、人々が共通の物理的・心理的・社会的目標を達成するためにお互いを必要とする環境で作られる。
給与の高い仕事は個人的な人脈を通じて決まっていく比率が圧倒的に高いという不公平さを解消するためには、影響力のある社交ネットワークを根絶するのではなく、むしろ拡大すること。
組織にとってのソーシャル・キャピタルの価値は、個人が自分のソーシャル・キャピタルを発展させようと努力するなかから生まれてくる。
個人が社交ネットワークやコミュニティから得る恩恵:帰属意識、目的意識、認知、学習、知識
○帰属意識
社交ネットワークは、人々が帰属意識を育むのを助ける。
社交ネットワークのなかでお互いに一体感を感じている人々は、共通の物語や枠組み、反応を培っている。
社交ネットワークに参加することは、協働性・団結性のある行動を支える信頼や理解、相互性といった「つながり」を意味している。
社交ネットワークへの帰属意識は、「本質的な報酬(intrinsic reword)」への道を開く。
−金銭的な成功がある程度達成できれば、人は「欲求の階層」における別のタイプの報酬を得ようと努める。
○実地情報(ground truth)
集団としてのスキルや慣習、知識、用語、エピソードを共有することは、帰属意識を生み出す源泉の一つ。
実地情報とは、一般的な情報や理論上のモデル、公式の発表とは対照的な、真実の経験に伴う複雑な現実。組織学習のうち少なくとも80%は、業務中に非公式な形で実現している。
「正統的・周縁的参加(legitimate peripheral participation)」
○慣行
「言葉にできない慣行」は重要。
○情報の流通
(長期に突出した成功を収める部門は)社外との社交ネットワークの充実度、双方向性、範囲の広さ(を持つことが特徴)
○知識
(企業としての)知識は、社交ネットワークとコミュニティの中にある。
知識は社交ネットワーク内に拡散し、時にはネットワークからネットワークへと拡がっていく。
イントラネット内のサイトや知識データベースをどれだけ巧みに設計しても、人間同士の知的ネットワークの代替には成り得ない。
社交ネットワーク内のコミュニケーションと相互支援のプロセスが確立されはじめると、ネットワーク同士の協力も生じてくる。
○協働
協働を刺激する外的なインセンティブに頼らない自発的な協働の場合、社交ネットワークが協働を育む母体となることが顕著。
社交ネットワーク内で自然に知識の共有が行われるようにするのが、よりよいソリューション。
フリーライダー:非協力的でタダ乗り志向の人々は孤立し、実質的に社交ネットワークのメンバーではなくなる。

相互コミットメントの暗黒面
コミュニティが排他的で孤立し、ひどく特異なものとなり、あるいは極端なケースでは腐敗ないしは破壊的なものになってしまった場合、コミュニティに対する相互のコミットメントという団結力が問題になる。→集団を定義する境界の「透過性」をあげておく。

社交ネットワークとコミュニティに投資する
知識や情報の共有、協働、仕事に伴う満足感といった点で、社交ネットワークは重要な価値を持っている。
社交ネットワークを育む方法の一つは、言うまでもなく、お互いに「つながる」時間と機会を人々に与えること。
○社交ネットワークを支援する−製薬会社アベンティスの例
免疫学に関わる知的共有や助言を与え合う団結力の強い濃密なグループが、ニュージャージーとドイツに存在。この融合が企業利益をもたらすという判断から社交ネットワークに注目。
→(社交ネットワーク分析をもとに)新たなコミュニティの立ち上げに向けて、両グループの主要なメンバーを集めて二日間会議を実施。
○社交ネットワーク分析
社交ネットワーク分析:形式的な組織構造を見越し、社交上のポーズを取り払い、社交ネットワークの基本的な形態と機能を明らかにするもの。
社交ネットワークへの支援は控えめにしておくのが最も効果的。
社交ネットワーク内の人材(役割)
「調整役(coordinator)」「つなぎ役(connector)」
 外向的・友好的で、社交ネットワークどうしのつながりを生み出すことに時間と労
力を費やす。
「橋渡し役(boundary-spanner)」
 性格的に誰が何を知っているのかという情報を社交ネットワーク外部のグループ
(社外のグループであることが多い)に広める。
「達人(maven)」
 社交ネットワークの任務や運営に関する特定の専門能力を磨き、他の者にもそうい
う存在であると認められている。
「伝道者(evangelist)」
 社交ネットワーク内の新たなアイデアや人材、プロセスに関する「よいニュース」
を宣伝し、他の者のあいだに情熱を呼び起こす。
「門番(gatekeeper)」
 社交ネットワークと外部の世界のあいだで、いわば半透膜のような役割を果たし、ネットワークに出入りする情報の流れを制御する。
社交ネットワークを企業メンバーにとって効果的なものとするために、他の者の専門能力を活用するために重要な4つの要素→知識、アクセス、積極的関与、安心感
○コミュニティ分析
「コミュニティは必然的に善であり、できるだけ多くのコミュニティを確認し発展させていけば、組織にとってもプラスになる」という単純な考え方は避けるべき。
「企業は戦略的に重要な能力を見極め、その上でその能力を『保有』しているコミュニティを探すべき」(エティエンヌ・ウェンガー: 知識創造マネジメント理論)
○賢明な投資とは
(クライスラーの事例は、社内に)本質的な知識共有を実行していたコミュニティが存在することを、それが消滅するまで知らずに、機能別の部署をもっと小規模なグループに解体してしまったため、大切な実践のコミュニティが崩壊して、結果として問題が生じた。企業に役立つような形で社交ネットワークの発展を促すために、リーダーが実行する賢明な行動は、
・資金
 あまりにも多くの資金を提供することは、逆に社交ネットワークを歪める恐れがある。
・空間
 社交ネットワークが成長し、結合し、拡大していくためには、(物理的な、時にはサイバースペースや認知上の)適切な空間が必要
・認知
 わずかな認知が得られるだけでも、士気が向上し、社交ネットワーク活動に正統性が与えられる可能性がある。

自発的なネットワークを奨励する
ソーシャル・キャピタルは、学習や知識交換、協働、帰属意識、コミットメント、インセンティブという価値をもたらす社交ネットワークやコミュニティのなかに息づいている。
社交ネットワークは知識の創出・管理、社会的規範の強制、コミットメントの促進、より民主的な労働環境の創出という点で非常に協力である。
コミュニティや協力を強制するよりも、既存の有機的構造を育て自発的つながりを奨励することの方が重要である。
「コミュニティとして最も成功するのは、企業としての取り組みが始まる以前から非公式に存在したグループに基礎を置き、その主題に対する共通の情熱をよって引き寄せられたメンバーから成り立つコミュニティだ」

コメント(8)

ドクターコースゼミ資料(こたつねこさん担当)を公開いただきまして、ああ、こういうmixiの使い方があるのだなあと感激いたしました次第です。
 本日ゼミでの発表よろしくお願いいたします。

コミュニティー・ネットワーク・帰属の問題・・、従来、社会学や社会人類学であつかってきた問題設定と議論ですが、企業論のなかで出てきたところ、アメリカ企業の現状が背景にあるところがいいですね。詳しくは授業で。
7月は岡田ドクターゼミが行えないようです。(こたつさん日程調整つかなかったのですね)

かわりにそちらでしていただけるようで、ありがたいことです。ぴのこ先生、何卒よろしくお願い申し上げます。
> 7月は岡田ドクターゼミが行えないようです。

えぇ〜、そうなんですか〜?
東京電機大学で出講させて頂く機会があって、週末は東京の予定ですが24日(月)には大学院ひよこドクターゼミを予定していました。
神頭さんはインドネシアの現地調査に立たれているはずなのでお休みと伺っていますが、古賀さんはゼミのつもりでいらっしゃるのではないかと..。
準備不十分ではございますが、嫁さんの次に大切なゼミです。もしも予定ができそうなら、よろしくお願い致します。
ぴのこ先生、感激だなんてもったいない。
こうやっていると、「知識の共有」ができますよね。いろんな意見が聞けるチャンスにもなりますし。

この本、「企業」の部分を「組織」や「地域」と読み替えることができるのが、全編通じてとても印象的でした。組織論の場合、その組織をファンクションに分類して議論を始めることが多いようですが、根底にあるプラットホームの部分は共通。そして昨今、情報通信技術によるネットワークの活性化により、この基盤部分についての環境の変化(変革)が潮流として出てきているわけで、そのおいしいところを上手に掴んだ内容であるように感じました。
本日もどうぞよろしくお願い致します。
こたつさん、お忘れのようですね。
予定していた24日午後、クトちゃんの生活審議会が入ってしまったので、先月のドクターゼミでこたつさんに日程調節をお願いしていましたよ。

わたくしもこれから月末まではすでにびっちり予定入っているのでもう時間切れです。

この場をお借りして、ぴのこ先生、こたつさん、こっきさん、月末の原稿〆切、なにとぞよろしく。
こっきさん、誇りをもって伝統を守っている契約講の方々への応援歌になるような論文をお願いします。

わたくしは今日中に2つ目の「聖域と水」を書き上げて「人社プロ縁網」にアップします。第一章の原稿(こっきちゃんの枕)はすでにそこに上げましたので、読んでおいてください。北上から帰ったら、こたつさんの巻の分を仕上げます。
お忘れのようです..(^^;;;;
大変申し訳ありません。
週明けには、第4章第一節をコミュにアップ致します。
ご指導よろしくお願い致します..m(_ _)m
ぴのこ先生、ご指導頂き大変ありがとうございました。
あっという間の最終ゼミ..というのが実感ですが、またいろいろ行き詰まると思いますので、その際は奈落から引っ張り上げてくださいね〜。
心から感謝申し上げます。
三人がそれぞれ現在の問題点を持ち寄れたゼミではなかったかと思っております。
 毎回、あっと言う間でしたね。

こっきさんは明日から北上川へ、yoshiさんは一ヶ月の長丁場のインドネシア・ロンボク島へ。
 気をつけて実り多いFWを。
こたつねこさんは、SNSの世界は、毎日毎日が現場で事件が更新中ですね。

夏があけて、必要とあらば、追加ゼミもまた計画しましょう。

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