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人権問題コミュの野中広務「戦争絶対反対です。」

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ふらっと人権情報ネットワークより転載です。

改憲論議が一部で高まっている。「自分の国は自分たちで守るべきだ」「世界平和に貢献するためにも軍隊は必要だ」という主張に対し、「どんな形であれ、戦争に関わってはいけない」という声は「現実的じゃない」と否定され、かき消されがちだ。そんななか、元衆議院議員であり、自民党幹事長も務めた野中広務さん(80歳)は一貫して「反戦」を主張している。その背景にある思いとは――。

―――1925年(大正14年)生まれの野中さんは、かつて軍国少年だったそうですね。

 そうです。国家のため、天皇陛下のために戦争へ行き、見事な戦死を遂げるのが男子の本懐だと教え込まれ、自分でもそう思い込んでいました。旧制中学4年の時には航空学校にも志願したんですよ。跡取りだったので親に大反対されて、泣く泣くあきらめましたが。召集令状がきたのは1945年1月。入隊する時は「靖国(神社)で会おう」と仲間と言い合いました。

―――敗戦が決まった時、どんな気持ちでしたか?

 それはもう、すごい衝撃ですよ。カーッとして「死のう、死のう」と仲間たちと自決しようとしました。そしたら大西という少尉が「ばかやろう! 死ぬ勇気があるなら郷里に帰れ。できるなら国を誤らせた東条英機を殺して、日本の再興のためにがんばれ!」とぶん殴って止めてくれたんです。
 駐屯先の四国から岡山、神戸、大阪と焼けた町を見ながら京都まで帰り着きました。すると、京都の駅前に昼だというのに何百人という人がザーッと寝ている。戦災を受けていない京都の町に浮浪者がワッといるんです。その様子に異常を感じ、「ひょっとしたらこの国は革命が起きるかもしれない」と思いました。ちょっと血の気が多かったのかね(笑)。素直に家に帰れば元の生活に戻るしかない。いっそ行方不明になって、籍のない人間として生きていくほうが面白いかなと思い、一週間あまり友人の家を泊まり歩きました。ぼくと一緒に高知へ行った友人の家では、お母さんが「うちの息子はまだ帰ってきません。元気でしたか」と訊かれました。「元気でしたよ。もうすぐ帰ってきます」と言うと、ぼくにすがりつき、涙を流して喜ぶんですよ。「元気だとわかっただけでうれしい」と。それで「ああ、うちのおふくろも俺が帰ったらこんなに喜ぶのかな」と里心が出て、帰ることにしました。そしたら当のおふくろにものすごい怒られた(笑)。「あんたを京都市内で見たという人がいる。何をしとったんじゃ!」と。
 そうこうしている間に、大西少尉に言われたとおり、東条英機を暗殺しようと東京へ行った連中がいました。ぼくにも手紙をくれていましたが、親父が握りつぶしてしまった。作戦は失敗し、死んだ仲間もいます。彼に対して申し訳ないという気持ちで、どれほど親父を恨んだかわかりません。あれからずっと、ぼくは大きな荷物を背負ってます。

―――もし戦死されていたら、靖国神社で東条英機と「会って」いたかもしれませんね。

 ケンカしてるでしょう。「なんという戦争をしてくれたんだ、なんでおまえが祀られているんだ」と。

―――国会議員在職中から、野中さんは「戦争反対」を表明し、イラク特措法の採決も棄権されました。靖国神社参拝問題やイラクの自衛隊派遣、憲法改正問題など、最近の風潮に危機感を感じておられますか?

 靖国神社を日本人のよりどころのように言う人がいますが、あれは明治時代に国家がつくり、戦後に宗教法人になったわけです。
 今の靖国神社には先の戦争に対する反省はまったくありません。資料館を見ても、まるで戦争に勝った国の資料館のようで、見るのも嫌です。
 当初、A級戦犯を祀らなかったのには理由があります。サンフランシスコ平和条約第11条で、極東裁判を正当な裁判として認めたからこそ、日本の独立があったんです。それを今になって「一方的な裁判だった」「過去のことだ」と言っても通用しません。

―――中国や韓国からの反発が高まるなか、戦後60年を迎えた今年の夏は過去最高の20万人が8月15日に靖国へ参拝しました。特に若い人が増えているようです。

 メディアが、歴史そっちのけで「参拝するか、しないか」という部分だけを取り上げるから、妙な形で注目されてしまった。物事を単純化して、中身をよく吟味しないまま二者択一しようとする今の風潮は大変危険だと思います。
 若い人には本当の愛国心、国を誇る気持ちを持ってほしい。

―――本当の愛国心とは何でしょう?

 日本人は、何の道具もない時代から山に道をつけて木を植え、“日本の山”をつくってきました。川には井堰をつくり、川下にはため池をつくってみんなで水を分けた。梅雨の時期に田植えをすることによって水を蓄え、災害が都市に及ばないようにもした。そして何百年と同じ場所に植えても土地が痩せない「米」という作物を民族の主食にしてきました。春には豊作を祈る祭、秋には豊作を感謝する鎮守の祭をし、そこから日本の伝統芸能が発展しました。謙虚な気持ちで自然とともに生きてきた民族なんです。
 ところがプロパンガスができると薪を使わなくなり、山に価値を与えないようになってしまいました。さらにアメリカの要求で建築基準法が変えられ、外材がどんどん入ってくる。外材について松くい虫も入り、さらに山は荒れました。そういうなかで、いち早くカネになるものをと針葉樹政策をとった。確かに杉や檜の成長は早い。しかしこれらの木はしっかりと根をはりませんから、雨が降るとすぐに地盤がゆるみます。しかも山を手入れしないから落ち葉や枯れ枝はたまり放題。それらが積もり積もって、大雨が降ると一気に土石流となって大きな災害を引き起こすようになりました。
 これはひとつの例です。山や川、田んぼなどを通じて都会にさまざまなものを供給してきた地方は、単なる「田舎」ではなく、民族の根幹を支えてきたんです。しかし「規制緩和」の美名のもと、ことごとくつぶしてしまった。規制緩和は必要です。しかし一部の業者だけが得をするようではいけない。
 規制緩和によって地方にもコンビニやスーパーができました。確かに便利ですが、採算がとれないとなったらサッサと出て行く。しかしいったん“シャッター街”になった商店街はもう元には戻りません。時間をかけて地域で培ってきたものを簡単に壊してしまう。弱者に対する目線というものが本当になくなってしまったと感じています。若い人たちには、目先の便利やかっこよさだけでなく、日本という国の風土や文化をよく知ってほしい。そしてその独自性を誇りにしてほしい。本当の愛国心とはそういうものだとわたしは思います。

―――そうした地方の痛みは、なかなか都市には伝わりませんね。

 地方が痛めば、結局は都市も痛みます。流した汗が報われる社会の尊さを忘れて、マネーゲームで世の中が動くということです。年金制度が崩れ、社会保険がつぶされていく。医療や介護の負担が重くなっていく。そういうなかでフリーターが増えてきて、フリーターと正規雇用の人たちとの生涯の所得格差は1億円を超えるようになってきた。こういう状況はいずれいびつな社会状況をつくってしまう。いや、もうつくってしまったと言えるでしょう。

―――フリーターやニートの存在は今、大きな社会問題として関心を集めています。「甘えている」「怠け者」と個人の問題とする見方や、「戦後教育が悪かった」という指摘があります。

 戦後教育の問題ではありません。日本の金融資本の崩壊から外資が入ってきて、中小企業を始めとする関連企業をつぶした。大企業は人件費を抑えるためにリストラや早期退職を進め、派遣やパート社員を使うようになりました。今、景気はよくなったと言われていますが、数字上のまやかしです。倒産、リストラ、給与とボーナスのカットで、多くの国民の心は豊かにはなっていません。そういうなかで、「生き残った会社の収支」だけがよくなり、法人税が伸びたということです。
 フリーターが増えたのは企業が正規雇用をしなくなったことが大きな原因です。フリーターは失業者数にカウントされませんが、いつ仕事がなくなるかわからないという点では失業予備軍であり、潜在的な失業者数は大変な数になります。
 そのうえ、ここ数年、年間3万5千人前後の自殺者が出ている。1日に100人もの人が自ら命を絶っているわけです。心の病も増えているでしょう。「改革」が進んでいるような印象をもっている人が多いかもしれませんが、この4年で国家の屋台骨がつぶされたような気がします。

―――戦後教育の検証を含め、学校教育の見直し論議も盛んです。「平和」という視点で教育をとらえる時、何が必要だと思われますか?

 従軍慰安婦問題が教科書から消えたといって喜んでいる人がいます。全員が強制連行ではないかもしれない。さまざまな事情を抱えていたでしょう。けれど軍の施設のなかに慰安所があったのは事実なんです。戸口にムシロ一枚を吊ってあるだけの部屋が並んでいたそうです。それぞれの部屋の前には、50〜60人の男性が褌ひとつでズラーッと列をなしていた。死んだようになっている女性に、明日の命も知れない兵隊が狂ったように向かっていったと、ぼくらは戦地から帰ってきた連中から自慢話のように聞かされました。決して懺悔の姿勢ではなかった。
 これは金を払ったかどうかという次元の話ではありません。女性の、人間としての尊厳をいかに傷つけたか。これを真摯に受け止めなければいけない。新幹線のなかで「俺は(従軍慰安婦に)金を払ったんだよ」と大声をはりあげている国会議員がいました。そんなことをいろいろ見聞きして、同じ日本人として、男として、嫌になったことがあります。

―――教科書問題や靖国参拝問題で、中国や韓国の反日感情が高まっています。激しい反日運動をテレビで見ると、つい感情的に反発したくなります。侵略の歴史をもつ中国や韓国と友好的な関係を築くためにはどうすればいいと思われますか?

 今、北朝鮮や韓国、中国に対して厳しい態度をとれば多くの人が拍手喝采をするという風潮があります。それはあまりにも歴史を知らないと思う。特に今の若い人は、縄文時代は勉強させられても、近代史や現代史はろくに学ばないまま学校を卒業してしまう。「日本はアメリカと戦争したんですか」と言う人もいます。
 中国に対するODA(政府開発援助)が多過ぎるという意見がありますが、日清戦争で勝った時、日本が膨大な戦争賠償金を中国からとったことを知っている人がどれだけいるのか。日本が負けた時、国民党の蒋介石総統は「恨みをもって報いず、徳をもってせよ」と中国の国民に呼びかけました。33年前に日中国交正常化が行われた時、当時の周恩来首相も同じ言葉を述べ、「今もその気持ちは変わりません。だから戦争の賠償は要求しない」と言われたんです。目先のことばかりに気をとられず、歴史を知り、広い視野をもって考えてほしい。
 歴史というのは、砂の上に字を書いて足で消せるようなものじゃない。先日、チチハルで、日本軍が遺棄した化学兵器が腐食して、こぼれた毒液に触れて傷ついた人が3名、ぼくを訪ねてきました。12歳の少女もいて、胸や足に黒い土をひっつけたような傷になっている。視力も落ちたそうです。さらに、周囲の人が「うつる」と言い出して、彼らを差別するようになってきたらしい。「もう耐えられない」と話すのを聞いて、なんという大きな犯罪を残してきたのかと痛恨の思いでした。こういう事実を国全体で共有しなければいけない。

 子どもの頃、ぼくの家には朝鮮人の“子守りさん”がいました。その人たちと一緒に寝起きして、弟たちは子守りしてもらって育った。それから戦時中は、ぼくの家の近所に造兵廠という兵器を作る工場が疎開してきたんですが、働いていたのはほとんど朝鮮から来た人たちでした。この人たちが鞭で打たれて血みどろになっている姿をぼくは見ていました。隣町のマンガン鉱も同じような状況だった。朝鮮の人たちは非常に冷酷な扱いを受けていたんです。それを見てきたから、ぼくにとっては北も南も関係ないんです。

―――中国や朝鮮の人たちに対して日本人が何をしてきたか。ご自身で見聞きしてこられた野中さんとは違い、多くの人は伝聞での知識しかありません。戦争を知らない親が、戦争や平和について子どもに教えるのは難しいです。

 やっぱりぼくは昭和史をきちっと正確に見てほしいと思います。本当は明治まで遡ってほしいけど、せめて昭和史だけでも。日本がわずか20年ほどの間にどんな誤りをしたのか。そしてその後の60年、いったいどんな努力をしてきたのか。
 戦争に負けて国中が焼け野原になった5年後に朝鮮戦争が起きました。これも朝鮮のなかで起きた事件なのか、アメリカが仕掛けた事件なのかはわかりません。とにかく日本は米軍の兵站基地になり、軍需景気で日本の経済が潤った。朝鮮戦争がなければ、日本はあれほどの経済復興はなし得なかったでしょう。しかしそれと引き換えに警察予備隊、後々の自衛隊がつくられることになったわけです。ぼくは、朝鮮戦争が起きていなかったら、日本はもっと謙虚な道を歩むことができたと思いますね。
 今、日本はイラクに自衛隊を派遣しています。今のところ“犠牲者”は出ていませんが、今後のことはわかりません。本当に危ないことがわかれば、自衛隊への志願者は減ります。いずれは徴兵制が議論される時がくるでしょう。庶民が戦争へ行かなければならない流れになってきますよ。ぼくはそれが一番怖い。
 軍隊をもつ国は、経費のかかる正規の軍隊を多くもちたくないから、民間の“下請け”に任せています。彼らのなかにも犠牲者が出ているのに、その数は発表されません。現地の人が多いからです。貧しい人が“戦争下請け人”となり、誰にも知られずに死んでいる。こんな現実もあるんです。 
 日本は広島・長崎で原爆の洗礼を受けた民族として、世界に向けて核被爆宣言をやれる特権をもっています。しかしそれをやらないで、防衛の名のもとに軍備を増強しようとしている。このままいけば、憲法を変え、自衛隊が自衛軍に、防衛庁が防衛省になり、やがてかつて我々がたどってきた道を再びたどることになるでしょう。
 過ちを繰り返さないためには、メディアや派手なパフォーマンスに踊らされないこと。そして戦争の悲惨な現実を知ったうえでさまざまな判断をしてほしいと思います。

http://www.jinken.ne.jp/special/nonaka/index.html

コメント(3)

 かつて野中の教えを受けた者です。トピ主様、いい記事をご紹介いただきましてありがとうございます。
 心から御礼申し上げます。
                         拝

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