荘子コミュの８、堯(ぎょう)と舜(しゅん)

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８、堯(ぎょう)と舜(しゅん)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
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故昔者　　　　　　　　　故に昔、
堯問於舜曰　　　　　　　堯(ぎょう)は舜(しゅん)に問いて曰く、
我欲伐宗膾胥敖　　　　　「我は宗(そう)膾(かい)胥(しょ)の敖(ごう)を伐(う)たんと欲す。
南面而不釈然　　　　　　南面して釈然たらず。
其故何也　　　　　　　　その故何ぞや。」
舜曰　夫三子者　　　　　舜曰く、「かの三子は、
猶存乎蓬艾之間　　　　　猶(ゆう)に蓬艾(ほうがい)の間に存す。
若不釈然何哉　　　　　　なんじ釈然たらざるは何ぞや。
昔者十日並出万物皆照　　昔、十日並び出でて万物皆照らされる。
而況徳之進乎日者乎　　　而るをいわんや徳の日よりも進める者をや。」
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▽（金谷治　訳）
……………………………………………………………………………………………………………
さて、むかし聖天子の堯（ぎょう）が舜（しゅん）に問いかけていった、「わしは崇(すう)と鄶(かい)と骨胥(こつごう)とを討伐したいと思っているが、天子の位について政治を行いながらどうしても気分が晴れない。それはなぜだろうか。」舜が答えた、「あの三国の君主たちは、もとのまま雑草の生える未開の地に住んでいます。貴方さまが〔そのために〕ご気分がすぐれずとは、どうしたことでしょうか。むかし、十個の太陽が一しょに現れて、万物がすべて残りなく照らし出されました。まして、太陽よりもすぐれた徳をお持ちの方なら、なおさらのこと〔討伐などに心を使わずとも自然に〕万物を帰属させられましょう。」
……………………………………………………………………………………………………………

▽（岸陽子　訳）
……………………………………………………………………………………………………………
ある時、堯（ぎょう）は舜（しゅん）に相談した。
「わたしは、宗(そう)・膾(かい)・胥敖(しょごう)の三国を征討したい。なぜか知れぬが、即位してこのかた、この三国が気に障ってしかたがないのだ」
舜が答えた。
「あの三国は、たしかに未開の蛮族です。しかし、われわれと風俗習慣を異にするからといって、どうしてかれらに疳（かん）を立てる必要があるのでしょう。かれらはかられなりに、現状に満足して暮らしているのではありませんか。昔、十個の太陽が天に現れた時は、その光に浴さぬものとてなかったと聞いていますが、万物をあるがままに所を得させる徳の偉大さは、その太陽を足許にも寄せつけぬほどなのです」
……………………………………………………………………………………………………………

▽（吹黄　訳）
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ゆえに、昔のこんな話がある。
堯(ぎょう)は舜(しゅん)に尋ねて言った。
「私は宗(そう)膾(かい)胥(しょ)の勝手気ままな所を根こそぎ伐採して教化したいと思ってしまう。天子の位についてから、どうにも釈然としないからなのだが、
これはいったいどうしたわけだろうか。」
舜は言った。「あの三者たちは、
(勝手気ままではなく)のびのびと自由に、よもぎ(雑草の一種)を伸びるにまかせているものの、(もぐさにするために、新芽だけを)刈り取っているような、そんな間(はざま)にいるだけです。
貴方が、それで釈然としないというのは、どうしたことでしょう。
以前、十個の太陽が並んで現れ、万物がみな照りつけられたということ（災難）がありましたが、ましてや、太陽よりずばぬけている徳が（過剰に）そうしたらどうなるでしょう。」
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コメント(25)

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[3] mixiユーザー 11月25日 02:12

┏━━━━━━━━┓　　　
┃▼　故昔者　　　┃【ゆえに、昔、】
┃　　堯問於舜曰　┃【堯(ぎょう)は舜(しゅん)に問いて曰く、】
┗━━━━━━━━┛
ゆえに、昔のこんな話がある。
堯は舜に尋ねて言った。
……………………………………………………………………………………………………………

◆【故昔者】は、通説では「さて、むかし」と、【故】という字が使われていても、前の文
　とのつながりがないと判断して、さらりと流しています。

◇しかし、この冒頭の【故】が使われている理由があるように思い、「ゆえに、昔のこんな
　話がある」としましたが、その理由は全文を訳した後から述べます。

＊【堯】は「背にたかく物をかついだ人の姿」⇒のち「土三つ＋人のからだ」で、
　「背のたかい人」「崇高な巨人」の意を含んでいます。（「たかい巨人」の英雄の名。）

■【堯】は、中国古代の伝説上の帝王（君主）、聖天子と言われた者です。姓は「伊祁
　（いき）」、名は「放勲（ほうくん）」。別姓は「陶唐氏（とうとうし）」と称します。

＊「伊」は、「人＋尹（天地阝の間を調和するさま）」で、「万事を調和する人物」の意。
＊「祁」は、「邑（むら）＋示（神霊の降下してくる祭壇）」で、「大きい」「盛んなさ
　ま」「ゆったりして充実しているさま」の意。

＊「放」は、「攴（動詞の記号）＋方（両側に柄の伸びたすき）」で、「緊張や束縛を解
　いて、上下左右に自由に伸ばすこと」の意。
＊「勲（勳）」は、「力＋熏（よいにおい）」で、「かぐわしい努力の実り」などの意。

＊「陶」は、「「粘土をわくに入れて、まんべんなくこねること」の意。
＊「唐」は、「口＋庚（ぴんとはる）」で「口を張って大言すること」の意。
　「大きな国」の意を含んでいます。

◇伝説（神話）の中の登場人物の名前には、固有名詞になる前の意味が込められているよ
　うです。堯は「人の中の土の性質」でもって天下を治め、国をどっしりと固めて大きく
　していくニュアンスが漂ってくるようです。

＊【舜】は「炎（揺れ動くほのお）＋匸印＋舛（交互に足がすばやく動く）」で、「すば
　やい動作」。急に咲いてはやく散る華やかな「むくげ」の意もあります。
　（動作が機敏な華やかな英雄の名。）

■【舜】は、50歳で【堯】の摂政となりました。【堯】が亡くなったのち、その子に位を
　譲ろうとしましたが、人心が【舜】に帰したので、ついに61歳で帝位につきました。
　姓は「姚(よう)」、名は「重華(ちょうか)」。別姓は「有虞氏(ゆうぐし)」と称します。

＊「姚」は、「女＋兆（さっとはねる）」で、「細く身軽であるさま」「スマートで美し
　いさま」。

＊「重」は、「人が土の上に立ったさま＋東（心棒がつきぬけたさま）」。
＊「華」は、「はな」「はなやか」の意。「むくげ」とも関係がありそうです。
　「土の上に立った花」とすれば、ちょっと意味深ですね。

＊「虞」は「虍（とら）＋呉」で「虎のように俊敏な動物」の意。
　⇒「あらかじめ心を配る」「先のことへの考慮」などの意を含んでいます。
　土地の名前ともされています。

◇「舜」は「人の中の火の性質」を中心にもって天下を治め、国造りのために俊敏で
　華麗に立ち回るニュアンスが漂ってくるように思います。

◆堯舜伝説は春秋時代末には既に形作られていたようです。
　両者ともに儒家により神聖視され、実在した聖人と崇められる人物とされました。

◇伝説（神話）と史実とでは受け止め方が違ってきます。
　後から出てくる「十日」の話が出てくることからしても、荘子は堯舜のことを史実
　ではなく意味をこめた伝説として見ていると思われます。

[6] mixiユーザー 11月28日 01:36

●通説では、次のようになっています。

さて、むかし聖天子の堯が舜に問いかけていった、

〇新解釈では、次のようになります。

ゆえに、昔のこんな話がある。堯は舜に尋ねて言った。

【故昔者】【ゆえに、昔、】
【堯問於舜曰】【堯(ぎょう)は舜(しゅん)に問いて曰く、】
〔ゆえに、昔のこんな話がある。
堯は舜に尋ねて言った。〕

──昔の話、古代中国の神話伝説時代には、三皇五帝といった優れた八人の帝王がいたとされています。三皇と五帝に分かれ（誰が該当するかについては諸説ありますが）、三皇は神、五帝は聖人としての性格を持つとされ、理想の君主とされました。

五帝はそれぞれ次のように推測されています。
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伏羲─神農─太昊─炎帝─黄帝─少昊─顓頊─嚳─堯─舜─禹─湯　　（出典）
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1黄帝─2顓頊─3嚳─4堯─5舜──────『大載礼記』・『史記』
……………………………………………………………………………………………………………
1伏羲─2神農─3黄帝─4堯─5舜 ─────『戦国策』・『易経』
……………………………………………………………………………………………………………
1太昊─2炎帝─3黄帝─4少昊 ─5顓頊 ───『礼記』・『淮南子』
……………………………………………………………………………………………………………
1少昊─2顓頊─3嚳─4堯─5舜──────『世経』
……………………………………………………………………………………………………………
1嚳─2堯─3舜─4禹─5湯 ────────『三統経』
……………………………………………………………………………………………………………
1黄帝─2少昊─3顓頊─4嚳─5堯 ─────『資治通鑑外記』
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（ウィキペディアより）

よって、堯と舜の話も、諸説あるようです。

ここでは、位の高い堯の方が、舜に尋ねているところから、堯の舜に対する信頼性がうかがえます。

[7] mixiユーザー 12月02日 21:52

┏━━━━━━━━━━┓　　
┃▼　我欲伐宗膾胥敖　┃【「我は宗(そう)膾(かい)胥(しょ)の敖(ごう)を伐(う)たんと
┗━━━━━━━━━━┛　欲す。】
「私は宗・膾・胥の勝手気ままな所を根こそぎ伐採して教化したいと思ってしまう。
…………………………………………………………………………………………………………

＊【宗】は「宀（やね）＋示（祭壇／天から下った三本線が顕れる所）」で、
　「祭壇を設けたみたまや」転じて「一族の集団」の意。
　⇒「中心・主」「むね」などの他、「開祖の思想」。

＊【膾】は「肉＋會（あわせる印＋増の略体）」で、「あわせ増やす」の意ですが、
　一般的には「細く切り、とりあわせた（味付けした）肉」を指します。

＊【胥】は「肉＋疋（左右の足の膝より下）」で、「相並び左右対称に動く足」。
　「相並ぶ」⇒「同僚が並んでたむろしている下級役人」の意もあります。

＊【敖】は「出＋放」で、「解放されて思う存分に出歩くこと」を示します。
　「伸び伸びと大声を出すこと」「相手かまわず自由にふるまう」意を含みます。

◆【宗膾胥敖】は、【宗(そう)】【膾(かい)】【胥敖(しょごう)】とされていますが、
　通説では、「崇（すう）」「鄶（かい）」「骨敖（こつごう）」として、
　「地方（国）の名」と解釈されているようです。

◇三子とは、伝説の中でのある地方（部族）を指しているのかもしれませんが、
　【胥敖】は一塊の言葉ではなく、【胥】と【敖】に分けてとらえることができ、
　【敖】の字に、「勝手きままにしている」という意味がくみ取れそうです。

＊【伐】は「人＋戈（ほこ）」で、「人が刃物で切り開くこと」です。
　「切り開く（伐採して開拓する）」「武器で敵を打ち破る」という意味の他、
　「開放して見せる」という意も含みます。

◆通説では【欲伐】は、「討伐したいと思っている」としています。

◇【伐】は「切り開く（伐採して開拓する）」意味や「解放して見せる」意味があるため、
　普通考えられている「武器で敵を打ち破る」というよりも深い意味が含まれているのでは
　ないかと思います。【堯】が【伐(き)りたい】と思っている対象は「地方(部族)そのも
　の」ではなく、彼らの中の「勝手気ままな所」に対してのみだと思います。別の言い方に
　すると、帝（君主）たる【堯】は、三子の発展を望むが故に、そのために気になる「勝手
　気ままな（心が未熟に思える）所」をなんとかしたいという思いが強くなってきたのでは
　ないかと想像します。ですから【我欲伐宗膾胥敖】とは、「地方(部族)を討伐（軍隊を送
　り、抵抗する者を討ち滅ぼすこと）を欲する」と言っているのではなく、部族の「勝手気
　まな所を根こそぎ伐採して切り落とし、未発達な心が開拓された状態になるように教化し
　たいと欲してしまう」と言っているのではないでしょうか。

◇よって【我欲伐宗膾胥敖】は、「私は宗・膾・胥の勝手気ままな所を根こそぎ伐採して教
　化したいと思ってしまう」と訳しました。

[8] mixiユーザー 12月06日 00:28

●通説では、次のようになっています。

「わしは崇（すう）と鄶（かい）と骨敖（こつごう）とを討伐したいとおもっているが、

〇新解釈では、次のようになります。

「私は宗・膾・胥の勝手気ままな所を根こそぎ伐採して教化したいと思ってしまう。

【我欲伐宗膾胥敖】【「我は宗(そう)膾(かい)胥(しょ)の敖(ごう)を伐(う)たんと欲す。】
〔「私は宗・膾・胥の勝手気ままな所を根こそぎ伐採して教化したいと思ってしまう。〕

──「天子（帝王）」という立場に立つ者は、「国を一つに取りまとめる」という役目を担っています。熱意をもってその役に徹し、全体を統一したものにしようと図ろうとすれば、他人も、まるで自分の一部のようにして管理しようとするかもしれませんね。そんな時、心の状態が「（子供のように）勝手きまま」に思えるような三子を目の当たりにしたならば、そこを「刈り取り、（立派な大人になるようにと）正しいと思う方向に導きたくなる」のかもしれませんね。

堯にとって「勝手気まま」というのは、言ってみれば人間の心に生える「雑草」のような存在で、人間として有益だと思える心の草木を伸ばすためには、無益だと思えるものは徹底的に「根こそぎ伐採してしまいたい」という欲求が湧き起こってしまうと言っているようです。
パイオニア精神というか、「(未開地の)開拓をしたい」と思ってしまうと言っているのでしょう。

よって、「（心の未開地とも言えるような）勝手気ままな状態を伐（き）りたい」とは、「教化したい」ということで、つまり三子を「徳をもって正しく（善に）導きたい」という欲求が起きてしまうと言っているのではないかと思います。

[9] mixiユーザー 12月09日 07:58

僕もさらに小学生レベルに意訳してみま～す。

昔中国の王さまが家来にたずねた。
「野蛮な生活をしている３つの国がある。気がかりなので、攻め込んで私のものにしてしまおうと思っているのだが、他の国ならすぐ攻め込めたのに、あの3つの国に攻め込むのはどうも気がのらんのだ、、なぜだろう？」
家臣が答えた。
「かれらは蛮族であるので、自然の法則にのっとり生きています。ようするに心に従って生きているのです。あなたは偉大な方です。あなたの太陽のような心は彼らの汚れのない心を滅ぼすことを良しとしていないのでしょう。その心に従い彼らのことは気にせずどーんと構えておればよろしい。太陽は強く光ればすべてを照らしてくれます。草花が太陽に向かって伸びるように、あなたがそのようにあれば、彼らも自ずとあなたに従うようになりましょう。」

さてここでも10個の太陽などという太陽が複数ある記述が見受けられますね。
これは決して比喩ではないということを付け加えて置かなければなりません。

[10] mixiユーザー 12月09日 16:31

>>[9]

コメントありがとうございます。

単純な短いお話なので、意訳した方がいいのではないかと思われたのかもしれませんが、
実は、隠された伏線のある話だと受け取れるため、一言一句、直訳したいと思います。
堯や舜の名前でさえ、聖人の代表とされる人物であるため、省略できないと思っています。

＞さてここでも10個の太陽などという太陽が複数ある記述が見受けられますね。
＞これは決して比喩ではないということを付け加えて置かなければなりません。

「十日」の話がなぜ出てきたのかまた後で詳しく説明したいと思います。
「比喩ではない」とは、「史実（事実）」だということでしょうか？
「十日」は「史実（事実）」としてはあり得ない話ですよね。
「伝説」や「神話」の話となると、むしろ「比喩に近い」と言えるのではないでしょうか？

[11] mixiユーザー 12月09日 18:59

>>[10]
前後関係なく文書の中から自分が読み取ったエッセンスを小学生向けに適当意訳しただけなので、あまり気にしないでくださいね。吹黄さんの訳のとこのから「どーんと」のところは堯のイメージ、後草がでてきたので草をつかって意訳しました。

割と太陽が複数とか強く光り輝く星だとか、そういった内容は同年代も含め中国以外も含めて古い書物には多く見受けられます。この場合普通ただしっかり照らすだけであれば意訳で使いましたが強く輝いた時、などの喩えでよいはずですし、太陽はただひとつのものとしての認識があるため、あえて複数とした理由があると思っているのと、その理由については、僕は一定の見解を持っています。
その辺りはめちゃ昔に読んだのでうるおぼえですが、マルコムゴドウィンの天使の世界にいろいろ例が羅列してあったように思います。

[12] mixiユーザー 12月10日 00:05

>>[11]

「十日」の話は、次のような中国神話に基づいていると思います。

天帝である帝夋（嚳）には羲和という妻がおり、その間に太陽となる10人の息子（火烏）を産んだ。この10の太陽は交代で1日に1人ずつ地上を照らす役目を負っていた。ところが帝堯の時代に、10の太陽がいっぺんに現れるようになった。

この話の続きは、また後で紹介します。

＞あえて複数とした理由があると思っているのと、その理由については、僕は一定の見解を持っています。

どのような見解なのでしょうか。よろしければ、うかがいたいです。

[13] mixiユーザー 12月10日 19:38

ちょっと質問です。この十日ってのの帝堯は今回の本題に出てくる堯のことですか？

あと火烏ってのは日本でのカラスと同じ意味でとってよいですか？光る鳥的な？

あとだいたいの推測でいいので、年代はわかりますか？

見解の話はめちゃ長くなりそうな上脱線しまくることになりそうなので、時間とってメールでも入れようと思います。

[14] mixiユーザー 12月10日 21:04

>>[13]

＞この十日ってのの帝堯は今回の本題に出てくる堯のことですか？

同じ堯のことだと思います。

＞あと火烏ってのは日本でのカラスと同じ意味でとってよいですか？光る鳥的な？

後で説明しますが、大きな三本足のカラス（八咫烏と同じか？）だとされています。

＞あとだいたいの推測でいいので、年代はわかりますか？

先に説明しましたが、堯舜の伝説は春秋時代（「春秋」紀元前722年～前482年頃）までにそれ以前の太古の伝説としてまとめられたものだとされています。よって、年代は不明で、太古の話としかわかりません。

[16] mixiユーザー 12月11日 21:23

┏━━━━━━━━━┓　　
┃▼　南面而不釈然　┃【南面して釈然たらず、】
┃　　其故何也　　　┃【その故何ぞや。」】
┗━━━━━━━━━┛
天子の位についてから、どうにも釈然としないからなのだが、
これはいったいどうしたわけだろうか。」
……………………………………………………………………………………………………………

＊【南面】は、座席が南向きになるところから、「天子（君主）の位につくこと」。

＊【釈（釋）】は、「釆（ばらばらにわける）＋睪〔目＋幸（刑具）〕で、
　「しこりをばらばらにほぐし、一つずつわけて一本の線に連ねること」です。

◆【南面而不釈然　其故何也】は、通説では、「天子の位について政治を行いながらどうに
　も気分が晴れない。それはなぜなのだろうか。」としています。

◇【南面而不釈然　其故何也】の【不釈然】というのは「気分が晴れない」とだけ言ってい
　るのではないようです。【南面】して（天子の位について）から、三子に対する【伐】の
　衝動（欲求）が起きるという事が、自分自身でも「釈然としない（すっきりと腑に落ちな
　い）でいるからだが」と言っているのでしょう。そのため、【其故何也】（これはいった
　いどうしたわけだろうか）と、その謎を解きたいという純粋な疑問を投げかけたのではな
　いでしょうか。

[17] mixiユーザー 12月12日 12:35

いろいろありがとうございます。
だいたいイメージ通りです。
もう少し理解を深めるために、追加の投稿お待ちして読み込みますね。

[18] mixiユーザー 12月15日 22:14

●通説では、次のようになっています。

天子の位について政治を行いながらどうも気分が晴れない。
それはなぜなのだろうか。」

〇新解釈では、次のようになります。

天子の位についてから、どうにも釈然としないからなのだが、
これはいったいどうしたわけだろうか。」

【南面而不釈然】【南面して釈然たらず、】
〔天子の位についてから、どうにも釈然としないからなのだが、〕

──天子（帝）の位について、天下統一を図りながら大国を築こうとしている堯は、三子の「勝手気ままな所」が存在していると感じると、放っておくことができない性分だったに違いありません。ところが思わず「伐（き）り倒して開拓、教化したい」という欲求が起こってしまうものの実行には至らないというのは、即位してから自分のなかで「どうにも釈然としない（疑念や迷いが晴れず、腑に落ちない）状態になってしまうからなのだ」と言っているようです。

【其故何也】【その故何ぞや。」】
〔これはいったいどうしたわけだろうか。」〕

──「三子の勝手気ままな所を伐(き)り開きたい」とつい思ってしまうの(にできないの)は「どうしたわけだろうか」と、自分の中の「釈然としない」理由を判明したいと言っているのではないでしょうか。つまり堯は「晴れない気分をどうにかしたい（まぎらわせたい）」と言っているのではなく、自分の中にある「疑念や迷いが起こる原因を解きたい」という気持ちの方が強かったがために、信頼のおける舜に「これはいったいどうしたわけだろうか」という質問を投げかけたのではないでしょうか。

[20] mixiユーザー 12月19日 00:56

┏━━━━━━━━━━┓
┃▼　舜曰　夫三子者　┃【舜曰く、「かの三子は、】
┃　　猶存乎蓬艾之間　┃【猶(ゆう)に蓬艾(ほうがい)の間に存す。】
┃　　若不釈然何哉　　┃【なんじ釈然たらざるは何ぞや。】
┗━━━━━━━━━━┛
舜は言った。「あの三者たちは、(勝手気ままではなく)のびのびと自由に、よもぎ(雑草の一種)を伸びるにまかせているものの、(もぐさにするために、新芽だけを)刈り取っているような、そんな間(はざま)にいるだけです。
貴方が、それで釈然としないというのは、どうしたことでしょう。
…………………………………………………………………………………………………………

＊【猶】は「犬＋酋（長くのびる）」で、「のっそりした動物、体をのばす動物」
　⇒「のばす」「のんびりする」の意となり、「なお」の副詞としても使われます。

◆通説では、【猶】の意味は無視しているのか、それとも「もともとのまま」と意訳してい
　るのかよくわかりません。

◇【猶】は副詞や名詞ではなく、動詞の「のんびりする」という意味に受け取りました。
　「（勝手気ままではなく）のびのび自由に（している）」とちょっと意訳しました。

＊【蓬】は「艸＋逢（△型に出あう）」で、「穂が三角形になった草」→「よもぎ」
　を表しますが、「物の乱雑な様子」や「草ぼうぼう状態」なども意味します。

＊【艾】は「艸＋乂（はさみでかりとる）」で、「よもぎ」「もぐさ」の意です。
　動詞としては「草や邪魔物をかりとる」⇒「事がたえる・とぎれる」の他、
　「反乱や賊を平らげて世の中を安らかにする・おさまる」の意もあります。

◆【蓬艾之間】は、通説では、「雑草の生える未開の地」と訳されています。

◇【蓬艾之間】という表現の中の【艾】という字は、おもしろい含みをもっているのではな
　いかと想像します。【伐】の「きる」のは「(雑草のような無益なものは)根こそぎ切る」
　ことを意味しているのに対して、【艾】の「きる」は「（雑草のなかまに思えるような）
　よもぎを(有益な)もぐさにするために、根を残して新芽だけを切る」と言っているよう
　に受け取れます。おまけに【艾】の字には「反乱や賊を平らげて世の中を安らかにする・
　おさまる」という意味も含まれているところにも注目したい思います。

◇【存乎蓬艾之間】は、「よもぎ(雑草の一種)を(根を残して)伸びるにまかせているもの
　の、(もぐさにするために新芽だけを)刈り取っているようなそんな間(はざま)にいる」
　といった生き方をしていると受け取りました。
　そういうやり方で、「世の中を安らかに、おさまるようにしている」とも取れます。

◆【若不釈然何哉】は、通説では「貴方さまが〔そのために〕ご気分すぐれずとは、どう
　したことでしょうか」としています。【釈】を「懌(えき/よろこぶ・しこりが解けてさっ
　ぱりする・心の緊張が解ける)」という字と通用するという説をとって解釈しているもの
　のようです。

◇【釈然】は「気分」の問題ではなく、「釈然とする（疑念や迷いが晴れ、すっきりと腑に
　落ちる）」か否かの問題だと思います。【若不釈然何哉】は、「貴方が、それで釈然とし
　ないというのは、どうしたことでしょう。」とそのまま直訳しました。

[21] mixiユーザー 12月23日 00:11

●通説では、次のようになっています。

舜が答えた、「あの三国の君主たちは、もとのまま雑草の生える未開の地に住んでいます。貴方さまが〔そのために〕ご気分すぐれずとは、どうしたことでしょうか。

〇新解釈では、次のようになります。

舜は言った。「あの三者たちは、(勝手気ままではなく)のびのびと自由に、よもぎ(雑草の一種)を伸びるにまかせているものの、(もぐさにするために、新芽だけを)刈り取っているような、そんな間(はざま)にいるだけです。貴方が、それで釈然としないというのは、どうしたことでしょう。

【舜曰　夫三子者】【舜曰く、「かの三子は、】
【猶存乎蓬艾之間】【猶(ゆう)に蓬艾(ほうがい)の間に存す。】
〔舜は言った。「あの三者たちは、(勝手気ままではなく)のびのびと自由に、よもぎ(雑草の一種)を伸びるにまかせているものの、(もぐさにするために、新芽だけを)刈り取っているような、そんな間(はざま)にいるだけです。〕

──同じ状態を解釈する上で、堯が「勝手気まま」と感じている所は、舜からすれば、「のんびりとのびのびと自由にしている」だけだと、見解の違いを述べています。「勝手気まま」とは「（人間の野蛮な心の中の）未開地に野放しになっている雑草」に喩えることができるかもしれません。堯はその「三子の（心の）未開地を開拓し、教化するために無益な雑草を＜根こそぎ＞伐採したい」と欲してしまう（のにためらいがある）のはなぜなのだろうという疑問を投げかけて、それに答えるように、舜は「三子の（心の）雑草はよもぎのようなもので、＜根を残して＞自然に伸びるに任せているものの、野放しにしているのではなく、必要に応じて有益なもぐさにするために刈り取りを行ってるという、その間（はざま）に生存をしているのだ」という見解を述べています。

【若不釈然何哉】【なんじ釈然たらざるは何ぞや。】
〔貴方が、それで釈然としないというのは、どうしたことでしょう。〕

──舜は、「私から見たら釈然としないところは何もないとように思えますが、貴方（堯）ほどの人が、釈然としないというのは、どうしたことでしょう」と問い返しています。それは「（よもぎの喩えでもってしても）まだ釈然としないでしょうか」それとも「少しは疑問がほぐれたでしょうか」と尋ねているかのようです。

[23] mixiユーザー 12月27日 00:59

┏━━━━━━━━━━━━━┓
┃▼　昔者十日並出万物皆照　┃【昔、十日並び出でて万物皆照らされる。】
┃　　而況徳之進乎日者乎　　┃【而るをいわんや徳の日よりも進める者をや。」】
┗━━━━━━━━━━━━━┛
以前、十個の太陽が並んで現れ、万物がみな照りつけられたということ(災難)がありましたが、ましてや、太陽よりずばぬけている徳が(過剰に)そうしたらどうなるでしょう。」
…………………………………………………………………………………………………………

■【十日並出万物皆照】は、『楚辞』『山海経』『淮南子(『荘子』より後代に編集）』など
　にも残されている古代の神話のようです。詳細は不明ですが、おそらく関係があるだろう
　と思われる『中国の神話』（君島久子／筑摩書房）より、要約すると次のような話です。

　▼堯が帝王の世に、突如、太陽が空に十個並んだ。平原は焼け、人々は洞穴に逃げ込ん
　でも絶えがたいほどの熱さで、動物達もばたばたと死んでいった。堯は困り果てて、天
　帝に助けを求めたところ、弓矢の達人の羿(げい)が地上に遣わされた。羿が太陽めがけ
　て矢を放つと、ねらった火の玉が音もなくくだけ、金色の羽が、火花とともに、ばらばら
　と散ったかと思うと、赤く輝くものがどっと落ちてきた。人々がかけよってみると、それ
　は大きな三本足の烏だった。これが太陽の精だったのだ。ところで、腕に自信のある羿
　は、十個すべての太陽を射落としてしまう勢いだったため、堯は全滅させたなら世の中が
　闇と寒さに包まれるのではないかと心配して、十本の矢のうち一本をそっと抜いておい
　た。そのため九個の太陽を見事に打ち落とした羿であったが、最後の一個の太陽は見逃す
　ことになった。太陽が一つになると、また地上にはみどりの草が芽を出し、人々の頭上に
　安らかな日々がもどってきた。

◆【昔者十日並出万物皆照】は、通説では「むかし、十個の太陽が一緒に現れて、万物が
　すべて残りなく照らし出されました」と、どちらかというといい話と解釈しています。

◇しかし、神話からすると、十個の太陽はいい事ではなく、非常に大事で必要なものでも、
　度が過ぎると大変なことになるという悪い面を注意喚起した逸話なのだと思います。
　「以前、十個の太陽が並んで現れ、万物がみな照りつけられたということがありました」
　と、訳上は大差ないようですが、これは「災難」とみなすところだと思います。

＊【進】は「[しんにょう]＋隹（とり）」で、「鳥が飛ぶように前にすすむこと」。
　「すすむ」⇒「高い地位」「よいほうに移る」「人の前にさし出す」の意。

◆【而況徳之進乎日者乎】は、通説では「太陽よりもすぐれた徳をお持ちの方なら、なおさ
　らのこと〔討伐などに心を使わずとも自然に〕万物を帰属させられましょう。」とかなり
　意訳しています。

◇「貴方は太陽より抜きん出ている徳を持っているではないですか」と持ち上げた上で、
　一方では「十日」をひきあいに出して、「徳」も過剰になるとどうなるか、ご自身で類推
　できるのではないでしょうかといった質問返しのようにして、舜は帝王の堯に進言してい
　るようです。「ましてや、太陽よりずばぬけている徳が(過剰に)そうしたらどうなるでし
　ょう」と訳しました。

[24] mixiユーザー 01月04日 01:02

●通説では、次のようになっています。

むかし、十個の太陽が一緒に現れて、万物がすべて残りなく照らし出されました。まして、太陽よりもすぐれた徳をお持ちの方なら、なおさらのこと〔討伐などに心を使わずとも自然に〕万物を帰属させられましょう。」

〇新解釈では、次のようになります。

以前、十個の太陽が並んで現れ、万物がみな照りつけられたということ(災難)がありましたが、ましてや、太陽よりずばぬけている徳が(過剰に)そうしたらどうなるでしょう。」

【昔者十日並出万物皆照】【昔、十日並び出でて万物皆照らされる。】
【而況徳之進乎日者乎】【而るをいわんや徳の日よりも進める者をや。」】
〔以前、十個の太陽が並んで現れ、万物がみな照りつけられたということ(災難)がありましたが、ましてや、太陽よりずばぬけている徳が(過剰に)そうしたらどうなるでしょう。」〕

──「十個の太陽」をひきあいに出して、「徳」も過剰に働くならば、その時それは「本来の徳」ではなく「迷惑なもの」になるといった意味も込めて、舜は次のように言っているのかもしれません。「貴方は、すでに十分な徳によって天下を統治しているのに、それ以上に、三子の上に見せつけるような過剰な徳による教化（伐ること）が必要でしょうか。しかも、太陽（烏）より、徳の方が影響力をもって進んで飛び回るとしたらどうなるでしょうか」と。

舜は、このように堯とは違う見解を示しているのかもしれませんが、堯に対して否定的な表現を用いてはいません。「十個の太陽の災難を思い出してください。貴方は太陽よりもずばぬけている徳をもっているのだから、三子にどう対応すればいいのか、自ずと理解できるのではないでしょうか。」と質問返しをするような形で進言しているようです。

[25] mixiユーザー 01月10日 01:38

ここでこの話のポイントがもう一つあるようです。舜の心意気を感じる言葉の使い方です。どういうことかと言えば、その「進言の仕方」はけっして非難してでしゃばった弁舌ではなく、自分の意見をはっきりと言いながらも相手を立てて婉曲にうまく表現しているところがみごとだということです。伏線があると言ったのはこのことです。

このような「進言の仕方」は、６章の中にある【春秋に経世する先王の志しに、聖人は議するも辯（弁）ぜず。】といった具体例だと考えた時、私は腑に落ちたのです。
つまり、一例として【先王】とは【堯】のことで、【聖人】とは【舜】のことを指していると考えると納得できたのです。

金谷氏は、「この８章は前７章の「葆光」を説明した一段とみる説もあるが、恐らくはもともと無関係な他篇の文章がまぎれこんだものと思われる。斉物論の中心的な論理は前章で終わり、以下は具体的な説話になる。」と注釈を入れています。

しかし、私は逆に８章はもともと６章の中にあったものが、意味が分からず、独立した話として切り離されてしまったのではないかと推察しています。（６章と７章はつながっているとも考えられます。）６章の間にあったと考えるなら８章の冒頭が「故に」から始まることにも納得がいきます。

大胆な憶測ですが、実際につなげてみることにしましょう。

　　　　　　　　　　　　　　　　　☆

（６章）六合（上下東西南北・三次元空間）の外にて、
聖人は「（あるがままに）存在すること」があっても、「論じること」はしない。
六合の内にて、聖人は「論じること」はあっても、「議論で主張をすること」はしない。
年代記にあるような、世の中を治める古代の聖王のその志において、
聖人は「議論で主張をすること」はあっても、
「分割する言葉によって弁じること」はしない。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
（８章）故に、昔のこんな話がある。
堯は舜に尋ねて言った。
「私は宗・膾・胥の勝手気ままな所を根こそぎ伐採して教化したいと思ってしまう。
天子の位についてから、どうにも釈然としないからなのだが、これはいったいどうしたわけだろうか。」
舜は（このように）言った。
「あの三者たちは、(勝手気ままではなく)のびのびと自由に、（喩えるなら）よもぎ(雑草の一種)を伸びるにまかせているものの、(もぐさにするために、新芽だけを)刈り取って（世の中を安らかに、おさまるようにして）いるような、そんな間(はざま)にいるだけです。
貴方が、それで釈然としないというのは、どうしたことでしょう。
以前、十個の太陽が並んで現れ、万物がみな照りつけられたということ(災難)がありましたが、ましてや、太陽よりずばぬけている徳が(過剰に)そうしたらどうなるでしょう。」と。
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
（６章）それ故に、「分割」していても、そこには「分割していないもの」があるのだ。
「弁じること」はあっても、そこには「弁じていないもの」があるのだ。
どういうことかというと、こういうことだ。
聖人は（表現とは別に、この不可分の感覚を）「懐(ふところ)にしている」が、
普通の人は相手に対して「弁じること」によって示そうとするにすぎないのだ。
だからこう言う。「(本来の)弁じることには、見えないものがある」と。

　　　　　　　　　　　　　　　　　☆

舜は確かに「議論で主張」していますが、言葉だけでは見えない「懐にしているようなもの」を感じます。

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