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川柳月組コミュの5月 「蛇」 「盗む」

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【蛇】
1 わたくしの湿った場所にひそむ蛇
2 風に触れ花にも触れた蛇のぬけがら    
3 ヒゲ一本抜かれてヘビになりました  
4 妻がわたしの家でとぐろを巻いている
5 帰宅拒否アオダイショウとにらめっこ     

6 内に蛇外にも蛇という居場所
7 まっすぐで誰も蛇だとわからない  
8 恋かしら青大将が落ちて来る   
9 とぐろ巻く大蛇も実は怖いのだ      
10 税抜きか税込みなのか迷う蛇    

11 父と子と精霊の御名まむし指   
12 蛇になる前は七三分けでした   
13 過ぎ去ってしまえば無罪 蛇の皮  
14 悲しみとまらず悲しみ蛇のかたちして     
15 この蛇はしばらく泣いたあとの蛇     

16 気を抜くと飛び出てしまう蛇の舌   
17 水平線を一度も見ないままの蛇
18 見事な脱皮わたしも蛇のあと追って   
19 ヘラヘラと蛇足並べて黄昏れる   
20 めいっぱいの塒をほどき無事帰る   

21 問い詰める 蛇は脱皮を繰り返す     
22 通訳を介して白蛇のお告げ    
23 したたかにとぐろを巻いてよく眠る   
24 停戦へ蛇に託している密書    
25 蛇の眼の男について行った昼  

26 桐箱に蛇と小判とへその緒と     
27 帰ろうかガラガラ蛇がやってくる   
28 圏外へ蛇を一匹捨ててきた     
29 リンゴ剥く皮揺らしては蛇を産む         
30 大好きな青大将が住むお家


【盗む】 
1 美味しいを隣のタマに盗まれる    
2 しっかりが盗んで泡と消えるまで   
3 盗まずに長期拝借 君のパパ  
4 つかの間のひとり 緑陰を盗んで     
5 夕焼けを盗む夜へと導いて       

6 盗んで欲しくて軒にぶら下がる  
7 五月の空盗んでしまう吹き流し      
8 重ね見る花盗人の胸の内      
9 美しいこの世を盗め聖五月
10 自転車もカボチャの馬車も盗まれる  

11 泣きながら盗んだ飴が溶けてゆく   
12 盗み見た日から地面が揺れている   
13 盗癖がつと目を覚ます五月闇    
14 真っ赤な薔薇盗んでさりげなく消える   
15 盗みましたねわたしの中の蒼い空

16 クレマチス盗み返しただけのこと    
17 母の技盗めぬままに鳴るチャイム   
18 介護する母に時間を盗まれる      
19 十四番目の月を盗んだのは私
20 私から私を盗む風になる         

21 盗塁は失敗 振出しへふりだしへ   
22 盗まれてこころここにはありません    
23 明日へと風を盗んでたゆとうて     
24 そんなもん盗んでタコになったんか  
25 林住期盗んでおいた星の砂   

26 自転車もバカな話も盗まれる   
27 5月みどりに 春のピンクを盗まれて    
28 未来永劫みな盗人の口を持つ  
29 君のハートを盗んでみたら鋳物です
30 どれにしようか多過ぎて盗めない   



コメント(15)

「蛇」

入選
12 蛇になる前は七三分けでした   
13 過ぎ去ってしまえば無罪 蛇の皮
25 蛇の眼の男について行った昼 

特選
7 まっすぐで誰も蛇だとわからない  

12/「七三分け」が良かった。蛇になる前に何があったのか。
13/蛇の皮を脱ぎ捨てて、したたかに前進する蛇が見える。
25/「夜」でなく「昼」。ぞくぞくする。

7/誰も気付かないけれど実は蛇。恐い! これは進化なのか・・・


「盗む」

入選
15 盗みましたねわたしの中の蒼い空
21 盗塁は失敗 振出しへふりだしへ   
24 そんなもん盗んでタコになったんか  

特選
6 盗んで欲しくて軒にぶら下がる  

15/盗まれたって構わない。私の空は私の空だから。
21/ああ残念。何度でも盗塁を繰り返しましょう。
24/タコですか。面白い。盗めばいいってものではないですね。

6/干し柿?干物の差かな? あっけらかんとしていて好きな句です。
【蛇】

入選  
12 蛇になる前は七三分けでした   
13 過ぎ去ってしまえば無罪 蛇の皮  
26 桐箱に蛇と小判とへその緒と     

特選
7 まっすぐで誰も蛇だとわからない  

コメント
12・生真面目なサラリーマンだったのでしょうか?それとも、蛇になる前のほうがもっといかがわしいものだったのでしょうか・・・
13・脱皮することですべてをチャラに。あのうすっぺらい蛇の抜け殻。
26.・桐箱になぜ蛇が入っていなければならないのだろう、と思いながらも、もしかしたらそんな中にこそ蛇がいるのかもしれない。
特選7・くねくねと蛇行というようにはならず。。。フフフと笑ってしまいます。

【盗む】 

入選
6 盗んで欲しくて軒にぶら下がる  
16 クレマチス盗み返しただけのこと    
24 そんなもん盗んでタコになったんか  

特選
12 盗み見た日から地面が揺れている 

コメント
6・そうか、あれは盗んでほしいからぶら下がっているのだ。
16・クレマチスが言っていると解釈して、涼しげな顔をして、しらーと言ったらゾクっとする。
24・どんなもん盗んだんや???と茶々を入れたくなる。
特選12・地面が揺れるほどのショック!何を盗み見たのか想像がいろいろと広がる。
  


【蛇】

「入選」
 3 ヒゲ一本抜かれてヘビになりました
 7 まっすぐで誰も蛇だとわからない

「特選」
12 蛇になる前は七三分けでした


    3 大事なヒゲだったのですね。
      でもヘビになって気が楽になったのでは?
    7 きっと素直な蛇さんなんですね。
      私も紐だと思ってつまんじゃうかも。
 
   「特選」
   12 七三分けのあなたも真面目そうでいいけど、蛇になったあなたの方が魅力的!


【盗む】

「入選」
10 自転車もカボチャの馬車も盗まtれる
15 盗みましたねわたしの中の蒼い空

「特選」
24 そんなもん盗んでタコになったんか

 
   10 ああ、もうシンデレラにはなれない。
      しかもふつうのおばはんに戻っても買い物にもいけないではないか。
   15 気を許しましたね。いや、許せる人なんですね。
      盗まれたと言うけど、ちょっと嬉しそう。
      そんな心理が表れている。

   「特選」
   24 そんなもんというのだから大したもんじゃないらしい。
      その上、そんなもんでもせっかく盗んだのになったのはタコですか。
      可笑しすぎる。
      でも、そういうことやってるな、わたしも・・・、。








 入選

   1 わたくしの湿った場所にひそむ蛇

         はて?そしてメラメラの炎に?


   4 妻がわたしの家でとぐろを巻いている

        とぐろを巻いているのは 夫 だったりして


   28  圏外へ蛇を一匹捨ててきた

        あーとは 知−らない。

 特選

   30 大好きな青大将が住むお家

        桜庭 一樹 の 題材になりそう・・


盗む

 入選

  7 五月の空盗んでしまう吹き流し

       あっけらかんと 盗んでしまう 吹き流しになりたいなァ


  30 どれにしょうか多過ぎて盗めない

       ルイも選ぶのに困ってしまう・・

特選
  

 10  自転車もカボチャの馬車も盗まれる

       こちらは盗まれた方・・なんとなく夜のスーパーにて クヤジィよ!

       
      

         


【蛇】

入選 

12 蛇になる前は七三分けでした
   
17 水平線を一度も見ないままの蛇

26 桐箱に蛇と小判とへその緒と 
    

特選

7 まっすぐで誰も蛇だとわからない 

  12/七三分けを捨てた蛇、が面白い。
  17/あの果てしない水平線は見ておかないと。
  26/桐箱に入っていた宝物・・・ですね。
  特7/蛇だったなんて、参りました。


【盗む】 

入選

6 盗んで欲しくて軒にぶら下がる 
   
15 盗みましたねわたしの中の蒼い空


特選

10 自転車もカボチャの馬車も盗まれる

   6/あなたにわかって貰いたいのに。
   15/蒼い空が盗まれたということは、恋に・・・。
  特10/夢もキボウもなくなってしまいそう。
「蛇」

入選
27 帰ろうかガラガラ蛇がやってくる
26 桐箱に蛇と小判とへその緒と
14 悲しみとまらず悲しみ蛇のかたちして     

特選
15 この蛇はしばらく泣いたあとの蛇

27/危ない世界に入り込んだのが分かって身を引く作者の
客観的な視点が魅力。
26/取り合わせの妙。蛇と小判は夢の世界のようですが
現実にありそうな気がしてくる。
14/蛇のかたちが悲しみのかたちであるという視点。
哀でなく悲の選択。美しい詩情を感じました。

15/しばらく泣いたあとの蛇とそうでない蛇の違いが
私には分かりませんが、その違いに気づかれたことに脱帽です。

「盗む」

入選
16 クレマチス盗み返しただけのこと  
24 そんなもん盗んでタコになったんか 
6 盗んで欲しくて軒にぶら下がる  

特選 
10 自転車もカボチャの馬車も盗まれる  

16/「だけのこと」なのですが、盗んで返したその気持ちの変化と
「クレマチス」に惹かれました。
24/言う側と言われる側が目に浮かびます。
「タコ」も効いています。
6/楽しい句です。「軒にぶら下がる」作者の気持ちが
かわいらしいです。

10/見つけと取り合わせが素敵です。盗まれても後日談が
期待できそうな楽しさがあります。
【蛇】

<入選>
7 まっすぐで誰も蛇だとわからない
    子供の頃、ひとり山道を歩いていて、
    枝にしか見えない「ナナフシ」に出合ったことがある。
    そのときの驚きをいまでも忘れることができない。
    棒だと思って拾ったりした人が、
    それが蛇だとわかったときの驚きは
    相当なものだろう。

12 蛇になる前は七三分けでした
    ビートルズなどの影響で長髪がひろがるまで、
    これもアイビールックの流行で、
    男の髪型は「七三分け」が定着していた。
    それが現在「おしゃれ七三分け」として
    復活しているようだ。
    自身の頭を「蛇」と書ける人は
    川柳を書く力のある人だと思う。

<特選>
6 内に蛇外にも蛇という居場所
   「内」は作者の心、「外」は家族。
    そして「居場所」は平和と思われている
    どこにでもあるリビング。
    だからこそ川柳であり、この状況こそが川柳である。
    この「居場所」という言葉が実にいい。
    詩人の天野忠さんだったか、山之口貘さんだったか
    忘れたがとても印象深い言葉である。

【盗む】

<入選>
11 泣きながら盗んだ飴が溶けてゆく
    盗んでまでもどうしてもほしいと思った飴。
    しかし、手に入れてみるとその気持ちは消える。
   「溶けてゆく飴」を何に喩えるかはそれぞれだが、
    とにかくここに読みが成立する。

<特選>
6 盗んで欲しくて軒にぶら下がる  
   「軒」の具象がいい。
   「ぶら下がる」のは作者で、
    そして「盗んで欲しくて」がせつなくていい。
    選評から少し離れるかもしれないが、
    以前、近所を自転車でぶらぶらしていると、
    その家の畑の金網に「大根もらってください」と
    張り紙がしてあり、それを眺めていると、
    中にいたおばあさんが「何本でもいいよ」と笑っている。
    そんなことで大きめのものを一本もらって帰った。



【蛇】

入選    
3  ヒゲ一本抜かれてヘビになりました  
28  圏外へ蛇を一匹捨ててきた
 
特選
16  気を抜くと飛び出てしまう蛇の舌
   
   入選
   3 最後の砦のヒゲを抜かれてはヘビになるより仕方がないですか?
   28 圏外に捨てられてはしつこい蛇でも手出しはできないでしょう。           
   特選
   16チロチロと出入りする舌が見えるようです。
   

【盗む】 
入選    
6  盗んで欲しくて軒にぶら下がる
20 私から私を盗む風になる            

特選
25 林住期盗んでおいた星の砂
   
   入選
   6 ああ、可愛らしい。すぐに盗んでさしあげましょう。
   20 こんな心境に憧れています。

   特選
   25 何と心がけの良いことでしょう。
      これで人生の黄金期を満喫できること請け合いですね。   

   

「蛇」

17 水平線を一度も見ないままの蛇
23 したたかにとぐろを巻いてよく眠る  
22 通訳を介して白蛇のお告げ 

<特選>
12 蛇になる前は七三分けでした


17きっと何度かは、鎌首を上げて見ようとしたのでしょう。でも見えるのは目の前の地面だけ。哲学的。 
23 ふてぶてしい姿がこわかったり頼もしかったり。 
22 白蛇も通訳も、うさんくさくていいですね。 
12蛇になって自由になったってことでしょうか。七三分けの蛇もキュートですが。 
             

「盗む 」
 11 泣きながら盗んだ飴が溶けてゆく 

<特選> 
10 自転車もカボチャの馬車も盗まれる

11 盗むほど食べたかった飴が溶けてゆくのは、口の中でしょうか、土の上でしょうか。  
10 たいへん。シンデレラにも主婦にもなれない?!  
りりーさんの選です。


「蛇」

10 .税抜きか税込みなのか迷う蛇

   時事吟として面白いです。

特選

6 内に蛇外にも蛇という居場所

  こういう時期はありますね。いずれ安心できる居場所ができます。




「盗む」

15 盗みましたねわたしの中の蒼い空

   うまい句です。「青い」でないところが少し気になりました。

12 盗み見た日から地面が揺れている

   わかりやすいです。共感。

特選


10 自転車もカボチャの馬車も盗まれる

   好きな世界。でも、どうにかなる!


【蛇】
入選
6 内に蛇外にも蛇という居場所
17 水平線を一度も見ないままの蛇
特選
12 蛇になる前は七三分けでした   

6/むつかしいところにいる現在が伺える
17/水平線をみないままに終えるであろう一生
  見せてあげたい。
特選12
以前は七三分け=生真面目。
現在を想像して楽しい。

【盗む】
入選
15 盗みましたねわたしの中の蒼い空
20 私から私を盗む風になる         
特選
24 そんなもん盗んでタコになったんか  

15/私のとっときは蒼い空だったのに。。盗みましたねの「ね」がいい。
20/フワリと風になって!!
特選
24/そんなモンてどんなモン
 タコになったんかという語り口がなんとも可笑しい。
【蛇】
7  まっすぐで誰も蛇だとわからない  
12  蛇になる前は七三分けでした   
特選
16 気を抜くと飛び出てしまう蛇の舌   


7)思い込みを壊してくれる蛇に、愛嬌がありますね。
12)七三分けから蛇に。詳しく話を聞いてみたい。
16)他人ごとではなかった蛇の舌。



【盗む】
6 盗んで欲しくて軒にぶら下がる  
特選
24 そんなもん盗んでタコになったんか  

6)素直でかわいいなぁ。
24)「盗む」という題でこの五七五。とにかくおもしろい。


【蛇】

28 圏外へ蛇を一匹捨ててきた     
15 この蛇はしばらく泣いたあとの蛇     
27 帰ろうかガラガラ蛇がやってくる   
特選
30 大好きな青大将が住むお家

   28/ そのことを悔いているような気がする。
   15/ 蛇に友だちはいるのだろうか。
   27/ カラスもカァと鳴いている。
   特30/ もう何匹も何匹も住んでいる家。


【盗む】 
4 つかの間のひとり 緑陰を盗んで     
10 自転車もカボチャの馬車も盗まれる  
16 クレマチス盗み返しただけのこと    
特選
24 そんなもん盗んでタコになったんか  

   04/ 緑陰の一人、産みたい子がいる。
   10/ 日常も非日常も。
   16/ 「高潔」「たくらみ」。どこが悪いねんの高潔。
   特24/ 何してんねんと言う作者。魔が差したんとちゃうという私。



【蛇】

12 蛇になる前は七三分けでした
15 この蛇はしばらく泣いたあとの蛇     
16 気を抜くと飛び出てしまう蛇の舌

特選
2 風に触れ花にも触れた蛇のぬけがら

12/七三分け。銀行マンだったとか。なんでまた蛇になったんだろう、などといろいろ想像させる。
15/ちょっともってまわった言い回し。作者と蛇との関係が気になる。
16/お気の毒ながらおかしい。
特選/触れが「蛇」にかかるような「ぬけがら」にかかるような曖昧さ。しかし風や花やかさりとしたぬけがらの確かな質感を感じる句。


【盗む】

6 盗んで欲しくて軒にぶら下がる
24 そんなもん盗んでタコになったんか  
25 林住期盗んでおいた星の砂 

特選  
12 盗み見た日から地面が揺れている  

6/ナマケモノみたいな主人公はさりげなく癒し系。
24/発想の一発パンチで勝利。
25/感覚で立ち止まったものの、作者に句意を聞いてみたくての一票。
特選/盗んだ日ではなく、盗み見た日。そこから揺れへの飛躍にうなる。
しえなさん ありがとうございました。
不覚にも、31日迄 売上を追っていて選評のことを
全く気づきませんでした。

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