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てんみくろんの会コミュのてんみくろん通信第2号

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ヘレナ・ノーバーグ・ホッジさんの「ラダック〜懐かしい未来」シンポジウム(3日間)に参加したことで、地球と人の崩壊がなぜ起きているのかという根本的原因に気づかせてもらいました。大きな衝撃と感動の中、世界中で具体的な行動を起こし、蘇生している地域の実情報告を知ることは何者にも変えがたい悦びであり、懐かしい未来創造への勇気をいただきました。

戦争や飢餓、貧富の差、見せ掛けの繁栄、その陰で苦しむ心身の病・・・、それらはどこか遠くの国の見知らぬ人たちの問題ではなく、私自身のことであり、日本人のことであるとの想いが膨らみ、急遽、その一部でもお伝えしたいと心から願っています。

長い文章になりますが、シンポジウムで話された内容の要約(一部ですが)が届きました。紹介する許可もいただきましたので、以下に転載いたします。
是非、ご自分のこととして読んでくださいますようお願い申しあげます。

  
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「ラダックにおける伝統的な暮らしと変化、そして未来:開発をめぐる基本的な視点」
2006年5月23日(火)@明治学院大学横浜校舎

明治学院大学横浜校舎における講演とシンポジウムは、明治学院大学国際学部附属研究所のGNH研究会の協力により開催された。GNH研究会は、ブータン国王が提唱するGNHを切り口に開発、進歩というコンセプトをゆさぶり、オルタナティブな社会をつくる道筋を見出していこうという趣旨の研究会である。
自前のものさし、自分の文脈でのものさしを使うことによって何が見えるかということを考えるのに、ラダックは最も有効な教科書だと考えている。

まず、司会・通訳の辻信一氏より、スローライフ100のキーワードにちなみ、懐かしい未来へ向かうキーワードを本講演を通して提示したいというコメントがあった。

<第一部 ヘレナさん講演>
最初に申し上げたいのは、私がお話することは人間の最も深いところでの「欲求」ということについてであるということです。ぜひ皆さんの心の中に眠っている声に耳を澄ませ、人間の幸せとは何かを考えていただきたいのです。

まず、開発Developmentの定義についてですが、ラダックの人びとから学んだのは「開発とは人びとが不幸になることである」ということでした。

経済発展の概念が入り込む前は、ラダックの人びとは美しい伝統的な家に暮らしていた。GDP、GNPという指標における進歩という名のもとにラダックの社会は変化し、都会の小さな家に暮らすようになりました。ラダックの昔の家はふんだんに手に入った土と石でできていたが、経済発展の後には、土も石も値段が高くなってしまった。

こうした状況を理解するためには、ものごとの全体像を見る必要があります
経済発展とともに入ってきた近代的な教育(学校)は、家の作り方を教える代わりに欧米型の建築を教えました。なぜなら、ラダックの外にあるテクノロジーを使って家を建てた方がGNP、GDPがあがるからです。
発展とともに時間の流れに変化が起こりました。より多くのものを効率よく作ることが求められ、都会での時間の流れは速くなりました。また、伝統的な家や文化が、遅れていてかっこうの悪いもの、という価値観を植えつけられ、自己評価が下がってしまいました。
私たちは「開発」、「発展」、「進歩」を見直さなければならないのです。

今のシステムの歴史的な出発点は奴隷制度にありました。武力を背景にプランテーションなどの新しい生産形態に転換させられました。西洋の富の蓄積は、こうした奴隷制や貧困なしには不可能なことだったのです。
そして実は第二次世界大戦後も、人びとが進んで働く仕組みが巧妙に作られ、しかもそれが内面化しているという意味では、奴隷制はなくなっていないのです。こうした商品経済に対して、私たちは自給型の経済の再生と自立を目指していく必要があります。

グローバルな貿易は、税金が補助金として使われているから成り立っているのです。農業の大規模化のために補助金を使い、遠くから輸入するために補助金を使う。モンゴルでは地元のバターよりもドイツ製のバターの方が安く手に入ります。
こうした補助金は、モノに対してだけでなくシステム全体を維持するためにあらゆるところで使われています。

発展は競争を促します。母親は子どもが生まれる前から子どもの将来について悩みます。そうしたプレッシャーの中で子どもは生きなければなりません。アメリカ、イギリス、オーストラリア、いずれも自殺の低年齢化、子どものうつ病の増加が見られます。犬でさえ抗うつ剤を飲むのです!グローバル経済システムとうつ病、不幸は実はつながっているのです。

現代社会における役割モデルはグローバルスタンダードです。それは白人を意味しています。ラダックにおいては肌の色や背の低さは劣等感を生み出すものとなり、美意識は変わってしまいました。
グローバルな役割モデルに追いつこうとする行為はGNPを上げます。そしてこのグローバルな役割モデルの問題は到達不可能であるという点にあるのです。そしてGNPは人びとが不幸であればあるほど上がっていくのです。

しかし悪いニュースばかりではありません。世界中、どこにもこうしたグローバル化に疑問を持つ人びとがいます。多くの農民がグローバル経済に抗議行動を起こしています。アメリカやイギリス、オーストラリアでは30%くらいの人びとは、すでに暮らしの質を高めたいという問題意識を持っています。ハリウッドの大スターたちでさえ、グローバル化の恐ろしさに気づいています。

フードマイレージをご存知でしょうか?どんなものにも運ばれて来た距離があります。その距離はなるべく短い方がよい。フードマイレージは短い方がよいのです。

グローバリゼーションからローカリゼーションへの転換が大切です。ローカリゼーションの究極の目標は幸せになることと持続可能性です。

幸せについて行われているさまざまな研究を通して言えることは、幸せになるためにはコミュニティに属していることが大事であるということです。人びとが集い、癒しのプロセスがもたらされる。もう一つは自然、生態系との関わりを取り戻すことです。地域経済は人びとにコミュニティの感覚や自然とのつながりをもたらしてくれます。

皆さんもこの場からローカリゼーションのプロセスを始めることができるのです。
まずコミュニティを作り始めて下さい。幸福の経済学に向けて、地域の中での物の循環に結びついていく活動が、懐かしい未来に向けての道筋なのです。


「持続可能な開発とGNH(国民総幸福量)」
2006年5月23日(火)@明治学院大学横浜校舎

<第二部 シンポジウム>

*ヘレナさん基調報告
第一部の講演では開発の意味を問い直しました。これまでの持続不可能な開発は再生不能な資源を使うことを前提としています。この仕組みがグローバル経済と呼ばれるシステムで、消費者と生産者の距離を遠ざけ、人口の都市集中化を招きます。このプロセスで競争に負けた小規模生産者は職を失います。より多くの時間を加速しながら労働に従事することは不幸せなことで、自分自身に対する憎しみを増す自己否定のシステムなのです。

ラダックという場所で、私はこのプロセスを目の当たりにし、どのようにこのプロセスを現地の人びとが受け入れるのかということを見てきました。端的にいうと、子どもたちが学校教育やテレビなどのプロパガンダによって自分たちの文化が劣るもので、時代遅れであるという劣等感を持たされることになります。
英語を話すことができないのも劣等感のひとつです。私のような外部者の責任として、ラダックの人びとに「どうして外から来た人たちと英語で話せないということに劣等感を持つのか?外から来た人こそがラダック語を話すべきではないのか?」と言いました。そうしてそのことをぜひラダックの子どもたちに伝えて欲しいと言われたのです。

ラダックには石油、ディーゼル、アスベスト、DDTなどいろいろなものが理解もないまま持ち込まれました。西欧ではとっくに禁止されているような農薬の危険性すらも知らされませんでした。

南と北、都市と村の間で、情報交換とコミュニケーションを活発化し、持続可能なシステムを作っていくことを対抗的開発(カウンターディベロップメント)と言います。そのための重要なツールがGNHだと考えています。

GNHの観点から見ると、GNP、GDPの指標による発展モデルがなぜうまくいかないのかがわかります。従来のモデルとは異なる指標を求めるなら、ローカリゼーション、地域化、人間のスケールに合った地域経済を作り出していくことができるはずです。

グローバル経済の中では、多くの場合、価格の5%も生産者にわたっていません。
この仕組みでは、生産者は社会の隅に追いやられるだけです。生産者と消費者の距離を短くし、生産者の取り分を大きくすべきです。

そういう意味での情報交換、国際的なコミュニケーションは、一見、地域主義と矛盾するようですが、非常に重要です。北と南の団結、ラダックの人びとにも西洋をよく見てもらい、これまでのシステムが幻想の上に成り立っていることを理解してもらいたいのです。アメリカは皆豊かで幸せであるというアメリカンドリームの裏には、深刻な問題が隠れていることを。コミュニティの喪失や自然との一体感の喪失によって、欧米には絶望感や自責の念が広がり、日本でもうつ病が広がっています。

心の状態は経済のしくみと密接に関係しています。より少ないお金で、持続可能(再生可能)なエネルギーを使うことは、経済学の知識がなくても今すぐにできることです。一日でシステムを変えることはできませんが、今から行動することはできるのです。

<鎌田さん報告>
ヘレナさんのキーワードであるローカライゼーションを促進し、地域コミュニティを取り戻すということにより、環境もよくなり、自分のやっていることがコミュニティにどう影響を及ぼすかということが理解でき、人と人とのつながりの中で慈悲の心が育つと理解している。

国際協力NGOに17年間携わってきた。国際協力は今まで、現地にないものをもたらすことをしてきた。学校がないということは教育がないことを意味するから学校を建てよう、病院がないということは医療がないということだから病院を建てよう、と。

しかし実は現地には伝統がある。西洋的なものが入ってきて現地の慣習は邪魔なものだと思われてきたが、西洋からもたらされる「進歩」「発展」が根本的に問い直される中、今一度現地にあるものを見直していくことが必要である。

私はその動きの一つである伝統医療を、医療におけるローカリゼーションとして考えてみたい。

WHOによる国際協力において、西洋医療を基本としつつ部分的に伝統医療を取り入れることもある。しかしそうではなく、伝統医療そのものを全体として復興させていくことが必要である。医療は人間の根本に関わることであり、西洋医学で人の命が助かることはすばらしいことだが、現地の人びとの土着の知識体系を崩し、ネガティブなインパクトを与え、「途上国」の劣等感を強化してしまっている。

チベットの伝統医療の主体はアムチと呼ばれる医者である。アムチはヒマラヤ奥地にばらばらに存在しているため、互いに知り合い問題を話し合う場を作る必要があるということで、全国集会を開催した。ネパール、ラダック、ヒマラヤ地域、ブータンなどから集まり、カトマンズで国際会議を開いた。その中で出てきた方向性は、伝統医療の教育システムを作ることであった。地域のリソースを徹底的に活用し、担い手を支援し、地域の文化やアイデンティティを元気づけていくことが大事である。

専門分化している西洋医学とは違って伝統医療者は、病気を治すということだけではなく、薬草の保全者であったり、チベット仏教では宗教的修行者、僧侶としての精神的な柱の役割を持っている。また、患者と密接な関係を持ち、患者のライフヒストリーや家族、親戚関係を把握し、患者への全体的な理解を持っている。
菩薩行として他者の徳を高めるという行為の実践者であり、村人と深い信頼関係でつながれている。

日本の場合は、明治時代に伝統医療としての漢方の医者の地位は、政府の政策の中で奪われた。韓国も同様であったが、日本よりも失ったものを取り戻そうという意識が強く、現在では韓医学の医者は、西洋医学の医者と同様の地位を確保している。日本は近代化のプロセスの中で、何を失ってしまったのかさえわからない状況に今陥っている。
失ったものへ戻るのではなく、未来に生かすことが大事である。

<平山さん報告>
私も同じく伝統医療、いわば健康づくりというものに関わってきた。伝統智を集めるために、ここ10年くらい80歳前後の人に聞き取り調査をしてきている。

1997年からイエメンに行ったが、その理由はイエメンが妊産婦死亡率が最も高い国のひとつだったからである。あとで気づくことになるが、それは統計数字のトリックで、とりたててイエメンが高いというわけではなかった。しかし、イエメンで300軒以上の妊産婦のいる家庭を回って気づいたことがある。それは、援助によって西洋的な医学知識が入ったことにより、産婆さんと妊産婦の争いが起こっているということである。実はイエメンでは従来出産時には、妊産婦は下向きで産むものだったが、西洋医学では上向きであり、新しい知識を学んだ産婆さんは上向きを主張し、それに不安を覚えた妊産婦との間に確執が生まれたのだった。上向き出産の方がよいという科学的根拠は一切見当たらなかったことから、西洋医学の上向き出産は幻想に過ぎないということがわかる。

日本の東北・秋田の過疎地域で活動していたときのことである。ワークショップを行ったとき、大人のグループの人びとは口々に自分の子どもがこんな村に残ったらやっていけるはずがない、と言い、子どものグループは農業を継ぎたいが親に反対されていると言う。その後訪問調査を行うと、どの家の親も「自分の子だけが農業を継ぎたいと言っている。そんなことはさせられない」と言う。「自分の子だけが」という幻想がそこにはあった。昔は、おいしい作物を作ることがハピネスだった。

私自身のGNHは何か、ということを考えたとき、それは自分の中のゆずれないもの=幸福と定義している。言い換えれば、career anchorである。それをコミュニティに当てはめた場合、community anchor、すなわち地域でゆずれないものを一つの指標にしてはどうか、と提案したい。


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「懐かしい未来〜ラダックから学ぶこと」「地域から始まる未来〜グローバル経済を超えて」という二本のドキュメント映像が製作されており、現在「おおいなるまやかし(仮題)」についての三作目の撮影が行われているようです。埼玉県小川町で行われている「地域で作る自然エネルギー」の取材・撮影もあったように聞いています。
上記二本のドキュメント映像を購入しましたので、希望者が集まれば上映会を開きたいと願っています。
又、ご自分でも購入したいとお考えなら、以下にアクセスしてください。二本分収録されていて、2,500円(送料別)で購入できます。

http://www.afutures.net/modules/tinyd1/

このドキュメントを見て何を感じるかはお任せしますが、見る(知る)ことで何かが変わってくると思います。


◎ 6月17日、八王子労政会館にて午後1時半より、「てんみくろんの会」月例お話会にて上記ビデオの鑑賞会を行います。
お友達もお誘い合わせて、見に来てくださいますようお願いいたします。

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