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ジャーナルクラブコミュのCaチャネルによる遺伝子発現制御?

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空き時間のヒマ潰しで読んだ論文ですが、とりあえず投稿します。
タイトルはすごいですが、データがタイトルに負けてる感じもするような、しないような。

The C terminus of the L-type voltage-gated calcium channel Cav1.2 encodes a transcription factor
Cell, vol.127, 591- (2006) / PMID: 17081980

電位依存性Caチャネルはチャネルのporeを形成する約190-250kDaのalpha1 subunitと、alpha2、beta、delta、gamma subunitが複合体を作ることで形成されている。伝統的には薬理学的性質とチャネルのkinetics等からL、N、P/Q、R、T-typeチャネルなどと分類されていたが、遺伝子の同定が終わってからは今回の論文に出てくるようにCav1.2などCavX.Xという名称に変更されている(PMID: 11031246)。

この論文ではCav1.2(L-typeのalpha subunit)のC末部分が切断されて出来る約500aaのペプチドが転写調節因子として核内で機能していることを示そうとしている。これまでにもCaチャネルのC末部分が切り出されて何らかの機能を持つとする論文はいくつか発表されていた。
C-terminal fragments of the alpha 1C subunit associate with and regulate L-type calcium channels containing C-terminal-truncated alpha 1C subunits.
J. Biol. Chem., vol.276, 21089- (2001) / PMID: 11274161
Autoinhibitory control of the Cav1.2 channel by its proteolytically processed distal C-terminal domain.
J. Physiol., vol.576, 87- (2006) / PMID: 16809371
これらの論文はC末の切れっ端は、切られた相方と相互作用し、Ca channelの機能に影響を及ぼしていることを電気生理学的に確かめている。しかしながら、これらの結果はC末部分と、(切られるとしたときの)相方を強制発現させて得た結果であり、実際に細胞内で機能的にC末部分が切り出されているのかについては確かなデータは示されていない。この点については未だに確かめられていないようである。

今回の論文では実際に機能的にC末部分が切れることを示すようなデータは示されていないものの、とりあえず本当に機能的に切り出されるとしたら、切り出された約500aaはなにをしているのか?ということについて解析している。
論文は大まかに言って?C末部分が核内に移行することを示す部分、?核内で転写を制御することを示す部分、といった大きく2つの部分から構成されている。

?ことを確かめるために、筆者らはCav1.2のC末部分に対する抗体を作成し、
1) 細胞分画を行い、核分画にC末部分のシグナルが観察されること
2) 同抗体を用いて免疫染色すると細胞全体にシグナルが観察できるのに加え、
  いくつかの細胞において核に強いシグナルが観察される
3) 神経細胞を長時間脱分極刺激し続けると
  核にあるC末のシグナルが時間とともに減少する
以上のことを示し、さらに
4) Cav1.2のC末にYFPを付加したconstructを発現させると
  核にシグナルが認められるのに対し、
  N末にYFPを付加した場合には核にシグナルが認められない
を示している。しかしながら、ほとんどの顕微鏡写真は共焦点顕微鏡ではなく通常の顕微鏡で取得したもののようで、本当に核内にシグナルがあるか、判然としない写真が多い。加えて、C末500aaにYFPを付加したconstructを発現させた場合には核内に(核小体っぽいかんじの)particle様のシグナルが見られるのに対し、Cav1.2-YFPではそのようなシグナルは観察できない。さらに、Cav1.2を発現させたHEK293TをサンプルにしたW.B.で、筆者らがtruncated Cav1.2のシグナルだと言っているシグナルのサイズがきちんと計算通り合っているのか、などちょっと?マークが出そうなデータもある。

?に関してはまずLuciferase assayによって
1) C末のどの部分が転写活性の制御に重要か決めている
2) Cav1.3およびCav2.1のC末部分には転写制御活性は無いこと
3) 長時間の脱分極刺激をすると転写制御活性が落ちること
を示すことで、少なくともCav1.2のC末部分が転写活性を制御しうることを示している。
その後、Cav1.2のC末部分を発現させたNeuro2A cellをサンプルとしてマイクロアレイを行い、発現量が異なる遺伝子をいくつか同定している。その中で最も大きくmRNA量が増えた(13倍)Connexin31.1(Cx31.1)について以下のような結果を示している。
1) Cx31.1の5’領域を用いたLuciferase assayにより、C末部分がCx31.1のpromoter領域に作用しうること
2) ChIPで実際にCx31.1のpromoter領域に結合すること
3) Cx31.1の5’領域を用いたluciferase assayを神経細胞で行った場合、
  RNAiで内在のCav1.2をKDしたときに、luciferase活性が抑制されること
従って過剰発現系においてはC末部分がCx31.1などの転写を制御しうることが分かる。しかし、内在のCav1.2のC末がCx31.1の転写制御に関わるかどうかについては直接的なデータがないように思われる。

ざっと読んだ感想としては、とりあえず本当にC末部分が機能的に切り出されるか否かをきちんと抑えて欲しかった。そのデータさえあれば?のC末部分が核内に移行するかどうかについての部分で、多少データが怪しく見える部分もカバーできるような気がする。また、C末が切れて何らかの機能を持つことを示唆している過去の論文を見てみると、C末の切れっ端の大きさが論文ごとに違っていたりする。この筆者たちはどうして500aaのところで切れると判断したのか、その具体的根拠がよく分からない。「とりあえず核内に移行するには500aa付近のところが必要っぽいし、転写制御に必要な部分を決めてみたら、500aaぐらいのところも活性があったので、じゃ、500aaぐらいで」って感じで決めてそうな気がする。ペプチド読むぐらいの根性見せて欲しかった気もする。私なら、、、やっぱイヤだけど。。。過去の論文との相違点といえば、過去の論文ではC末の切れっ端は切られた相方にくっついていると言っていたにもかかわらず、この論文の細胞分画ではCytosol画分や膜画分にはほとんどC末の切れっ端が検出できていない。なんでかは不明。まさか抗体???とか邪推してしまう。

コメント(2)

面白い論文の紹介をありがとうございます。C末端の断片には核移行シグナルのような配列はあるのでしょうか?
NLS的な配列はありません。Cav1.2-YFPを発現させたNeuro2AでFRAPをやっていて、データを好意的に見れば何らかの機構により能動的に核内←→核外への輸送が行われていると考えられるのですが、、、というところです。

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