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ジャーナルクラブコミュのG418でstop codon無視

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 Aminoglycoside系抗生物質は細菌のリボゾームに選択的に結合し、その翻訳を阻害する殺菌的作用を持つ。難聴や腎毒性、神経・筋ブロックなどの副作用があるため主として併用または第二選択薬として使用されることが多い。
 代表的な薬剤としてストレプトマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシンなどがある。

 このアミノグリコシド系抗生物質にはナンセンス変異を無効化する作用が報告されており、今回の報告ではこの作用を用いた蛋白質発現調節システムの開発について述べられている。

Murphy GJ, Mostoslavsky G, Kotton DN, Mulligan RC.
Exogenous control of mammalian gene expression via modulation of translational termination.
Nat Med. 2006 Sep;12(9):1093-9.

 遺伝子が発現する時間や場所を外部からの刺激によって自在に制御することは、基礎科学の面からも臨床医学の面からも、非常に有用なstrategyとして期待されている。

 今回筆者らは発現させたい遺伝子の開始コドンATGの後ろに終止コドンを入れることにより、普段は目的産物が生成されないが、G418の存在下では生成される、というシステムを構築したと報告している。

 FG293 cellにwild typeとmutantのルシフェラーゼが乗っているlentiviral vectorをトランスフェクトし、G418で誘導をかけて蛍光を定量化している。その結果、終止コドンを入れたルシフェラーゼの蛍光はG418の濃度依存的に増加している。また、トランスフェクトして48時間後までは徐々に蛍光が増加していき、それ以降はほぼ一定であるらしい。他のcell lineについても、異なるレポーターであるZS-Green DR geneについても同様にG418による誘導が確認された。
 また、human Growth HormoneはpreproGHから修飾を受けてmatureな産物となるが、このgeneについてもELISAによってinductionが起きていることが確認された。

 この終止コドン無視の作用はアミノグリコシド系抗生物質の中でもG418で特に強く見られ、他の抗生物質はあまり強い誘導をかけることができない。
 同じような作用を示すことが報告されているbenzoic acid系の非抗生物質でもluciferase assayを行い、強度は低いものの誘導がかかっていることが確認された。

 筆者らはこのシステムを臨床に用いたいとのことで、マウスによるin vivo調節も行っている。まずintratracheal administration(気管内投与)ということで、16Gの針をマウスの下に押しつけ、normal inhalationから肺にlentivirusを感染させた。その後G418を水に混ぜて与え、15日後にluciferinを投与し、Xenogen IVIS imagerによってin vivo imagingを行った。その結果、終止コドンを入れたマウスの肺はPBS投与群では光らず、G418投与群で光っていた。
 次にhematopoietic stem cellにlentivirusを感染させ、bone marrowへのtransplantationを行った。このマウスにおいてもG418による誘導が見られ、in vivoでもこのシステムが有効であることが確認された。

 抗生物質を用いた遺伝子発現制御システムとしてはテトラサイクリンやマクロライドによるものが既に報告されているが、それらは遺伝子の転写をon/offしたシステムとなっている。今回の報告は翻訳をon/offできるところが新しいらしい。それだけでnat. med.に載るはずもないので、やはりin vivoで動くことを示した点が良かったのであろう。
 実際に臨床への応用を考えた場合、目的の場所でtransgeneを発現させられるかはいろいろな方法があるとして、抗生物質が持つtoxityや、非抗生物質を用いたとしてもdrug deliveryの問題などいろいろ課題が多いと思われる。
 基礎科学で用いる場合にはadultで何らかのマーカーを発現させるとかに使えるのであろうか?ただ、誘導をかけない状態でも終止コドンがあるにも関わらずタンパク質の発現はゼロにはなっていないようなので、毒性のあるものやcreなどの発現調節に用いるには難しいかもしれない。

コメント(1)

geneticinを投与してからメッセージが転写を開始するまでの時間経過や、投与を中止してから、転写産物が無くなるまでのタイムコースを調べることが重要だと思う。

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