スマーフ男組による、待望のファースト・アルバムである。「奇跡の熟成とは意外にもフレッシュな味わい」という、隠れた名酒のような作品を引っ提げてのデビューなのである。濃厚なのに清涼感のある味わいとは、初心者にとって驚きの連続であり、セミプロにとってはウンチクの宝庫で、業界の大先輩が高笑いする多重構造を持つ。(以下、男子専科:敷居は低いくせにどこまでも奥深い、「おとなの特選街」における優良店のような魅力。)スマーフ男組は、そんな小宇宙を我々に披露したのだから、コレはかなりの大事件である。それにしても、2007年という「おふくろさん」騒動で大揺れ!の日本において、スマーフ男組はどこまでも真面目なロボ声トラックとともにやって来た。かなりいい大人のくせに本気のロボ声である。念のため、確認させていただくが、ロボ声は決して無感情の産物ではない。それは、現代社会における批評精神(ロボは常にシラフ!)であり、エレクトロのお約束(コンピューター・パワー!)である。スマーフ男組が本作でやってのけたことのひとつは、ごく当たり前の果てしなき日常を、ときにマッド・サイエンティスト並みに大胆不敵な、ときにOL並みに現実的な切り口で見事に風刺しているということではなかろうか。世界に誇る日本の地下クラブ・シーンで鍛え抜かれたピコピコ・スピリットが、ナマナマしく封じ込められたドキュメンタリーなのだ。硬質で限りなく歯切れの良いリズム・プロダクション、高名な音楽評論家も舌を巻くであろう研ぎ澄まされたサンプリング・センス、とにもかくにも極上の肉感的エレクトロ/ブレイクビーツ(コズミック・ディスコ入り!)でありながら、最高に痛快なポップ・ミュージック!誇り高いのに愛嬌もたっぷり!な、職人による手作りサウンド。オープニングを飾る“1,2 Smurph”〜“2,3 Smurph”を体験すると、どうにもこうにも体内の血流が猛烈にスピードアップするはずである。この2曲にヒップホップの約30年に渡る歴史が凝縮されていると言ってもいい。どんなに平静を保ったところで、Zen-La-Rockを迎え、孤高の肉体ファンク・チューンへと昇華させたACR (A Combinate-Phuture Ride)ではもうガマン出来ないはず。もちろん、アルバムはまだまだ始まったばかり。あとは、ご自分の耳と下半身で体感していただきたい。スマーフ男組による世紀を超えた一大事業、「エレクトロ片手にポップ再構築プロジェクト」の序章となる本作は全16曲。幸運な我々は、そんな偉業を現在進行形で目撃できるのである。「スマーフ男組が始まるよ!何が起きるやら、さぁお立ち会い!」 Roger Yamaha(Moonwalk Records)