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芸術の日本 美術・評論を中心にコミュの『花酔ひ』と『今日の花を摘む』について

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「花酔ひ(はなのよい・はなのえい)」とは、桜などの美しい花を眺めてうっとりすることや、花見の宴会でお酒に酔って心地よいくらいに気分が良くなることを意味します(春の季語としても使われます)。また、転じて一目惚れや片思いをして、のぼせ上がっている様子を表すこともあります。〜Gemini参照

 
 

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[あらすじ]

東京の呉服屋の一人娘、積極性の中に潔癖さと正義感を垣間見せる結城麻子は、祖父が遺した着物で家業とは別にアンティーク着物の商売を始めた。 京都の葬儀社の社長令嬢、控えめな京美人の風情の桐谷千桜は、幼い頃、伯父の手によって誰にも言えない快楽を教えられ、それ以降、結婚生活においても一度も満足したことはなかった。 千桜の夫で婿養子の桐谷正隆は、葬儀になりそうなケースを紹介してもらうため、病院の婦長とも寝る野心家だった。 麻子の夫、小野田誠司はブライダル会社の営業担当で、妻の無意識の傲慢さや天真爛漫さに苦痛を覚えていた。 着物をきっかけに、二組の夫婦が交差する。 四人の共犯関係は次第に緊張を帯び、秘密の濃度は高まり、堕ちていく。

 

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体の奥に眠る性的幻想や夫婦のありかたを端整な文章で情感豊かに描いた意欲作 〜『花酔ひ』特設サイトより

 

 

https://share.google/GrAusrhjx7Y24VGXq


村山由佳『花酔ひ』村山 由佳・著『花酔ひ』の特設サイトですshare.google

 

 

村山由佳『花酔ひ』と田中兆子『今日の花を摘む』を比較してみます。

どちらも、1964年生まれの女性作家が描く官能小説ですが、主人公の年齢が物語の性格を決定づけています。

 

『今日の花を摘む』の草野愉里子は51歳(万江島は70歳)、『花酔ひ』の結城麻子は30代後半(夫は2歳うえ)、桐谷千桜夫妻も同年代、年齢差は10数歳あるがこの10数歳は女性にとってはかなり大きい。51歳は更年期の真っただ中だからです。

 

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『今日の花を摘む』の草野愉里子は51歳の独身で、「花摘み」と称す男遊び(セックス)を生きがいにしていましたが、70歳の万江島と出会い恋に落ちます。その時期に、草野愉里子には「膣が濡れない」という更年期の障害が発生します。そして、万江島は不能でした。“濡れない”と“不能”の老人の恋、そこには「メメト・モリ(死を想え)」の通奏低音が響いています。

 


『花酔ひ』の結城麻子は30後半の主婦で、老舗呉服店の一人娘。会社勤めを辞めアンテーク着物の小売店を立ち上げる。夫婦のセックスにはあまり関心がなかったが、仕入れ先の京都で桐谷正孝と出会い恋に落ちる。「七つ下がりの雨と、しじゅうからの恋はやまない」と祖母に見抜かれる。モラリストでありながら“濡れる”女と野心家の“勃起”する男の恋、そこには「カルぺ・ディエム(今日の花を摘め)」の官能のメロディが流れている。

 


谷崎潤一郎の『卍』と『鍵』は、関西で暮らす夫婦と、一人の女あるいは一人の男を基軸に、そこに恋人が絡む。『花酔ひ』は東京と京都の二組の夫婦がクロスする。東京と京都の大人の遠距離恋愛物語は東海道新幹線が開通(1964年)して身近になりましたが、川端康成の『美しさと哀しみと』(1961ー63年)が先行する小説かもしれません。

『花酔ひ』は「着物」という伝統的なモチーフを通じて、“京ことば”と“東京ことば”がクロスする物語でもあります。

二組の夫婦のクロスは、いわゆるスワッピングではなく、天真爛漫な麻子だけが夫と千桜との関係を知らないところがミソ。四人の男女が織りなす展開は、フランスの情痴小説のように面白い。

 

『今日の花を摘む』は東京と神奈川の横須賀と移動距離は短いですが、「茶の湯」というモチーフで茶室、茶道具と深堀していく舞台設定があります。また、川端康成の『千羽鶴』の茶道の魅力と皮肉のスタンスを踏襲しているようです。


『花酔ひ』がもっぱら四人の男女の情痴小説となっているのに対して、『今日の花を摘む』は更年期の独身女性と不能老人の特異な恋愛に、企業のセクシュアルハラスメントを糾弾する女性の連帯、という恋愛小説にはなじまない異物をうまく挟んで、しかも破綻せずに、物語にリアリティと今日感を生み出すことに成功しています。

 



最後に、

村山由佳と田中兆子の経歴を



村山由佳(1964―)


村山由佳は東京都生まれで、立教女学院の小・中・高から立教大学を卒業し、数年の会社員生活を経て、主婦となり、1993年(29歳)に作家デビュー。2003年に『星々の舟』で直木賞受賞。2度の離婚を経て、現在5歳下のいとこと3度目の結婚中。

彼女はインタビューで、こう話しています…

「ずっと恋はしていましたね。全く褒められたことではないのですが、いつも新しく好きな人ができたことを機に、前の人と別れてきました。人を好きになるときは頭で考えたりしないし、好きになったら飛び込んでみようという性格。それは今更変えられないから、仕方ないかなって」

「恋愛をもうやめたいということはあったと思うんです。けれど、ずっと自己肯定ができなかった自分にとって、恋愛は承認欲求を満たすもの。恋愛への依存がありました」

こういった経験が、小説に活かされているんですね。



田中兆子(1964―)

富山県生まれ。大学を卒業して会社員生活(営業職)を8年経験し、専業主婦に。40歳を過ぎてから小説家となる。2011年(47歳)短編『べしみ』でデビュー。女による女のためのR―18文学賞大賞受賞。2023年『今日の花を摘む』で本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞受賞。




『花酔ひ』女性作家が描く

第一級の情痴小説です


★★★☆/非常に優れた「秀作(Good)」


『今日の花を摘む(カルペ・ディエム)』が実はメメント・モリで、


『花酔ひ』はカルペ・ディエム

でした


両書ともお勧めします(⁠θ⁠‿⁠θ⁠)



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