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芸術の日本 美術・評論を中心にコミュの《今日の花を摘む》田中兆子

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これから更年期を迎える人、
更年期真っ只中の人、

刮目すべき小説です


写真��


『私の趣味は男性との肉体を伴ったかりそめの恋。それを、ひそかに 「花摘み」と呼んでいる――。 出版社に勤めながら茶道を嗜む愉里子は、一見地味な 51歳の独身女性。だが人生を折り返した今、「今日が一番若い」と日々を謳歌するように花摘みを愉しんでいた。そんな愉里子の前に初めて、恋の終わりを怖れさせる男が現れた。茶の湯の粋人、70歳の万江島だ。 だが彼には、ある秘密があった・・・・・・。



自分の心と身体を偽らない女たちの姿と、 その連帯を描く。



第3回本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞受賞作。』文庫本裏面より





東京北区に住む、一見地味な51歳の独身女性草野愉里子の趣味は “花摘み” =男性を猟色する女性ドン・ファンです



門あさみの「ロマン遊泳」1982年を思い出します



https://youtu.be/OnEisoRFvLI?si=f4fGceyAAlItIsV8

“〜

ロマン遊泳やめないわ

誰もとがめないで

贅沢に大胆に

ロマン遊泳続けるわ

永久に揺れていたい

テクニシャルレディー ”





草野愉里子は “茶の湯” を嗜んでいます

横須賀の豪邸に住む、70歳の万江島は茶の粋人で、資産家の独身(妻は他界)


51歳の奔放な独身女性と70歳のお金持ちの大人の恋愛小説と思いきや・・・





純文学系の小説の場合、女性と男性の恋愛を “茶の湯” という芸道を舞台に描くと、茶事(亭主客/内容)や茶道具がモチーフになり、女性、男性の生活や仕事などは詳しく描かれません (川端康成『千羽鶴』など)

川端康成の『千羽鶴』と『今日の花を摘む』は同じ“茶の湯”を舞台にしていますがあらゆる面で対極的です…



しかし、この小説の主人公草野愉里子は、より条件のよい男性を探しているうちに中年になったのではなく、結婚しないことを自らの意志で選んだ未婚女性です



彼女にとって、会社(員生活)は生きるために重要な経済基盤=*ゲゼルシャフトだけではなく、より共同体的な場所=*ゲマインシャフトにもなっています



そのため、この小説では会社での人間関係、会社の男性優位社会へのアジテートと女性の連携が、小説の重要な一方のテーマになっています



*ゲマインシャフト(共同体)とゲゼルシャフト(利益社会)は、ドイツの社会学者フェルディナント・テンニースが提唱した、人間の結びつきを分類する二つの基本概念です。前者は血縁や地縁による自然発生的な絆、後者は利害や目的のための合理的な契約関係を指します。



写真��

万江島は会津の「鰊鉢」を平水指に見立てた




さらに、“茶の湯” は会社や家族という土台となる下部構造に対して、芸術・文化の上部構造であり、自己を見つめる精神的な場所として描かれます

対して、“花摘み” は性的快楽と女性性の確認のための生きがいのようです





《今日の花摘み》は、大人(更年期)の恋愛小説であり、“茶の湯” の魅力を描く芸道小説であり、男性優位の企業社会へのアジテートであり、介護問題であり、なにより『独身でいるという生き方』をテーマとした刮目すべき小説です



現代のSNSやネットコミュニティは、ゲマインシャフト的でありながら、いつでもブロックして抜け出せるゲゼルシャフト的特徴があります



恋愛も結婚も、ゲゼルシャフト的(利害優先)志向になっていますが、この小説は本来のゲマインシャフト的恋愛を取り戻そうとしているのかもしれません






愉里子と万江島の茶室での最後の

会話の緊張感はすばらしい!!



「あの・・・もしよろしければ、一椀の茶をおもあいでいただきませんか」



★★★★/最高評価。日本文学史に残るような(少なくとも更年期恋愛の)「傑作(Masterpiece)」



なぜ主要な文学賞にノミネートされていないのかが不思議です



「今日一日の花を摘み取ることだ。明日が来るなんてちっともあてにはできないのだから」古代ローマの詩人ホラティウスの詩に由来する言葉



「これからの人生今日が一番若く、残りの時間はそう多くない」と “花摘み” に励む、草野愉里子と周りの女性たちの心身の変化が小説の肝です



『女子、三日会わざれば刮目して

見よ』ですね



写真��

著者:田中兆子 たなか・ちょうこ

1964年 富山県生まれ


2011年、短編「べしみ」で第10回女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞する。14年、同作を含む連作短編集『甘いお菓子は食べません』でデビュー。 19年『徴産制』で第18回Sense of Gender賞大賞、23年に本作で第3回本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞を受賞。その他の著書に『私のことならほっといて』 『あとを継ぐひと』『おとなりさんなんて怖くない』など。… 文庫本より



コメント(2)

カルペ・ディエム…先日帰天された山田五郎さんが最期に言ってましたね〜…彼の口から語られるとより切実なものに感じて涙してしまいましたが。この小説も面白そうです顔(笑)
>>[1]
かなり面白いのでお勧めします。主人公の高校時代の友人のサブストーリーがいいです。

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