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意味不明小説(ショートショート)コミュの透明人間

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透明人間なるものについて考えるとき、あまねき思考の推移していく方向性は、恐らくと、平常を抑制しきっている、凡その変態嗜好を含蓄する、あられもない欲望衝動の解放。
多分に、もはや口にするのも憚れるような、妄りがわしき行為の数々が、脳裡でめまぐるしく展開していくに相違ない。
しかし乍ら、透明人間として、思い至る欲望主導の暴虐の限りを尽くしてみたとて、せいぜい一週間。この程度の日数があれば、きっと一切は遣り尽くせてしまうのではなかろうか。
否、自身に秘密工作員や暗殺者等という、特殊な事情が在れば、話は別だが。
けだし、凡庸の人なれば、透明人間冥利を愉快に楽しめる期間など、存外短い筈だと思われる。
何故ならば、透明人間が、善くも悪くも、透明人間としての超人的な仕業に、幾ら勤しもうとも、此れに驚愕する傍観者たちの視線の延長線上にさえ、透明人間の存在は、全く以て、透明なのである。
詰まりは、目につかぬことを利する、欲望の専攻している裡はそれで良い。
だが、確かに此処に自分は存在しているというのに、その存在を誰も認識してやくれない。そういった類いの、堪らない情緒的な侘しさが、次第に欲望を押し退けてしまうのではなかろうか。
或いは、この寂しさに堪えきれず、透明人間が自殺を試みたとする。さりとて、こんな自害の重要な場面さえ、人に知られぬばかりか、片隅に転がる透明な死骸に気付ける者とて、恐らくは誰一人として無かろう。
ただ、界隈に立ち込める、謎の腐臭に、不本意なる騒動を巻き起こせる、くらいのことが関の山か。
要するに、ありとあらゆる欲望を、為し得べきものと思われた透明人間にも、実は果たし得ぬ欲望が、一つだけあったという事実。
それは自己顕示欲。
数多の変態嗜好について考えると、透明人間への妄想は、少々惜しまれもするが、こうして熟々鑑みるに、この変態という行為さえ、明確なオントロギーの上に成り立てばこそ、手応えのあるべきもの。
変態も、己れの存在を誇示する為の変態でなければ、変態である甲斐性は、恐らくは、見つけ難いということ。
概略、話は随分と変態に反れてしまったが、とにかく、文脈の隙間から、思いを汲んでもらえたなら、それで良い。




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