意味不明小説(ショートショート)コミュの浪費家

自慢ではないが、私は浪費家である。私にとって、財布の重さとは、ヘリウムガスの様なものでしかない。私にとって、福沢諭吉とは、なんとも足軽で、浮気ものでしかない。

毎度、私は自制心を持ち、過去の過ちを悔い、もう決して繰り返すまいと、念仏のように唱えては、行き付けのパスタ屋で、カルボナーラスパゲッティと、パルマハムと、デザートにイタリアンジェラートを食べる。そうしてまた、反省をする。

しかし、その度重なる過ちを元に私は考える。体を酷使し、心を磨耗し、そうしてやっと手にした賃金を、どうしたら心行くまま使わずにいられようか。

私の生活。日々同じ事の繰り返し、波打ち際の砂の様な生活には煌めきが必要だ。そのままでは質素なカレーライスに、ついついカツと、ホウレン草と、チーズをトッピングしなければならない。帰り道に、アイスクリームを１つ食べなければならない。

買っても勿体なくて、月に一度しか着ないポールスミスのシャツを買おう。時間が無いを口癖に、レンタルビデオ屋に行こう。見もしない洋画を借りて、延滞金を払おう。味の違いなど到底分からないのに、良いワインを買おう。チーズもセットで。

今日くらい、平気だ。私はよく頑張っている。褒美だと考えればよい。そうやって私は毎日絶えずに自分を褒め称えている。私は毎日、それとなく苦労している。ストレスと、浪費は比例している。

自慢ではないが私は浪費家である。