四国/愛媛はエム・シオザキ弦楽器工房の塩崎雅亮氏。日本におけるビンテージギター研究家・製作家の先駆け的存在とも呼べる巨匠ながら、今なおその研究熱心な姿勢に陰りを見せない進化する国内有数・ベテランルシアー。本器は憧れのラージサウンドホール、その詳細なスペックを盛込んだ"D-2-1935 LS Jacaranda"。先に開催のSound Messe in Osaka2018でも展示された意欲溢れる1本。トップには氏が最近好んで使用するエイジングアディロンダックスプルースを使用(国内にてエイジング処理を施された材で、氏曰くノミを入れた時の脆い感触がヴィンテージギターとそっくりとの事。ブレイシング材にも同材が使用されています。)、サイド&バックには緑味がかったスパイダーグレインの美事なオールドグロウス柾目ハカランダを使用。ワンピースホンジュラスマホガニーネック、エボニー指板&ブリッジ、ロングサドル、ウェバリーオープンバックペグ、ノーポジションマークのアイボロイドバインディング指板、641.3mmスケール、Torto Guard PG製TR-CW柄ピックガード、ラージサウンドホール、ヘリンボーントリム、ジグザグバックストリップ、スチースTバーロッドネック補強芯、ニカワ接着。過去に培った様々なデータを元に細部まで精巧に再現された憧れが具現化した1本。有名なラージサウンドホールですが、実はかねてより謎がありました。Martin社でもよく再現されているラージサウンドホールなのですが、フォワードシフトブレイスではブレイシングに当たってしまい実機の位置までサウンドホールを広げることができません。しかし、実際に1934~35年初期の"D-28"は一般的なフォワードシフトの位置/サウンドホールより約25.4mm(1インチ)とは異なり、サウンドホールより約30.0mmの位置に交点が位置しています。本器は過去に実寸した1934年製"D-28"より得たデータを元に再現。このブレイシング位置だとオリジナルと同じ位置/9プライ口輪ギリギリまでサウンドホールが広がります。また、塩崎氏の拘りにより現存するラージサウンドホール同様にリプレイスされた少しオーバーサイズのブリッジも再現。また、本器の塗装には特殊なエイジングラッカーを使用しており、その経年を楽しめるのも楽しみのひとつです。ヘリンボーンやジグザグバックストリップなどの作り込みももちろん、ピックガードなどの外観、細かな作り込みに至るまで、他者とは一線を画す完成度。そのこだわりとサウンドを存分に味わえる渾身の1本に仕上げられています。本家や有名な舶来ブランドに引けをとるどころか、塩崎氏のギターでしか味わえない洗練された完成度とディテイル・サウンドをお手元でご賞味ください。