米国同時多発ﾃﾛ事件の余波が残る2001年11月12日、American航空587便(A300-600型機)は乗員9名と乗客251名を乗せて、NY州JFK空港からDominica共和国Las Americas空港へ向かおうとしていた。同便は成田行きのJAL47便(B747型機)の次にRwy31LへLine-upした。Sten Molin副操縦士はEd States機長にJAL47便との間隔は大丈夫か？と尋ねたところ、機長はJAL47便が離陸した後どんどん離れていくから大丈夫だと答えたので、9:14amに離陸した。AAL587便はJamaica湾上空を左旋回しながら13,000ftまで上昇指示があった。度々、後方乱気流と思われる揺れがあり、その度にMolin副操縦士は大きく舵を左右に切って機体を安定化させようとした。States機長が御前大丈夫か？と尋ねた後、機体は急にｺﾝﾄﾛｰﾙ不能となり、Molin副操縦士はMax power!とｺｰﾙした。機長はHang on to it!と機体の立て直しを図ったが、機体は機首から真っ逆さまにQueen区の住宅街に向かって墜落した。乗員9名、乗客251名、それに地上の4名が死亡した。
9/11同時多発ﾃﾛ事件から2か月しか経っていなかったため、当初はNY近辺の空港が閉鎖となり、上空には戦闘機が迎撃態勢を取って周囲を警戒した。事故調査はFBI幹部のBarry Mawnらが陣頭指揮を執り、NTSBもﾍﾞﾃﾗﾝのRobert Benzonや地元出身のBrian Murphyらを投入した。FBIのBomb Techは残骸から爆発物が検出されず、事故機の垂直尾翼がJamaica湾から引き揚げられて、ﾃﾛの可能性はほぼ否定的となった。
回収されたFDRを分析すると、墜落の30秒前からrudderを左右へ大きく踏み込んでいたことが分かった。CVRには爆発音はなく、FDRで垂直尾翼が破断したﾀｲﾐﾝｸﾞで、CVRにもjolt音が記録されていた。
垂直尾翼は3つのpinで胴体部分に留められているが、そのﾏｳﾝﾄに問題があって折れたのではないかとの仮説が立てられた。MurphyらはAirbus社へ出向いて、ﾏｳﾝﾄに外力をかける実験を行うと、当初の耐久力である10万Lbsでは何ら問題なく、203,100Lbsで破断した。JAL47便のwake turbulenceでそれ程のsuper wakeが発生するのか、NASAの専門家が解析したところ、5.1-5.3NM離れていれば問題なかったと結論された。それではruderを11°まで最大に左右へ振り切ったらばどうなるかを、Murphyらがｺﾝﾋﾟｭｰﾀsimulationしたところ、composite mountは破断すると判定された。
かつてMolin副操縦士と一緒に飛んだ同僚らは、彼が後方乱気流でover-reactしていたことを証言しており、事故の7年前にも同様な対処をしていたことが分かった。その際に機長が何故そのような操縦をするのか尋ねたところ、本人はAALのsimulator訓練でそう習ったと答えたとういう。Molin副操縦士の訓練課題として、Uncommanded roll, Engine failure, High altitude upsetが挙げられており、同社では90°旋回した状態からrudderを入れ続ける操作をして回復させえる訓練を受けていたという。
NTSBはAALに対して、極端な訓練はしないこと、高速でrudderを大きく操作しない訓練を行うことを勧告した。
9/11同時多発ﾃﾛ事件から2か月しか経っていなかったため、当初はNY近辺の空港が閉鎖となり、上空には戦闘機が迎撃態勢を取って周囲を警戒した。事故調査はFBI幹部のBarry Mawnらが陣頭指揮を執り、NTSBもﾍﾞﾃﾗﾝのRobert Benzonや地元出身のBrian Murphyらを投入した。FBIのBomb Techは残骸から爆発物が検出されず、事故機の垂直尾翼がJamaica湾から引き揚げられて、ﾃﾛの可能性はほぼ否定的となった。
回収されたFDRを分析すると、墜落の30秒前からrudderを左右へ大きく踏み込んでいたことが分かった。CVRには爆発音はなく、FDRで垂直尾翼が破断したﾀｲﾐﾝｸﾞで、CVRにもjolt音が記録されていた。
垂直尾翼は3つのpinで胴体部分に留められているが、そのﾏｳﾝﾄに問題があって折れたのではないかとの仮説が立てられた。MurphyらはAirbus社へ出向いて、ﾏｳﾝﾄに外力をかける実験を行うと、当初の耐久力である10万Lbsでは何ら問題なく、203,100Lbsで破断した。JAL47便のwake turbulenceでそれ程のsuper wakeが発生するのか、NASAの専門家が解析したところ、5.1-5.3NM離れていれば問題なかったと結論された。それではruderを11°まで最大に左右へ振り切ったらばどうなるかを、Murphyらがｺﾝﾋﾟｭｰﾀsimulationしたところ、composite mountは破断すると判定された。
かつてMolin副操縦士と一緒に飛んだ同僚らは、彼が後方乱気流でover-reactしていたことを証言しており、事故の7年前にも同様な対処をしていたことが分かった。その際に機長が何故そのような操縦をするのか尋ねたところ、本人はAALのsimulator訓練でそう習ったと答えたとういう。Molin副操縦士の訓練課題として、Uncommanded roll, Engine failure, High altitude upsetが挙げられており、同社では90°旋回した状態からrudderを入れ続ける操作をして回復させえる訓練を受けていたという。
NTSBはAALに対して、極端な訓練はしないこと、高速でrudderを大きく操作しない訓練を行うことを勧告した。
|
|
|
|
コメント(2)
9/11同時多発ﾃﾛ事件から間もない時期に発生した大事故であっただけに、当初は米国政府や地域住民に大きな不安を与えたことだろう。老練なBob Benzonが最も難しい事故捜査であったと回想しているのが印象的だ。
rudderを左右に最大限踏み込めば、slipとskidを繰り返して、さぞかし乗り心地の悪い不安定な飛び方になった筈で、どうしてこのような飛び方について、機長らがMolin副操縦士へ指導しなかったのか不思議である。他の若手操縦士の中に、同様な極端な操縦をしていた者はいなかったのだろうか？FAAやAirbus社はこのような極端な操縦訓練を止めるよう通達しており、悪質な訓練を続けていたAmerican航空にも責任がある筈だ。
rudderを左右に最大限踏み込めば、slipとskidを繰り返して、さぞかし乗り心地の悪い不安定な飛び方になった筈で、どうしてこのような飛び方について、機長らがMolin副操縦士へ指導しなかったのか不思議である。他の若手操縦士の中に、同様な極端な操縦をしていた者はいなかったのだろうか？FAAやAirbus社はこのような極端な操縦訓練を止めるよう通達しており、悪質な訓練を続けていたAmerican航空にも責任がある筈だ。
- mixiユーザー
- ログインしてコメントしよう！
|
|
|
|
MAYDAY メーデー！ナショジオ 更新情報
-
最新のイベント
-
まだ何もありません
-
-
最新のアンケート
-
まだ何もありません
-
MAYDAY メーデー！ナショジオのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています
人気コミュニティランキング
- 1位
- 音楽が無いと生きていけない
- 195992人
- 2位
- マイミク募集はここで。
- 89466人
- 3位
- 写真を撮るのが好き
- 208277人