MAYDAY メーデー！ナショジオコミュのFATAL FIXATION United Airlines 173便燃料切れ事故

1978年12月28日、米国CO州Denver空港からOR州Portland空港へ向かっていたUnited航空173便(DC-8型機)は、乗員乗客189名を搭乗させて、Portland空港の35km手前まで降下していた。Edward Kingrey管制官からRwy28への着陸許可が出ていたが、着陸装置を展開しようとしたところ、乗客が驚くような衝撃音があった。Frest Mendenhall航空機関士が主翼根本のgear-lookﾎﾞﾀﾝが飛び出しているかを確認するため客室へ出てきて、懐中電灯で照らして確認した。しかしMarvan McBroom機長はlanding-gearﾗﾝﾌﾟの１つが点滅していたため、本当にｷﾞｱが展開したか確信できず、空港南方でholdingをしてﾏﾆｭｱﾙ対処することとした。Ron Beebe副操縦士がmanualを確認して問題なさそうと思われたが、McBroom機長は納得できず、結局holdingが90分続いた。乗客らは着陸時の衝撃に備えて、宝飾品などを外してbrace positionを取るよう指示された。McBroom機長はあと15分飛べると判断したが、Beebe副操縦士とMendenhall航空機関士は残燃料は15分もないと警告した。結局機長の判断に異議を唱えられず、gear warning hornを更にholdingしたところｴﾝｼﾞﾝ2基が停止し、間もなく残り2基も止まった。Portland郊外の暗い闇を目指して強制着陸を試み、高層ｱﾊﾟｰﾄを掠めながら、18:15にRwy28から南東へ5NM外れた木立の多い住宅街へ突っ込んだ。幸い胴体部分の損傷は少なく、火災が発生しなかったため、死亡したのは乗客8名と客室乗務員1名、それにMendenhall航空機関士の10名に留まった。
NTSBのAlain Al DielとDennis Grossiはblackboxを回収して解析へ回し、不時着地点から離れた地点で右着陸装置を発見した。ﾎﾞﾙﾄが錆びていたが、それ以外の異状はなかった。CVRを解析すると、F/E: We're loosing engines. PIC: Why...? F/O: Fuel... PIC: Open the cross feed valve...と機長はｴﾝｼﾞﾝ停止が燃料切れ(fuel starvation)であることをすっかり失念しているようだった。機長が残燃料15分とｺｰﾙした際に燃料計には5,000Lbの燃料が残っていた。Grossi調査官は航行中に燃料が想定以上に消費された可能性を検討したが、実際は通常通りの消費量と分かった。機長が着陸装置が降りていない恐れがあるとfixation biasに陥り、副操縦士と航空機関士は燃料切れが迫っている方がより深刻と考えたが、CRMが作用せず機長の妄信を止められなかった。McBroom機長は事故後間もなく引退し、数年後にAimee Connerら生存者と追悼式典に参列して、その後亡くなった。

コメント(2)

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[1] mixiユーザー 10月31日 14:24

老練なﾍﾞﾃﾗﾝ機長が些細なことに拘って、大局的な航空安全を見誤るのはEastern航空401便のL1011墜落事故(FATAL DISTRACTION)でも見られたことだ。歳を取ると、周囲が見えなくなるのは、great captainでも避けられない。今回の事故はF/OとF/Eがそれに気づいていながら制止できなかった、CRMの欠如に最大の問題があった。この事故を受けて、United航空では航空会社で初めてCockpit Resources Managementの思想を導入した。機長が全てを決定するのではなく、乗務員が合意して次のｽﾃｯﾌﾟへ進む考え方は確かに誤解や誤謬を減らすのに効果があるだろうが、2名乗務で副操縦士が機長の考え方を諫めるのは、機長へも相当な教育が必要だろう。今日では、AIによるｺﾝﾋﾟｭｰﾀ判断との対処となっている。

[2] mixiユーザー 10月31日 14:30

Beebe副操縦士(Donald Burda)とMendenhall航空機関士(Tim Gammon)が燃料切れを盛んに指摘していたのに、McBroom機長(Bill Lake)が偏狭なfixationに固執して、ｴﾝｼﾞﾝ停止して我に戻ったところが番組の圧巻だった。

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