MAYDAY メーデー！ナショジオコミュのDITCH THE PLANE Tuni Inter Air 1153便不時着水事故

2005年8月6日、Italy南部のBari空港からTunisiaのTunis空港へ向かっていたTuni Inter Air 1153便(ATR72型機、登録機番TB-LSB)はShafik Gharbi機長とAlica Kebaier副操縦士の操縦で、14:30に離陸して45SM南方の地中海上を飛行していた。
突然右ｴﾝｼﾞﾝの出力が低下したため、機長はFL170へ降下を要請し、再ｽﾀｰﾄを試みた。その2分後に左ｴﾝｼﾞﾝも停止して、同機は800fpmで降下し始めた。機長はMaydayを宣言し、最寄りの飛行場をATCに問い合わせたが、Palelmo空港が48NM先であった。残燃料は900kg×２槽であり、機長は到達は不可能と判断して、地中海へのditchingを決断した。高度7,000ftで海上に船舶が見られたので、そこに目掛けて機体を着水させた。ditchingの衝撃で尾部が破断したが、両翼は浮遊していて、機外へ脱出できた乗員乗客は翼に上ったり、つかまったりして救助された。機長、副操縦士と機体後部の乗客ら23名は生存したが、航空機関士ら16名は死亡した。
Italy航空機事故調査委員会ANSVのVincento Pennettaらは遭難現場から両翼と胴体中央部を回収し、ATR社のGuiseppe Caldarelliの応援を得て、残骸に異常がなかったかを調べた。機長と副操縦士から別個に事情聴取し、機長は残燃料が1,800kgあったこと、副操縦士からはLow feedの表示があったことを受け、燃料系統のpipeが抜けたか詰まったことを想定した。燃料のcontaminantsとして水、真菌、化学物質が考えられ、Bari空港の給油車から同燃料のｻﾝﾌﾟﾘﾝｸﾞを行ったが、問題は見当たらなかった。給油ﾌｨﾙﾀｰにも異常はなかった。
事故機の書類を確認すると、Ghalbi機長自身がFQI(Fuel Quantity Indicator)が不調であることを過去に記述しており、その後取り換えられたFQIがATR-42型用のものであった可能性が出てきた。ANSVは地中海底に沈んた機体の操縦席部分を引き上げたところ、間違ったFQIが取り付けられていた。またATR-72に同42型機用のFQIを装着してrefuelingﾃｽﾄをおこなったところ、燃料が枯渇した段階でFQIは1,807kgを表示していて、機長の証言が裏付けられた。
Bari空港出発前にATR-42型機用のFQI(TK2500)が取り付けられ、残燃料表示が1,550kgに増えていたが、refueling slipがなかったので、機長はdispatcherへ燃料追加の有無を問い合わせた。refuelingされていないと返答があったが、機長は2,700kg入っていると決めつけてしまった。実際には540kgしかなかったので、途中で燃料切れになったことと辻褄が合った。

コメント(3)

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[1] mixiユーザー 09月30日 18:56

FQIのﾃﾞｻﾞｲﾝがATR-42型と72型機でそっくりなため、充分に気を付けて発注しないと誤った型番のFQIが装備されてしまうﾐｽが発生する。生憎それが地中海上で発生した。番組内ではATRのﾃｽﾄﾊﾟｲﾛｯﾄであるEric Pelesalleが同じ条件でProp featherにしてbest glide speedである152ktで滑空したとこころ、追い風であったこともあり、Palermo空港まで到達できたとSimulatorで証明している。実際ｴﾝｼﾞﾝ再ｽﾀｰﾄを試みていたので、featherはあり得なかったのだろうが、早々に諦めずになるべくPalermoまで頑張るべきだったのだろう。離陸前の不可解な残燃料量の増加について、機長はANSVにはどう説明したのだろうか？

[2] mixiユーザー 09月30日 18:59

機長役のJeff Seymourと副操縦士役のAsim Waliは、ditchingを決心した時の悲壮な表情が印象的だった。ANSVのPannetta調査官(Peter Didiano)は見るからにItalianという風貌で、Local色がよく出ている。

[3] mixiユーザー 09月30日 19:02

不時着水する際に、機内でlifevestを膨らませてしまった男は生還できたが、そのﾌｨｱﾝｾはきとんと作動させずにいたが生存できなかった。lifevestを機内で膨らませてしまうと体が浮いてしまい、脱出がうまく出来なくなるとは限らないようだ。

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