MAYDAY メーデー！ナショジオコミュのCAUGHT IN A JAM Ansset New Zealand 703便着陸失敗事故

1995年6月9日、18名の乗客を乗せたAnsset New Zealand 703便(Dash-8 100型機)は、Auckland空港から北島のPalmerston North空港へ向けて、9am過ぎに着陸態勢に入っていた。Gany Sotheran機長とBarry Brown副操縦士は、着陸装置を展開しようとしたところ、右脚が展開していないとの表示が出た。客室内でもCarrie Gallagherｷｬﾋﾞﾝｱﾃﾝﾀﾞﾝﾄが窓越しにそれに気づいた。彼女はそれを操縦室へ伝えに行くと、操縦士らは手動で右脚を展開しようと試みていた。速度を140ktまで落として、天井にある引き出し用のwireを引いて展開を試みた。その間、Gallagher嬢は客室のarimrestに腰を下ろして、乗客に状況を説明していた。すると突然に機体は丘に機首から突っ込んでﾊﾞｳﾝﾄﾞしながら総突を繰り返し、機体は大破して止まった。火災は発生しなかったが、多くの乗客が残骸に挟まって脱出できず、脱出出来ても外気が大変冷たかった。3名の乗客とGallagherが犠牲となった。
乗客の1人であったWilliam McGrouryが機外で偶然にも自分の手提げｶﾊﾞﾝを見つけて、この中に入っていた携帯電話で救助を求めた。墜落地点が分らず、生存した別の男性に近くの様子を見に行ってもらい、Palmerston北空港管制塔の管制官へその様子を伝えて、救援ﾍﾘから探してもらった。墜落時点はRwy25から10NM手前の牧草地であった。
NZ航空機事故調査委員会(TAIC)はCanadaのLarry Vance調査官とDash8-100技術者のJim Donnellyを事故調査委員に招き入れて、事故現場の実地検分を行った。まずnose gearが接地して、その後右脚は接地せずに大破していていた。胴体部の残骸はRussa製ﾍﾘで吊り上げて、近くの格納庫へ運び出した。
残骸を検証したところ、gear downのﾗｯﾁ部分が多少窪んでいて、gearが展開しなかった可能性が指摘された。同社の着陸装置は展開がslowで、度々Alternateの手動展開が行われていたことが判明したが、手動のwireの信頼性は100%であったという。
改修されたCVRとFDRを分析すると、Ohakea app. ctrから空港手前10NMで管制塔へ連絡するよう指示され、その後着陸装置が展開しないため、副操縦士が手動展開の手順を確認しているうちに、高度が1,400ftまで低下していたことが判明した。この間の降下率は12,035fpmと急激であった。GPWS(対地接近警報装置)の警報音で気づいたものの、throttle上昇は手遅れで、あと17秒早く気づいていれば、墜落は回避できた可能性が指摘された。回収されたGPWSに不調はなかった。墜落地点近傍にTelecom塔があり、そこからの干渉がなかったかも検討されたが、使用周波数は異なっており、否定的であった。
GPWSのantenna部分には塗装をしないことが規定されていたが、同社の機体にあるGPWSには塗装がなされており、これが電波高度計の感度を狂わせていた可能性があった。

コメント(2)

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[1] mixiユーザー 12月27日 19:10

着陸前の故障について乗員が囚われ過ぎで墜落する事故では、Eastern航空のL1011墜落事故が筆頭であるが、これも類似の状況である。元AIIB調査官であったNeil McAirは"Time is friend"であり、gear down不調でmissed approachを開始すべきだったと解説している。Continuation biasという続けていきたい衝動が事故につながったということだ。"give yourself time"というのが今回の事故からの教訓とのこと。Sotherran機長は2000年にNZ高裁で殺人罪の裁判を受けたが、2006年に無罪を勝ち取った。それにしても一瞬の油断が、pilot人生を滅茶苦茶にしてしまった。

[2] mixiユーザー 12月27日 19:12

同社の着陸装置に異常が多発していたとしても、客室からそれに気づいいたGallapher客室乗務員(Brittany Rae Robinson)は大したものだ。まさか丘陵地帯に激突するとは思っていなかっただろうが、arimrestにちょこんと腰かけていたのは運命を左右する不注意だった。

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