2008年11月27日、Air New Zealandへリース予定であったXL888T便(A320型機)は、acceptance flightのためANZのBrian Horrell査察機長や整備士ら3名を乗せて、Norvat Kaeppell機長とTheador Ketzer副操縦士によってFranceのPerpignam空港をRwy33を離陸して、仏西国境沿いにBordeaux方面へ飛行した。FL310で30°の360°急旋回を行おうとしたところ、Bordeaux管制から航空路でそのようなマニューバーは許可できないと却下された。やむを得ずPerpignam空港へ引き返すこととし、途中で幾つかの課題をこなして行った。pitch upにてstallを引き起こしstick forwardで回復させる課題を実施したところ、機首が下がらず、同機は地中海へ墜落した。 FranceのBEAはSebastian DavidをLeaderとして、Yann Torresらと共に海底よりFDRとCVRを回収した。これらは海水による損傷があり、Johan Condetteらが努力して再生を試みたが叶わず、結局Hanewell社へ送付された。解析してみると、事故機は速度超過、急上昇や降下を行っており、Bordeaux管制から急旋回を断られて出発空港へ戻ったことも航跡から確認された。15:33に低速飛行から失速回復を行なっている最中に、Kaeppel機長は"pitching up all the time!"と叫んで墜落していた。FDRでは2つあるAngle of Attackセンサーが両方とも故障していたようで、ダイバーが墜落地点の海底からセンサーを回収した。これらの動作試験では問題なかったが、センサーの周辺部に塗装が残っており、同センサーのvaneに塗料が付着して動作不良になっていた可能性が考えられた。 同社の整備記録をみると、EAS社でXL社仕様からANZの塗装が行われ、A/A計にカバーがかけられていた。実際にvaneの動作には異常はなかった。しかし塵埃を落とす作業の際に、通常は行われない高圧水道水による水洗作業があり、これで内部に水分が浸水していた可能性が考えられた。そのため、高高度で飛行後にvaneが凍結して、正常に作動しなかった可能性が考えられた。 誤作動発生当時、機長はfull throttleとしてpitch full fowardを試みたが、計器が示した"use manual pitch trim"は行わなかった。BEAは乗員らは何ら曇りない経歴の持ち主であったが、自動操縦装置を過信してしまったと結論した。