MAYDAY メーデー！ナショジオコミュのTERROR IN SAN FRANCISCO Asiana航空214便着陸失敗事故

2013年7月6日、韓国Seoul仁川空港から米国San Francisco空港へ向かっていたAsiana航空214便(B-777型機)は、金門橋を見ながら右旋回して、RWY28Lへvisualｱﾌﾟﾛｰﾁしていた。左席で操縦していたK.K.Leeは昇格訓練中の若手で、先任のC.M.Lee機長が右席に座って監督する形で操縦をしていた。乗客291人のうちには、中国からの修学旅行生が多数含まれていた。視程は10SMあり良好であったが、Glide slopeがﾒｲﾝﾃﾅﾝｽで不作動となっていた。RWY28Lへ着陸の許可が下りて、最終着陸態勢に入った。PALSの手前で"Terrain...pull up!"の警告音がなり、左席のLee機長はGo-aroundを開始したが反応が間に合わず、機体後部が滑走路手前の護岸に衝突。尾翼部が外れ、機体は左旋回しながら左主翼がもぎ取られる形で停止。緊急脱出用slideは事故機には8か所設置されていたが、左側前方の2か所しか展開しなかった。主翼の上にあった脱出口からは、乗客のBen Levyらが他の乗客を翼へ飛び降りさせて避難した。緊急脱出用slideが機内で作動してしまった箇所では、客室乗務員が高圧で膨らんだslideに壁に押し付けられて、身動きが取れなくなった。機内備え付けの破壊用斧でslideを破って萎めた。
中国浙江省からの修学旅行生3名が犠牲となった。このうち2名は衝突の衝撃で機外へ放り出され、その1名は緊急車両に轢れたが、検視によれば二人ともSeatbeltをしていなかったため、機外へ放り出された時点で即死していたと分かった。
B-777型機は1995年の就役以来死亡事故がなく、BA38便が英国Heathlow空港で燃料系統が凍結して両ｴﾝｼﾞﾝ停止したのが唯一の重大事故であった。NTSBからはBill EnglishがLeaderとなり、Bil Bramble, Jason Fedok, Roger Cox調査官ら多数が参加した。事故機のｴﾝｼﾞﾝは正常に作動しており、燃料系統にも異常は認めなかった。G/Sはﾒｲﾝﾃﾅﾝｽ中だったが、先行機のSKW626便などは問題なく着陸出来ており、これが主原因とは考えにくかった。
FDRを解析すると、事故機はSlum dumpｱﾌﾟﾛｰﾁとも呼ばれるFast & steep approachが出来ておらず、当初降下率が少なく、途中で大きくなっていた。降下率が不安定であったことについて、左席のLee機長は右席のLee査察機長からの心理的重圧を受けており、適切に対処できなかった可能性があった。
緊急脱出用Slideが機外で適正に展開しなかった点について、高速で衝撃を受けるとそうなることが実験で判明し、NTSBはFAAに是正を勧告した。

コメント(2)

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[1] mixiユーザー 08月09日 09:20

Mayday!で韓国の航空会社が起こす事故を視聴すると、共通点があるように思う。技術的にはG/Sが不作動の時に機体を安全に降下させる技量に問題があること。そして機長と若手操縦乗員との間に絶対的な服従関係があり、それがCRMを著しく阻害していることだ。これはKAL80便のGuam空港着陸失敗事故やKAL8509便の離陸失敗事故で教訓とされた筈だ。この点について、番組内でRoger Cox調査官が怒っていた一因になっているだろう。
WIKI日本版で同事故の記事を読むと、事故調査に当たっては米韓の調査委員会で見解の相違が多々あったようで、相互に見解を勝手に公表しないよう取り決めを交わしていたようだ。韓国側にとっては自国の航空会社の運航が未熟であることを晒したくなかっただろうし、米国側にとっては運航実績があるB777の安全性を貶めるような事態を嫌ったのだと思う。社会政治的な対立に進展したという点で、この航空機事故調査は失敗であった。

[2] mixiユーザー 08月09日 09:26

機長の威圧に怯えながら操縦するLee機長を演じていたのはDale Yimで、彼はKAL8509便事故(BAD ATTITUDE)でも機長の無謀な左旋回を座して止めなかった副操縦士役を好演している。Cox
調査官役のChris GillettはNWA85便事故(TURNING POINT)では尾翼部の故障へ冷静沈着に対処した機長役を演じている。やはり風貌から役回りが決まってくるのだろうか？

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